世界でも希少な原始的な生物たち【後編】
《まだまだいます!個性的ないきものたち》
日本の国土のたった0・5%でしかない候補地は、ほかに飛び抜けて固有性が高いエリア。天然記念物や絶滅危惧種に指定されている種も多く、個性派が揃っています。彼らの生息地や特異な生態を全3記事でご紹介!
鳥類
九州〜台湾間に飛び石状に連なる南西諸島は渡り鳥の絶好の飛行ルート。昆虫などの餌が豊富なこともあり、この地域で見られる鳥類は394種と日本産鳥類の62%を占める。日本固有の鳥11種のうち5種が候補地に生息する。
七色の声をもつ雄は色彩も自慢
アカヒゲ
樹洞の窪みなどに巣をつくる。好奇心旺盛で、じっとしていると近くまで寄ってくることも。繁殖期の春は森から美しい声が響く。
Data
生息地|沖縄県北部、徳之島、奄美大島
平均的大きさ|約14㎝
見た目の特徴|雄は頭部から背、尾、翼の上面が鮮やかなオレンジで、顔から胸にかけて黒(雌は茶色)
好きな食べ物|昆虫や幼虫
後頭部に冠羽がある大型のワシ
カンムリワシ
八重山民謡にも歌われる西表島のヒーロー。成鳥になるまで約3年。人が耕したばかりの畑や水田で、獲物が出てくるのを待ち伏せする姿も。
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生息地|西表島
平均的大きさ|全長約55㎝(翼開張約110㎝)
見た目の特徴|腹側は茶色地に白斑が点在。翼と尾羽に黒い帯がある
好きな食べ物|カエル、ヘビ、ネズミ
ノグチさんに発見された稀少なキツツキ
ノグチゲラ
世界で沖縄島北部でのみ生息。つがいの相手がいなくならない限り同じペアで繁殖。雄・雌共同で大木に巣穴を掘り、ヒナに虫などを運ぶ。
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生息地|沖縄県北部
平均的大きさ|全長約30㎝(翼長15〜17㎝)
見た目の特徴|幹に垂直に身体を支える丈夫な尾。雄の頭頂部が赤い
好きな食べ物|木の実、昆虫、クモ
長い尾をひらめかせ繁殖にやってくる夏鳥
リュウキュウサンコウチョウ
さえずりがツキ(月)ヒ(日)ホシ(星)ホイホイホイと聞こえることから、三つの光、三光鳥の名が。枝の股などにカップ型の巣をつくる。
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生息地|西表島、沖縄県北部、徳之島、奄美大島
平均的大きさ|雄約40㎝、雌約17㎝
見た目の特徴|雄は尾羽が長く伸び、くちばしと目の周りがコバルトブルー色
好きな食べ物|木の上の昆虫など
奄美の海にミステリーサークルをつくるのだぁれ?
正体は、2014年に新種のフグと確認されたアマミホシゾラフグ。雄がひれを使って海底に溝をつくり、直径約2mもの産卵床を用意して雌を呼ぶ。雌がやってくると、雄は雌のほおのあたりを噛み、産卵を促す。産卵後雌は産卵床を離れ、雄が卵を守る。
supervisor:Tadaaki Imaizumi text: Yukie Masumoto
写真提供=環境省、興 克樹(アマミホシゾラフグ)、PIXTA(ヤエヤマオオコウモリ、リュウキュウサンコウチョウ)
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」