秋田の醸造所「稲とアガベ」の挑戦
神鳴の里 男鹿半島の
酒ツーリズム【後編】
日本海に突き出た「杭」のようなかたちをなす秋田県男鹿半島。そこに日本酒業界に雷名をとどろかす一人の男が現れた。尖った杭は打たれるか、土地の一部となって根を張れるか。男の挑戦によって動き出した男鹿から、目が離せません。
神鳴の里・男鹿を堪能する1泊2日
人と自然に心打たれる旅へ
「男鹿を日本のブルゴーニュ」に。人口減少や高齢化の課題を抱える男鹿で、壮大な構想計画を掲げ、わずか2年で醸造所開設を実現した岡住さん。その背景には多くの人のサポートがあった。
「知人を通して男鹿の街を知り、人や土地に魅力を感じてここで自分の酒を造りたいと思うようになりました。日々、夢を語っていたら『何かできることはないか』と応援してくれる人が増えかかわってくれる人も増えました。そうやって人を巻き込んでいくうちに、『僕の夢』を『みんなの夢』にすることで、将来に希望をもって男鹿で働く人を増やせるかもしれないと考えるようになりました。いままで半信半疑だった人にも、醸造所ができたことで『本当に夢がかなうかも』と思ってもらえているはず。今後も真摯に楽しみながら取り組んでいけば、人も街も変わっていくと信じています」
2022年には、醸造所の近くに食品の加工工場を開設。当初より念願のオーベルジュをつくる計画も進行中だ。夢がかなう過程をのぞきに、あるいはその渦中に巻き込まれに、男鹿を訪れるのも悪くない。
1泊2日のおすすめルート
<1日目>
11:30 秋田駅
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12:00 レンタカーで男鹿半島へ
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12:30 男鹿周遊
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13:00 TOMOSU CAFEでランチ
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15:00 鵜ノ崎海岸や五社堂へ
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19:00 レストラン土と風で夕食
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22:00 男鹿温泉郷へ
<2日目>
9:00 滝の頭水源ポンプ場へ
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11:00 男鹿駅周辺散策
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12:00 「道の駅おが」オガーレへ
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13:00 すいれんでランチ
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14:30
グルメ・ストアフクシマで帰りの新幹線の総菜購入
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16:30 帰路へ
厳選素材で手作りした確かな味のカフェ
駅前の空きビルをリノベしたカフェは地元のアパレルショップ「縫人」、カフェ「珈音焙煎所」、「グルメ・ストアフクシマ」の共同経営。ゆったり気持ちのいい店内。
TOMOSU CAFE
住所|秋田県男鹿市船川港船川字栄町89-3 ひのめビル 1F
Tel|0185-47-6040
営業時間|11:00〜18:00
定休日|水曜
www.instagram.com/tomosu_cafe
海越しの朝日や夕日は必見
日本の渚100選のひとつ「鵜ノ崎海岸」をはじめ絶景の海岸線が続く男鹿半島。透明度が高く、凪の日は鏡のような水面に光が反射していっそう美しい。
数多く伝説が残る赤神神社
鬼が積んだとされる999段の石段をのぼった先にある国指定重要文化財の神社。漢の武帝が連れてきた5匹の鬼が祀られているという。この鬼がなまはげの起こりともいわれる。
赤神神社五社堂
住所|秋田県男鹿市船川港本山門前祓川35
神聖な雰囲気が感じられる、滝の頭
水源地は遊歩道が整備されているので浄水場で受付を通れば散策が可能だ。エメラルドグリーンに輝く沼の周囲は静かな時間と水の音が流れ、神秘的。入口には無料の水汲み場も。
滝の頭水源ポンプ場
住所|秋田県男鹿市五里合鮪川鮪川34
Tel|0185-34-2030
営業時間:10:00〜15:00
定休日:なし
母娘で切り盛りする美食居酒屋
お任せにすると卵焼きやだいこんのビール漬け、唐揚げ、高菜チャーハンなどお袋の味が次々と。弁当の販売もあり、昼食の時間が読めない岡住さんには保温弁当箱でお届け。
男鹿の旬鮮厨房美酒屋すいれん
住所|秋田県男鹿市船川港船川字栄町107-1 OKビル2F
Tel|0185-23-2606
営業時間|11:45〜14:00、17:00〜22:00、
土曜17:00〜22:00
定休日|日曜
大正7年創業、男鹿の胃袋
自家製の総菜やシャルキュトリー、こだわりの食材が充実している精肉店。4代目の福島智哉さん(右から2番目)は、仲間とともにオーガニックを根づかせる活動を進めている。地元の人脈を生かして稲とアガベの誘致もサポート。
グルメ・ストア フクシマ
住所|秋田県男鹿市船川港船川船川80-1
Tel|0185-23-2624
営業時間|9:00〜17:30、土曜、祝日〜17:00
定休日|日曜、不定休
https://gourmet-fukushima.com
text: Akiko Yamamoto photo: Atsushi Yamahira
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」