《Cliff Beer/クリフビール》
コリアンダーシード、パッションフルーツ……
沖縄食材を生かしたクラフトビール造り【前編】
沖縄には、現在14カ所ほどのクラフトビール醸造所があるが沖縄産の副原料にこだわり、県内の生産者たちとのコラボレーションを大切にしている、Cliff Beerのものづくりの現場へ案内してもらった。
農家とのコミュニケーションで
生まれる新しい味のヒント
2018年の誕生以来、県産素材を打ち出した美味しさや味への想像力をかき立てられるネーミング、アートなラベルが話題となり、瞬く間に沖縄を代表する醸造所になったCliff Beer。代表の宮城クリフさんは、10年間のイギリス生活で伝統的な製法を重んじるリアルエールと出合う。その土地の素材を使い、無ろ過で非加熱のまま樽の中で仕込み、酵母の働きを止めずに発酵や熟成を味わうまるでワインのようなリアルエール。各地で開催されるビアフェスティバルでは、参加者が樽を持ち寄り飲み比べを楽しむ。酔うための酒ではなく、文化に根づいたコミュニケーションとして存在するビールに感銘を受けたという。自身が仕事としているデザインやアートの延長にビール造りもあるのではないかと、帰沖後は本格的に取り組むことに。
「正直につくられている沖縄の素材を使いたかったので、生産者の人たちとつながるのは必然でした。最初に島麦かなさんという沖縄の小麦を使ったことからはじまり、スパイシーなコリアンダーシードをつくる、やんばる畑人プロジェクトの芳野幸雄さんを紹介していただき、山パ農園の福井慎吾さんとの出会いからパッションフルーツを使ったPassion Wizardも生まれました」
大麦
農家さんの畑を借りて、クリフさんが育てている大麦。この日の収穫は沖縄県麦生産組合の人が協力してくれた。みんなどこかでつながっている
コリアンダーシード
ホワイトエールに欠かせないのがスパイシーなコリアンダーシード。今日は「かなさんWHITE」の一年分のコリアンダーシードを持ち帰ることができた
パッションフルーツ
「市場では規格外になる作物もクリフさんは引き取ってくれるので本当にありがたいです」と福井さん
読了ライン
text: Kiyomi Gon photo: Tsunetaka Shimabukuro
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」