福岡・大名《小谷酒舗》
博多が誇る角打ち界のマルチプレイヤー
|新しい酒に出合える角打ちの名店③
店主や酒ラヴァーとの会話を通して、気軽に酒の見識を深め、さまざまな酒と出合える角打ち。選りすぐりの名酒と多種多彩なつまみで多くのファンを魅了している名店3軒を訪ね、人気の理由を探った。
今回訪れるのは、福岡随一の繁華街・大名に店を構える「小谷酒舗」。美味しい店が多数ある福岡の繁華街だけに、つまみの質はいやが応でも求められる。角打ち文化が根づく福岡で、常に多くの客で賑わう理由とは?
数えきれないほどの酒とつまみの選択肢
福岡市街で1950年から続く「小谷酒舗」は角打ちが人気の酒販店だ。3代目・小谷昌弘さんは「初代の祖父は元公務員で、同僚が仕事終わりに遊びに来る感覚で店を訪れ、酒を飲んでいたそうです。一時期は配達が主で角打ちを休止していたのですが、コンビニなどでも酒販が認められ、当店も少なからず影響を受けました」と振り返る。その後、留学先のオーストラリアで、つまみが充実した酒販店の繁盛を目にし、そのスタイルを取り入れたいと2006年頃に角打ちを再開した。
角打ちにより新たな常連客を増やしたが、あくまで酒販店のため酒販で利益を生みたいと、つまみもドリンクも手頃な価格を現在も一貫する。小谷さんは「当店の角打ちは有料試飲の延長のようなもの。日本酒を中心に飲んだことのない気の合う一杯に出合う場所になれたらいい」とほほ笑む。小谷酒舗は、夕方前から酒を酌み交わす人たちで賑やか。来店客とスタッフがおすすめの酒について会話を楽しむ様子も日常の風景だ。
和・洋・中、酒と何を合わせたい?
<和>
<洋>
<中>
<酒のラインアップ>
【日本酒】
・喜多屋 純米大吟醸(喜多屋) 480円
・宗政 純米吟醸(宗政酒造) 420円
・東一 純米酒(五町田酒造) 420円
・花雪 純米吟醸(河津酒造) 450円
・酔鯨 吟麗 純米吟醸酒(酔鯨酒造) 460円
・会津ほまれ 巽蔵 純米吟醸(ほまれ酒造) 460円
【焼酎】
・田苑 長期貯蔵 音楽仕込み(田苑酒造) 350円
・だいやめ(濵田酒造) 400円
・久米島の久米仙(久米島の久米仙) 350円
・胡麻焼酎 紅乙女(紅乙女酒造) 350円
【そのほか】
・グラスワイン(赤・白) 290円
・ホットワイン 400円
・大長檸檬酒 430円
など
※グラス1杯(日本酒の場合は1合)の価格を記載
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小谷酒舗
住所|福岡県福岡市中央区大名1-11-13
Tel|092-741-2924
営業時間|平日11:00〜22:00(L.O.21:45)、土曜11:00〜21:00(L.O.20:45)、祝日12:00〜19:00(L.O.18:45)
定休日|日曜
www.kotani-saketen.com
text: Tsutomu Isayama photo: Hiroshi Mizusaki
Discover Japan 2024年1月号「ニッポンの酒 最前線 2024」