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名物女将が行く! 飲み歩きのススメ
|京都人のイマオシ!②

2024.12.12
名物女将が行く! 飲み歩きのススメ<br>|京都人のイマオシ!②

「京都人のイマオシ!」。由緒正しい老舗から新進気鋭まで美味しいものが集まる京都。京都の街を知り尽くした京都人のお三方に、いま“推し”の店を案内してもらう。

今回案内してもらうのは、京都で1200年受け継がれる扇子店で若女将として京扇子を主軸に京都の魅力を発信する、大西里枝さんお気に入りのお店におじゃました。

大西常商店・大西里枝(おおにし・りえ)
「大西常商店」4代目若女将。就職で京都を離れたことで魅力を再認識し、家業を継ぐことを決意。京扇子の小売や商品開発など幅広く手掛ける。京都人の本音と建て前をグッズにした「いけずステッカー」のモデルでも話題

大西常商店
住所|京都市下京区松原通高倉西入ル本燈籠町23
Tel|075-351-1156
営業時間|10:00〜18:00
休日|日曜、祝日

ビールに日本酒、ワインまで
酒愛あふれる女将が行く!

乾杯は何度してもいいですねえ〜と語る大西さん

京都の幹線道路・五条通から1本北の松原通。古くからの町家や商店も多く残り、趣ある街並みが続いている。そんな京都らしい景観の中に佇むのが、1913(大正2)年に創業し、112年の歴史をもつ町家で扇子商を営む「大西常商店」だ。

明るく出迎えてくれたのは、4代目若女将の大西里枝さん。京扇子の小売業を拡大すべく売り場のリノベーションをするほか、新商品の開発や体験事業など、京都の文化を伝えるために幅広く日々奮闘する大西さんは、毎日の晩酌が欠かせない酒好きでもある。

パリ気分のブラッスリーで
フリットをつまみにワイン

「ブラッスリー カフェ オンズ」では、気軽にフランスの郷土料理や肉料理が味わえる。実力派オーナーの絶品料理を楽しむ1軒目としても、軽く飲みたい2軒目としてもいい。いただいたのはポテトフライの上にドン! とステーキをのせた豪快なひと皿「牛肉ステーキ カフェドパリ風」。20種以上のハーブやスパイスを混ぜた特製バターが肉の旨みを引き立てる。2000円

まず、四条河原町近くの「ブラッスリー カフェ オンズ」へ。パリの街角にありそうな佇まいの店内は、明るい時間から賑やか。15時からやっているというのもうれしい。大西さんは、見事に美しく注がれた生ビールでまず乾杯。

フランスの街角のような雰囲気の外観や内観は、オーナーの山崎さんがパリの自身のお気に入りの意匠を組み合わせてデザインしたものだという。ふんわりと盛られた「キャロットラペ」はアペロのお供にピッタリだ。名物「牛肉ステーキ カフェドパリ風」は赤ワインと楽しむ。「どの料理もボリュームがあって食べ応え抜群です」と大西さん。

ビストロ系では三条木屋町から少し離れた姉小路通に面する「カフェビストロ・オーボンモルソー」もお気に入り。マダムの人柄に魅せられて通うようになり、家族でよく訪れるそう。「賑やか過ぎない立地なので、落ち着いた時間を過ごせます」と大西さん。オーナーシェフ手づくりのハムやソーセージ、パテなどを盛り合わせた前菜「シャルキュトリーの盛り合わせ」は必ずオーダーするという。

京都を代表する蔵元の日本酒を
京都駅前で気軽に

「京都駅前酒場 聚楽第」で「11番 聚楽第純米吟醸生原酒」をいただく。フルーティな香りで華やかなコクのある味わい。979円

ニューオープンの開拓にも余念がない。たとえば京都駅近くの「京都駅前酒場 聚楽第」。京都の老舗蔵元「佐々木酒造」がプロデュースする居酒屋で、同蔵の定番から季節の酒まで約20種類が料理とともに楽しめる。「ここなら新幹線の乗車前でもサクッと飲めるので観光の方にもおすすめです」。

酒蔵直営の店らしくお通しが日本酒。今回は「13番 聚楽菊純米」が登場。まろやかでコクがあり、一緒に出された自家製胡麻豆腐と季節の和え物によく合う一杯だ。

左)高知県宿毛(すくも)湾漁港から直送される旬の海鮮。この日はイトヒキアジや金目鯛、カンパチなどが盛られた「御造り6点盛り」をいただいた。1人前1859円※注文は2人前から。 右)京都・山城農産の薄切りの京鴨を湯葉やつみれ、野菜とともに甘みある出汁とからめていただく「京鴨と湯葉のしゃぶしゃぶ」。2948円

毎日仕入れている新鮮な海の幸のお造りも日本酒にはぴったり。鴨肉と滋賀の湯葉を出汁にくぐらせて味わう「京鴨と湯葉のしゃぶしゃぶ」は秋冬にぜひ。

大西さんの会社の近く、清水五条にある「パーラーkoyaji」は15時オープンで、京都で最近増えている「昼飲み」ができるナチュールが揃うカウンターメインの店。ジューシーでさっぱりとした味わいの「鴨カツ」が名物だ。

そして、同じく清水五条で最近出合ったイタリアンが「ハシヤとナカセ」。「ポーションが小さめで、少しずつ食べられるのがうれしいです」と大西さん。「住宅街の中にひっそりとあって、町家独特の吹き抜けが生家のようで落ち着きますね。『よだれ鰹』がとても美味しかったです」。

果実をまるごと使った
贅沢フルーツチューハイ

常連客に愛される1975(昭和50)年創業の老舗居酒屋「ふる里」。メニューボードが埋め尽くされるほど豊富な品揃えで、どこか懐かしい昭和の雰囲気が漂う。大将と常連客が談笑するなど和気あいあいとした空気が流れているのも魅力。人気メニューは生搾りで新鮮なフルーツが堪能できる季節のフルーツチューハイ。まるごと搾りならではの甘みや苦みをしっかりと感じられる。540円~

新店だけでなくクラシックな居酒屋も大好きだそうで、四条大宮の雑居ビルの中にある隠れ家的居酒屋「ふる里」によく足を運ぶそう。数種類あるフルーツチューハイが名物だ。季節の果物をまるごと抽出した、食感や香りまで濃厚で新鮮な一杯を堪能できるとお気に入りだそう。

大西さんは酒への愛が高じて、実家である町家のおくどさん部分をバーカウンターのように改装。ここでバーのイベントを開くこともあるという。「かしこまらずに、大好きな人たちと楽しく飲めるのが一番です」。

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今回ご紹介したお店

Brasserie Café ONZE
(ブラッスリー カフェ オンズ)
住所|京都市下京区木屋町通四条下ル斎藤町125
Tel|075-351-0733
営業時間|15:00〜24:00
休日|なし

カフェビストロ・オーボンモルソー
住所|京都市中京区河原町通三条上ル東入恵比須町534‐18 ステラム 1F
Tel|075-212-8851
営業時間|17:30〜23:00(L.O.、ドリンクL.O.23:30)
休日|火曜、第3水曜

京都駅前酒場 聚楽第
住所|京都市下京区中居町112-2・114-4
Tel|050-5448-5465
営業時間|16:00〜23:00(L.O.)※土・日曜、祝日は14:00
休日|なし

パーラーkoyaji
住所|京都市柳馬場通り松原下ル忠庵町299-5
Tel|075-585-5559
営業時間|15:00~22:00(L.O.)
休日|水曜

ハシヤとナカセ
住所|京都市下京区大江町547-8
Tel|090-7452-7487
営業時間|16:00~22:00
休日|日曜

ふる里
住所|京都市下京区四条通大宮東入ル立中町478 鳥居ビル3F
Tel|075-841-0746
営業時間|17:00〜24:50(L.O.)
休日|木曜

 

京都人のイマオシ!③
うつわも魅力のすてきに美味しい店

 
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text: Momoko Mizutani(Arika Inc.) photo: Sadaho Naito, Sakino Konishi
Discover Japan 2024年11月号「京都」

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