京都迎賓館ってどんな場所?しつらえの美意識に迫る。
外国の国王、大統領、首相が来日した際に、歓迎会などが行われる京都迎賓館。《京都迎賓館ってどんな場所?》第2回は、職人たちの技と知恵が結集してつくられたしつらえに迫る。
京都迎賓館がいまのかたちとして実現したのは、地元の要望によるところが大きい。京都の地にふさわしく日本の歴史と文化に根ざした和風建築を旨として、建設にあたっては漆工芸、数寄屋建築、作庭などの11種の伝統技能者の技が生かされているのだ。
また調度品にも蒔絵、螺鈿など14種の伝統技能が用いられている。京都迎賓館には、日本を代表する職人たちの、技と知恵が結集されているといえる。
迎賓館のつくりは一般住宅とは大きく異なる。海外からの賓客に合わせて大づくりに仕上げられている特徴がある。それに伴い壁、襖、障子も住宅にはない巨大なものとなる。
たとえば土壁。左右に腕を動かせばひと塗りできるような幅ではない。それがひと息に塗られている。その仕上がりの美しさは、息をのまんばかりだ。また長さ12mという天井板をはじめとする長尺木材などの扱いの難しい材料も、一流の職人たちによって、素材が調達された。そうしてそこに工夫が加わり、彼らの技術と知恵で京都迎賓館は仕上げられた。
漆工芸を担当した澤野道玄さんは、完成当時こう言ったそうだ。「仕事がなくては後継者を育てれませんからね」。
京都迎賓館は、賓客を迎える場であり、日本の伝統技能を継承していく場でもあった。
住所:京都府京都市上京区京都御苑23
Tel:075-223-2301(有人案内)、075-223-2302(自動音声案内)
公開時間:10:00~17:00
休館日:水曜
入場口:京都迎賓館 西門
文=上村みちこ 写真=高嶋克郎
2017年11月号 特集「この秋、船旅?列車旅?」