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約130年うまい酒を探し続けてきた
「横浜君嶋屋」が選ぶいま飲みたいニッポンの酒【前編】

2021.1.25
約130年うまい酒を探し続けてきた<br>「横浜君嶋屋」が選ぶいま飲みたいニッポンの酒【前編】

全国各地の美酒、そして風土に根ざしたつくり手を知り尽くす名酒販店が選んだニッポンの酒。味わえば、その旨さの中に、酒を生んだ土地の風景が広がり、酒に込めたつくり手の想いがあふれ出します。今回は、国外でのイベント活動にも力を入れている老舗「横浜君嶋屋」を、前後編記事にてご紹介。

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横浜君嶋屋
1892(明治25)年、神奈川県横浜市に創業。土地の風土気候を生かし、素材を慈しむ生産者の想いに寄り添いながら、食文化に根ざした食中酒を中心に扱う。国内外でイベントを開催するなど、日本の酒の普及活動に力を入れている。フランスワインの直輸入も手掛ける。

日本酒

特級畑の白ワインを
ほうふつさせる気品
本田商店「菖蒲渓 生酛特別純米酒」/兵庫県

1921(大正10)年創業の本田商店は“米の酒は米の味”を旨とし、その土地ならではのテロワールを追求する。「横浜君嶋屋限定の『菖蒲渓』は、兵庫県の山田錦特A地区のうち特に上質とされる秋津に隣接する小分谷(しょうぶだに)の山田錦だけを使っています。ほのかにフルーツの香りが漂い、舌にからみつくようなテクスチャーと、それをはね返す酸味もあります。おすすめの飲み方はふたつ。ひとつは白ワインと同じ温度帯で、ブルゴーニュ型のグラスで上品な香りと洗練された味わいを堪能する飲み方。もうひとつは48℃のお燗で、味わいのふくよかさを際立たせる飲み方。いずれもテロワールを体感できる上質な味わいを楽しめます」。

冷酒〇 上燗〇
価格|3300円(720㎖)
原料米|山田錦(兵庫県特A地区東条少分谷産)
精米歩合|65%
日本酒度|+3.5
酸度|2.0
アルコール度数|16度
問|横浜君嶋屋
Tel|045-251-6880
https://kimijimaya.co.jp

自然と米の力が生む
身体に染み通る味わい
楯の川酒造「楯野川 大井屋 純米大吟醸」/山形県

1832(天保3)年創業の楯の川酒造は、平成22酒造年度より、山形県ではじめて全量純米大吟醸の酒蔵となった。原料米は全量契約栽培による特別栽培米以上を目指しており、2019(令和元)年の時点で出羽燦々、美山錦、亀の尾は実現している。「亀の尾は明治時代に山形で生まれた品種で、コシヒカリやひとめぼれなどのルーツですが、栽培の難しさから稀少な存在となっています。横浜君嶋屋限定の『楯野川 大井屋』は、完全無農薬で有機栽培した亀の尾100%で醸した純米大吟醸。口当たりはきめ細かく、雑味をまったく感じません。冷やした状態からカラフェに移して、温度を少し戻してから、小ぶりのワイングラスで味わうのがおすすめです」。

冷酒〇
価格|1980円(720㎖)
原料米|亀の尾(有機米)
精米歩合|48%
日本酒度|−2.0
酸度|1.3
アルコール度数|16度
問|横浜君嶋屋
Tel|045-251-6880
https://kimijimaya.co.jp

燗にすることで際立つ
まとまりあるしなやかさ
大塚酒造「竹雀 山廃純米火入れ」/岐阜県

濃尾平野の西端に位置する大塚酒造は、1884(明治17)年の創業以来、地元の米を使って酒を造る。「竹雀」は、6代目で杜氏の大塚清一郎さんが立ち上げたブランド。「この『山廃純米火入れ』は、蔵で3年間熟成させています。山廃ならではのワイルドでスモーキーな感じと、熟成によって増した米の旨みが相まった力強い味わい。これがお燗にすると、スモーキーな感じをわずかに残しつつも、まとまりが増して、きれいなんだけどしっかりとした味わいに変化します。温かい料理の温度に合わせて、ぜひお燗で味わっていただきたい一本です」。

ぬる燗〇 上燗〇 熱燗〇
価格|1540円(720㎖)
原料米|山田錦30%、五百万石70%
精米歩合|60%
日本酒度|+8.0
酸度|1.7
アルコール度数|15度以上16度未満
問|大塚酒造
Tel|0585-45-2057

どんな料理ともよく合う
懐の深い素朴な旨さ
三輪酒造「神雷 特別純米酒」/広島県

1716(享保元)年創業の三輪酒造は、中国山脈の山間に蔵を構える。広島の酒造りの特徴である伝統的な軟水醸造法を基本に、軟水と中硬水を使い分け、広島県産の千本錦と八反錦を中心に“米味豊かで清涼感のある酒質”の酒造りに取り組んでいる。「柔らかさがありながら、後味にはキレもあります。洗練されていながら都会過ぎず、茶碗で飲んでしっくりくるような素朴なお酒です。そこには蔵元のまじめさや勤勉さが表れています。どんな料理にも合わせやすいので、家に1本あるととても重宝するお酒です」。

常温〇 ぬる燗〇
価格|1485円(720㎖)
原料米|八反錦(広島県産)
精米歩合|60%
日本酒度|+2.5
酸度|1.5
アルコール度数|15度以上16度未満
問|三輪酒造
Tel|0847-82-0630
http://shinrai-1716.com

飯米で造る酒ならではの
甘みと旨みが秀逸
千田酒造「栗駒山 特別純米」/宮城県

栗駒山のふもとに蔵を構える千田酒造は1920(大正9)年の創業。名峰の水の恵みを大切に、緻密なデータの蓄積と受け継いできた確かな技術、最新設備による“再現性のある酒”造りに取り組む。「地元で愛され、ほとんどが県内で消費されてしまうような小さな酒造が飯米で造る特別純米酒。ササニシキは、コシヒカリよりも粘り気が少なくパラパラとしています。日本酒もサラサラとして、米の旨みをひと粒ずつ味わうような美味しさです。甘みもありますが透明感があり、上品に消えていく。美味しいご飯のようで、合わせる食材の味が引き立ちます」。

冷酒〇 ぬる燗〇 上燗〇 熱燗〇
価格|1572円(720㎖)
原料米|ササニシキ(宮城県産)
精米歩合|55%
日本酒度|+2.0
酸度|非公開
アルコール度数|15度
問|千田酒造
Tel|0228-45-1024
https://miyagisake.jp/kuramoto/chida

 

横浜君嶋屋
住所|神奈川県横浜市南区南吉田町3-30
Tel|045-251-6880
営業時間|11:00〜19:30(土曜10:00〜)
定休日|日曜
https://kimijimaya.co.jp

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text: Miyu Narita photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2021年1月 特集「温泉と酒。」


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