大自然を満喫する、
鹿児島県・徳之島のエコツーリズムへ
バラエティ豊かな地質から、多様な動植物が暮らす鹿児島県・徳之島。世界自然遺産に登録されたこの島を、エコツーリズムをキーワードに楽しもう!
徳之島へアクセス
飛行機|鹿児島空港から徳之島空港まで約1時間
船|鹿児島港から亀徳港まで約15時間10分など
世界遺産登録の背景にある
島の暮らしに溶け込む滞在
この夏、私たち日本人にとって誇らしいニュースが飛び込んできた。奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が、ユニークな生物多様性によって、世界自然遺産として新たに登録されたのだ。中でも、長寿や子宝の島として知られる徳之島の魅力は、豊かな自然と守り継がれてきた文化にある。
奄美大島の南西約45㎞に位置する徳之島は、最高峰645mの井之川岳など標高の高い山々を有し、南西部には隆起サンゴ礁の台地に耕作地が発達。周囲約90㎞のコンパクトな島の中に、琉球石灰岩から花崗岩まで多様な地質が残っている。土地の成り立ちも影響して、島は絶滅危惧種のアマミノクロウサギや徳之島の固有種・トクノシマトゲネズミなどが生息する、稀少な生き物のすみかとなった。
また、各集落に残る文化の違いを楽しめるのも島の魅力のひとつ。田植え歌が受け継がれている手々(てて)集落や、湧き水が豊富で水にまつわる逸話が残る当部(とうべ)集落などの集落を訪れることで、人々の暮らしといつも隣り合わせにあった自然を、先人たちが大切に守り継いできたことがわかるだろう。世界遺産に登録されたことで、さらに注目が集まる徳之島。この島には、自然の中や集落を実際に歩いてこそ、見つけられる価値がある。
徳之島の魅力を知りたいならエコツアーへ!
剥岳林道&阿権集落で
稀少な生き物たちに会いに行く
世界自然遺産登録区域内にある剥岳(はげだけ)林道は、認定エコツアーガイドの同行がないと入れない深い森。大きなどんぐりをつけるオキナワウラジロガシの群落をはじめ、季節ごとに花を咲かせる植物や稀少な生き物が多く暮らしている。林道を歩くだけで、島特有の自然が存分に楽しめるだろう。森を散策した後は、車で20分ほどの距離にある阿権(あごん)集落へ。古くから残る家をのぞかせてもらうと、サンゴ礁の石垣や魔除けのためのヒンプンなど琉球から伝わった文化と日本庭園などの日本文化が混ざっており、琉球王国と薩摩藩の領地であった島の歴史が見えてくる。島のエコツアーはほかの林道や集落でも行われているため、会いたい生き物や触れたい文化に合わせてカスタマイズも可能。知識をもったガイドと島をめぐることで、自分たちだけでは気がつけない島の魅力に出合ってみてほしい。
〈教えてくれた人〉
奄美群島認定エコツアーガイド
常加奈子さん
ウェブサイト「旅友Tokunoshima」
を運営。森の動植物に出合える林道散策を中心に、集落めぐりなどのツアーも幅広く実施
精霊が宿るガジュマル、ここにあり!
樹齢300年余りと伝わる阿権のガジュマルは、ケンムン(精霊)が宿るといわれている。かつて島の権力者が暮らしていたため、立派な家づくりが特徴で、琉球王朝時代に沖縄から伝わった石垣がいまも残っている。
ギィーと古い扉が開いたような声で鳴く!?
本土の種より身体が小さいキツツキ科のアマミコゲラ。南西諸島は渡り鳥も多く、リュウキュウアカショウビンやアカヒゲなどの稀少種も見られる。
尻尾がメタリックブルー!
鮮やかな青色の尻尾をもつバーバートカゲ。ミミズなどを餌にする肉食性で森林を中心に生息しているが、ノネコなどに食べられてしまう危険性も!?
約1500種の植物が生育!
ツルランをはじめとする稀少植物も多数生育し、森の中では四季折々の花を楽しむことができる。トクノシマエビネなど、この島にしかない植物も!
島のアイドル、アマミノクロウサギに出合えるナイトツアーも!
島で人気のアマミノクロウサギや木の上で生活する体長約30㎝のケナガネズミなど、夜の森でしか見られない稀少な生き物も多いため、ナイトツアーもおすすめだ。一般車が入れない森を、車でゆっくり進みながら観察できる。
徳之島エコツアーガイド連絡協議会
Tel|0997-81-2010
https://fukumoto0421.wixsite.com/ecotourism-1
\徳之島についてもっと知りたいならこちら/
徳之島観光連盟
TEL|0997-81-2010
http://www.tokunoshima-kanko.com/
鹿児島県観光連盟
Tel|099-223-5771
www.kagoshima-kankou.com
text: Discover Japan 写真提供=©K.P.V.B/© OCVB、政武文(アマミノクロウサギ)
2021年10月号「秘密の京都?日本の新定番?」