移住マニュアル2023【Part 4】
ふるさとワーキングホリデーQ&A
《国や自治体の支援を賢くフル活用!》
移住の準備は、どこからはじめるべきかわからない。そんな人こそ、国の制度や相談窓口の活用がおすすめ。総務省の方々に、移住に役立つ国の支援を教えてもらった。
Part 4は「ふるさとワーキングホリデーQ&A」。地域とのミスマッチを防ぐためには、移住前のおためし滞在が不可欠だ。ふるさとワーキングホリデーなら、仕事も地域の魅力も知ることができる。
Q ふるさとワーキングホリデーとは?
A 地域とのかかわりを現地で働きながら深める取り組み
移住や地域づくりに興味がある都市部の生活者と、地域の魅力を伝えて交流人口を増やしたい地域をつなぐ制度として、2016年度よりスタート。海外でのワーキングホリデーと同じく、日本国内の地方に滞在する間、働いて収入を得ながら、休日は余暇を楽しみ自由に過ごすことができる。交通費や宿泊費は自己負担だが、宿泊場所を自治体が用意していたり、補助金が出るケースが多い。
<参加者のメリット>
[学生]
・就職活動のための社会経験ができる
・やりたい仕事が見つかって就職先の選択肢が広がる
[社会人]
・気軽に移住体験ができる
・働き方や暮らし方が見直せる
<地域のメリット>
・人材不足などの課題解決のきっかけになる
・地域活性化や移住につながる
Q どんな人が利用している?
A 10〜20代が約9割を占めている
募集期間は2週間〜1カ月程度のものが多いため、長期休暇中の大学生や就職活動中のフリーターなどが利用しやすい。年齢制限はなく、40代以上の方ももちろん参加可能になっている。
Q 利用までのステップは?
A ポータルサイトを見て気になる自治体に問い合わせ
総務省のポータルサイトには、全国100件以上の募集が掲載中(受付終了のものも含む)。年に数回、希望者向けの合同説明会も実施。自治体や受け入れ企業の詳細を確認して、体験したい仕事が見つかれば、自治体に連絡して参加の相談を!
Q 仕事以外の過ごし方は?
A 地域との交流で地域のリアルを知る
単に働くだけではなく、地域とのかかわりを深めることができるのが、この制度の特徴。そのため、地元の方々との食事会や観光地めぐり、地域行事への参加などがあらかじめ用意されている。仕事と休日をともに地域コミュニティの中で過ごすことで、地域での暮らしが肌に合うか見極めて。
Q ふるさとワーキングホリデーの効果は?
A 移住や第2のふるさとづくりにつながっている
ふるさとワーキングホリデーには、これまで延べ約3800人(2022年3月時点)が参加。総務省の調査によると、参加者の91%が満足しており、81%が再び地域を訪れたいという意識をもっている。この制度の利用をきっかけに、移住を決意した人もいる。
<募集内容は多種多様!>
宮城県・石巻市
生産、加工、販売を手掛ける最先端漁業
東北最大規模の河川・北上川の川水と海水が混じり合う潮の流れが強い海域で、歯応えの強いワカメや昆布を生産。東日本大震災後に5軒の漁師家族が集まり、生産組合を設立したことがきっかけで、生産から加工、販売までを一貫して行っている
期間|2週間〜(応相談)
賃金|時給1000円
宿泊場所|漁師が用意する宿舎
問|フィッシャーマン・ジャパン
Tel|0225-98-7071
石川県・加賀市
老舗旅館のおもてなしを学ぶ
松尾芭蕉も愛した名湯・山中温泉で、120年以上続く旅館「花紫」。四季折々の食材を用いた懐石料理に定評があり、勤務日は昼夜2食付き。一流の旅館運営に携わりながら、SNSの企画立案などスキルアップにつながる業務も体験可能だ
期間|2週間〜(応相談)
賃金|時給900円
宿泊場所|アパート社員寮
問|いしかわステイサポート事業事務局
Tel|050-1864-3072
岐阜県・関市
伝統と職人技を刃物会館でPR
800年に及ぶ刃物づくりの歴史をもち、包丁やナイフ、ハサミなど刃物製品出荷額全国1位の関市。「刃物会館」では、世界三大刃物産地にも数えられる関の刃物を、PR販売してくれる人を募集中。職人による包丁の研ぎ方レクチャーも楽しみたい
期間|2週間
賃金|時給910円
宿泊場所|市内宿泊施設
問|関市市長公室 企画広報課
Tel|0575-23-9290
徳島県・徳島市
化学薬品を使わない藍染文化に触れる
県内を流れる吉野川流域が藍の栽培に適し、多くの藍染工房がある徳島県。「藍染工房ルアフ」では、薪を燃やした灰を用いた天然灰汁発酵建てを行っている。藍染体験の補助や染色が主な業務。伝統的な藍染の技法を学ぶことができる
期間|応相談
賃金|日給8000円
宿泊場所|市内宿泊施設
問|徳島市ふるさとワーキングホリデー事務局
Tel|088-621-5083
沖縄県・国頭村
世界自然遺産の地で環境ガイドを目指す
沖縄本島北部・やんばるにある「安田くいなふれあい公園」が勤務地。沖縄にしかいない飛べない鳥「ヤンバルクイナ」を生態展示しており、解説補助や受付事務などを行う
期間|30日(延長は応相談)
賃金|時給860円
宿泊場所|近隣の宿泊施設または民泊
問|沖縄県ふるさとワーキングホリデー運営事務局
Tel|098-868-3856
※ふるさとワーキングホリデーの募集例に関しては、時期によって募集を締め切っている場合もありますので、あらかじめご了承ください。
「子ども農山漁村交流プロジェクト」なら
子どもの頃から“ふるさと”がつくれます!
地方での宿泊や自然体験を通じて、学ぶ意欲や自立心、思いやりの心などを育むことを目的に、2009年に誕生したプロジェクト。小学生から高校生までを対象に、クラス単位で2泊3日〜1週間ほど地域に滞在。日中は農林漁業の作業を手伝い、宿泊は民泊などを利用する。結果として、関係人口の増加や地域活性化の促進につながっている。
問|総務省 地域力創造グループ 人材力活性化・連携交流室
Tel|03-5253-5394
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1|0からはじめる移住計画
2|地域おこし協力隊Q&A
3|地域おこし協力隊活動人数ランキング10
4|ふるさとワーキングホリデーQ&A
5|おためしサテライトオフィスQ&A
特別協力=総務省 地域力創造グループ 地域政策課、地域自立応援課
text: Discover Japan
Discover Japan 2023年3月号「移住のチカラ!/移住マニュアル2023」