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小野象平さんのうつわとアウトドアへ。
自然にも優しく、そしてスタイルのあるうつわを。

2021.6.2
小野象平さんのうつわとアウトドアへ。<br>自然にも優しく、そしてスタイルのあるうつわを。
奥から、青灰秞めし椀(3850円)、青灰秞8寸皿(9900円)、青灰秞そば猪口(2750円)

アウトドアを楽しむなら、うつわもプラスチックではなく、自然にふさわしいものを選ぶのがこれからのスタイル。例えば、思い切って陶器はどうでしょう。あらゆる料理に対応してくれて、盛り付けも決まる。何より、焼き物は縄文時代から使われていたうつわです。本来の自然体験により近い感覚が味わえます。今回は、注目のうつわ作家、小野象平さんのうつわをレシピと合わせて紹介します。

小野 象平(おの・しょうへい)
1985年、愛知県生まれ。父である陶芸家・小野哲平氏の下でものづくりの姿を見て育つ。約8年の会社員生活を経て鯉江良二氏に師事。独立後は高知県香美市にと作陶。地元の土と灰秞がなす、青と黒の豊かな表現が魅力

感受性が研ぎ澄まされるアウトドアでこそ
料理のうつわをおろそかにしたくない

さまざまな要素を含んだ青は、空間を引き締め、料理を引き立てる。スペアリブをレモンサワーで煮込んで。爽やかで、冷めても美味

自然の中で風を感じ、川の水や鳥たちの音を聞いていると、普段は隠れているチャンネルが開かれるものだ。だから食事はとても大事。ではそこにふさわしいうつわとは? 鎌倉のギャラリー「うつわ祥見」のオーナー・祥見知生さんにたずねると、おすすめしてくれたのは、小野象平さんの青灰釉のうつわだった。

高知に暮らす象平さんは、自ら山に入って土を掘り、木灰で釉薬をつくる。 「彼のうつわは、ケミカルなものをほとんど使っていない健全さがあります。健やかさって、人が食事をする上でとても大事なこと。大自然の中ならなおさらです」と祥見さん。いまは土も釉薬も簡単に取り寄せられる中、象平さんは原材料から自分の手でつくり出す。鉄分の多い高知の土と灰釉が窯の中で結合し、生まれる深い青。土と灰と火による、ありのままの色だ。

おおらかな土のうつわに、スペアリブを豪快に盛る。機能的なアウトドアのうつわが並ぶテーブル風景とはまったく違う。うつわも料理も生き生きとして、草木や岩といった周りの世界と調和している。「自然のものからできたうつわが、合わないわけがないですよね。青は食欲を減退させるといわれていますが、象平さんのうつわは決してそうではありません。食材を見事に引き立て、盛られた料理を美しいと思う。私たち人間が火を見て心が揺さぶられるのと同じように、うつわの中にある有機的な自然をキャッチできているのではないでしょうか」。

うつわの原初にさかのぼると、人間の命を支える水をすくうためにうつわが生まれたことがわかる。だからうつわはもともと、両手で水をすくうような「いただく」というかたちをしていると、祥見さんは言う。象平さんのうつわを自然の中で手にすると、手のひらに心地よく収まる土の存在感、その優しさが伝わってくる。

焚火で煮出したコーヒーを注いで。手に包み込んだときの優しさは、陶器のカップならでは

ビールと相性抜群!
スペアリブのレモンサワー煮

◎材料
スペアリブ
500g(長ければ、買うときに2〜3等分に切ってもらうといい)
レモンサワー 1缶(350㎖)
ショウガ(スライス) 1かけ分
長ネギ 1/3本(それをさらに半分に切る)
砂糖 大さじ2
醤油 大さじ3
レモン 1/3個

◎作り方
鍋にスペアリブとかぶるぐらいの水を入れ、1時間ほどゆでて余分な脂を落とす。
①の湯を捨て、レモンサワー、ショウガ、長ネギ、砂糖を入れて蓋をし、強火にかける。沸騰したらごく弱火にして20〜30分煮る。
レモンは輪切りにし、皮は細切り、果肉はいちょう切りにする。
②に醤油を回し入れ、蓋を取ったまま汁気にとろみがつくまで煮詰め、火を止めてレモンの果肉を加えて混ぜる。
うつわに盛り、レモンの皮を散らす。好みでレモンスライス、パクチーなどの香草(各分量外)を添えて完成。

text:Yukie Masumoto,photo:Yuko Okoso
Discover Japan 2021年6月号「ビールとアウトドア」


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