「支笏湖」日本屈指の透明度を誇る湖へ
キャンピングカーで美味しい北海道の旅へ
ドイツ人シェフ・マーカスさんが行く北海道キャンピングカーの旅。2日目はニセコを後にし、日本屈指の透明度を誇る支笏湖へと向かう。全3回の《キャンピングカーで美味しい北海道の旅へ》最終回。
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ニセコで朝食を済ませ、足早に向かったのは、支笏湖のほとりにある美笛キャンプ場。ここは全国からキャンパーが訪れるほど人気で、朝7時にゲートが開き、場所取りは先着順。まずは眺めのいい場所を確保して、近くの温泉や買い出しに出掛けるのが得策だ。
恵庭の道の駅から北上し、トマト農園「ファーム弦」、「山㟢ワイナリー」へ足を延ばし、今宵の食材を調達したら支笏湖へ。しばし湖畔でのんびり。湖ではカヌーや釣りも楽しめる。
この日は夕暮れ前に、みんなで食事の支度に取り掛かった。ルスツ豚とサクランボ、丸ズッキーニとカマンベール、ブロッコリーとゴルゴンゾーラ、トマトとキュウリに青ネギ……。マーカスさんは調達した食材を無駄なく、手際よく組み合わせ、調理はいずれも超シンプル。
ここでも野菜を切ったり下ゆでしたりと車中のキッチンが大活躍。キッチンチーム、屋外のツーバーナーチームと役割を分担し、ワイワイと楽しみながら料理をして、湖畔で囲むテーブルはまた格別だ。まずは冷蔵庫でよく冷やしておいたアップルワイン(シードル)で乾杯。賑やかな食事の時間が続いた。
キャンピングカーは移動式居住空間という箱そのものも魅力だが、ここで仲間や家族と過ごす何気ない時間を、掛け替えのないものに変える力がある。いつか旅を振り返ったとき、案外どうでもいいようなディテールが、記憶のひだに引っかかっていることだろう。
文=増本幸恵 写真=小澤義人
2019年9月号 特集「夢のニッポンのりもの旅」