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京都《南山》の魅力に触れる滞在
京都最南端に位置する祈りの聖地

2023.12.13
京都《南山》の魅力に触れる滞在<br><small>京都最南端に位置する祈りの聖地</small>
画像提供=飛鳥園

京都市街から離れた場所にある美山、南山城。趣きが異なる2地域では、貴重な建物や仏像を通して、京都の別の顔を見ることができるはず。
 
今回は数々の国宝や重要文化財々が見られる南山城の「浄瑠璃寺」「海住山寺」「岩船寺」などを紹介する。

110年ぶりに生まれ変わった阿弥陀如来坐像

奈良県との県境に位置する南山城は、古代に創建された寺院が点在する。特に奈良の大寺院や中央貴族と結び付きを強めた平安時代には、優れた仏像が数多く制作された。貴族たちは極楽往生を願い、九体阿弥陀を阿弥陀堂に安置することが流行したのだ。
 
九体寺とも呼ばれる「浄瑠璃寺」には、当時の彫像・堂宇が唯一現存している。このように何百年も前につくられた仏像が長い時間を経ていまに伝わるのは、それを守ろうとする人々の意志のもと、繰り返し修理が行われてきたため。浄瑠璃寺は現在、まさにそのタイミングを迎えており、明治期以来およそ110年ぶりの修理が行われた。次の100年へ伝えるための一大事業は2018年度から2022年度までの5年をかけて行われ、2020年度には最も大きい中尊像1体、それ以外は毎年度2体ずつ、本堂から運び出し、修理が行われた。
 
今秋、そのうち1体が、「海住山寺」の仏像などとともに「東京国立博物館」に展示。九体すべてが浄瑠璃寺に戻るのは年末となる予定だ。

極楽浄土の世界観を感じられる古刹

画像提供=飛鳥園

奈良時代に聖武天皇が行基に建立させたといわれる。平安時代末期に九体阿弥陀仏を安置する本堂「阿弥陀堂」が建立されたことから、別名「九体寺」とも呼ばれている。極楽浄土を表した庭園など見どころは多数。
 
浄瑠璃寺
住所|木津川市加茂町小札場40
Tel|0774-76-2390
拝観時間|9:00〜17:00(12月〜2月は10:00〜16:00)
定休日|なし
拝観料|大人400円

九体阿弥陀のうちの1体、国宝 阿弥陀如来坐像
平安時代・12世紀 京都・浄瑠璃寺蔵

五重塔は国宝に指定

山塊の中腹にある735年開創の寺院。聖武天皇の勅願により、東大寺の良弁僧正が開創したと伝わる。十一面観音菩薩立像を本尊とし、本堂のかたわらにそびえる朱塗りの五重塔は、山並みに映える鎌倉時代の傑作だ。
 
海住山寺(かいじゅうせんじ)
住所|木津川市加茂町例幣海住山20
Tel|0774-76-2256
拝観時間|9:00〜16:30
定休日|なし
入山拝観料|500円
※文化財特別公開期間中は別料金
www.kaijyusenji.jp

重要文化財 十一面観音菩薩立像は、平安時代初期の木彫像を代表する名作
平安時代・9世紀 京都・海住山寺蔵

山間部にあり、四季折々の景観が美しい

中世後期の作といわれる三重塔。秋は紅葉、初夏はアジサイが咲き乱れる

729年に聖武天皇の勅願によって、鳴川に籠居していた行基に一宇の阿弥陀堂を建立させたのがはじまりとされる。平安時代の本尊・阿弥陀如来坐像、普賢菩薩騎象像、鎌倉時代の十三重石塔や五輪石塔、室町時代の三重塔と、それぞれの時代に優れたものがつくられ、重要文化財に指定されている。
 
岩船寺(がんせんじ)
住所|木津川市加茂町岩船上ノ門43
Tel|0774-76-3390
拝観時間|3〜11月 8:30〜17:00(受付〜16:45)、12〜2月 9:00〜16:00(受付〜15:45)
定休日|なし
入山拝観料|大人500円
gansenji.or.jp

本堂に安置されている阿弥陀如来坐像は高さ3mで、一本の欅(ケヤキ)から彫り出されている

山上へと続く、天空の茶畑

和束町の茶栽培の歴史は800年以上と、古くから続いている。石寺地区の栽培は早場といわれ、4月下旬には茶摘みがはじまる

和束町は、“茶源郷”と呼ばれる宇治茶の名産地。中でも見る人の目を魅了する光景が、石寺地区の茶畑。茶園が急傾斜山上に広がる様子は圧巻だ。春には桜と茶畑のコントラストも楽しめる。
 
石寺の茶畑
住所|相楽郡和束町石寺丸塚付近
Tel|0774-78-0300(和束町観光案内所)

廃校を活用した空間でカフェタイム

旧田山小学校の教室や廊下でカフェタイム

小学校の校舎を活用したノスタルジックな空間で、週末を中心に営業するカフェ。季節の素材を使う自家製ベーグルやドリンクを味わえるほか、テイクアウトも可能。ギャラリーがあり、作家作品の展示販売も行う。
 
cafe ねこぱん
住所|京都府相楽郡南山城村田山中シヨジ 旧田山小学校
Tel|080-2433-7272
営業時間|第1・2・3土・日曜11:00〜17:00
定休日|月〜金曜、第4土・日曜
cafenekopan.com

ベーグルは1個250円〜

道の駅ホテルを拠点に地域の魅力を発見

木の温もりがあふれるロビーラウンジ

地元の工芸品と本を飾るスペースや無料のコーヒーマシンのあるロビーラウンジ、快適なベッドが配置された客室などを提供するホテル。レストランがないのが特徴で、近隣の飲食店を楽しむスタイル。
 
フェアフィールド・バイ・マリオット・京都みなみやましろ
住所|相楽郡南山城村大字北大河原小字殿田105
Tel|06-6743-4750
料金|1泊1万5730円〜
IN|15:00
OUT|11:00
www.marriott.com/ja/hotels/ukyfi-fairfield-kyoto-minamiyamashiro

茶畑を窓から見渡すことができる客室
地元の食材をふんだんに詰め込んだ、朝食ボックスが付くプランも用意

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text:Hiroko Yokozawa
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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