《界 津軽》
温泉・食・雪を満喫!|後編
ゆったり過ごせる津軽のおもてなし
古くから湯治場として知られる青森県の南津軽・大鰐(おおわに)にある、温泉旅館「界 津軽」。青森を代表する「津軽こぎん刺し」をモチーフにした客室や、青森ヒバを使用した湯舟でくつろぐ温泉、青森や東北の食材をふんだんに使用した食事、津軽三味線の生演奏など、津軽文化の魅力に触れながら至福の滞在を。
日常を忘れて癒される
現代の心の湯治場
津軽の奥座敷、大鰐(おおわに)温泉。湯治場として約800年の歴史をもち、明治から大正時代には、大勢の湯治客のために花柳街ができるほど栄えたという。
「界 津軽」のテーマは「津軽の四季と文化を巡る宿」。大鰐温泉の良質な湯を楽しめるだけでなく、津軽の伝統文化である「こぎん刺し」の体験や、津軽三味線の生演奏、津軽の食文化を意識した料理などを堪能できる。
津軽三味線の演奏が披露されるロビーには、日本画の巨匠・加山又造の壁画『春秋波濤(しゅんじゅうはとう)』が飾られている。その横には、四季折々の風景を楽しめる幻想的な水庭も。美しい水庭を眺めながら津軽三味線の音色に耳を傾けよう。
廊下や客室などには津軽文化を感じるモチーフが用いられている。館内全体が閑静で落ち着いた雰囲気で、ほっと心が安らぐ穏やかな空気に満ちている。
夏は津軽びいどろ、秋は紅葉と、四季折々で演出が変わるため、季節を変えて訪れるのもおすすめだ。
<食>
“黒いダイヤ”に舌鼓を打つ
品質の高い海産物が豊富に水揚げされる青森県。冷たい海水により身が締まり、八甲田山系や白神山地のブナの森からミネラル豊富な雪解け水が流れ込んで、美味しい魚介類を育てるといわれる。中でも津軽海峡で捕れる「大間まぐろ」は、マグロの最高峰とされ、「黒いダイヤ」と称されるほど。界 津軽では、旬の海の幸を贅沢に用い、時に伝統的、時に革新的な調理法で季節の特別会席を提供している。津軽の地酒とともに楽しみたい。
<湯>
歴史ある大鰐温泉
津軽の奥座敷・大鰐温泉。湯は無色透明の弱食塩泉で、神経痛やリウマチなどの改善が期待できるという。また、肌にやさしく保温効果が高いため、温泉から上がった後もぽかぽかと温かく、湯冷めしにくいのも特徴だ。明治から大正期に隆盛を誇り、人であふれていた大鰐温泉街は、いまは風情のある閑静な街並みになっている。商店街には昭和レトロな建物や看板も多い。かつての面影を求めて、街をそぞろ歩いてみよう。
<知>
伝統文化に触れる
江戸時代、津軽の農民は綿の衣を着ることが許されていなかった。そのため農家の女性たちは保温と補強のために麻の布地に刺し子を施した。いつしか美しい模様が生まれ、伝承されたのが「こぎん刺し」。その体験からは、昔の津軽の女性の根気や工夫が垣間見られる。また、夕食後には力強い「津軽三味線」の生演奏を鑑賞する、「ご当地楽」の体験も。
周辺観光スポットも充実!
界 津軽は、青森の有名観光地へのアクセスがよく、周遊旅の拠点として利便性が高い。ブナの原生林が広がる世界自然遺産・白神山地、樹氷や草紅葉が有名な八甲田山、レトロモダンな城下町の弘前などは車で60分以内。少し足を延ばせば、景勝地・奥入瀬渓流や十和田湖にも90分以内で行ける。星野リゾートのグループ施設、「青森屋」や「奥入瀬渓流ホテル」と組み合わせてプランを立てるのもおすすめだ。
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界 津軽
住所|青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
Tel|050-3134-8092(界予約センター)
客室数|40室
料金|1泊2食付2万5000円~(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、Master、VISAなど
IN|15:00
OUT|12:00
夕食|日本料理(食事処)
朝食|和食(食事処)
アクセス|車/東北自動車道碇ヶ関ICから約20分、電車/JR新青森駅から車で約50分
施設|大浴場、食事処、ラウンジ、ライブラリー、ショップ
text: Ayako Yokoo photo: Gou Ito
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」