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〈今年の夏は瀬戸芸へ!〉ヘアサロンが体験型の作品に。暮らしがアートになった「女木島」

2019.8.5
<b>〈今年の夏は瀬戸芸へ!〉ヘアサロンが体験型の作品に。暮らしがアートになった「女木島」</b>
①『ランドリー』レアンドロ・エルリッヒ 
料金:洗濯500円(1回)乾燥100円(1回)
虚構と現実がひとつの空間に。一方は洗濯物が回転する映像が流れる乾燥機、向かい合う壁には本物の洗濯機と乾燥機を設置して観るものを惑わす

瀬戸内海に浮かぶ鬼ヶ島伝説が残る島、女木島。瀬戸内国際芸術祭にあわせて、一風変わったお店が誕生した。「島の中の小さなお店」プロジェクトと題され、国内外のアーティスト8組が集結。民宿として使われていた「寿荘」に、ヘアサロンやウェディングショップなど生活に密着したお店をオープンした。

②『Café de la Plage/カフェ・ドゥ・ラ・プラージュ』ヴェロニク・ジュマール   
定休日:水曜 料金:ドリンク300円〜、ランチ1000円〜
コーヒー片手に本を読んだり、語らったり。一見普通のカフェだけど、テーブルに熱や紫外線で色が変わる塗料を使い、カップや本をどけると痕跡がくっきりと。窓際のカウンターもカーテンの動きで色が変わる

2019年の瀬戸内国際春会期で、多くの新作が発表され注目を集めているのが女木島だ。「島の中の小さなお店」プロジェクトはその名の通り「お店」をキーワードにした作品群。

現代美術作家の宮永愛子さんは、これまで日用品をナフタリンでかたどったオブジェや塩を使ったインスタレーションなど、モノを通じて気配の痕跡を残すことを試み、時を視覚化する作品で注目を集めてきた。今回、彼女が手掛けたのはヘアサロン。しかもサロンに鏡はない。「私自身、美容室でカットの最中に目のやり場に困ることがあって。ここは目の前に美しいビーチがあって景色が眺められますから、いっそのこと鏡をなくして、海を眺める美容院にしたらどうかと考えました」。

③『ヘアサロン壽』宮永愛子 
営業日:金・土・日曜、隔週月曜、祝日 料金:カット3500円、シャンプー1000円など ※予約不可、先着順

ヘアサロンを題材としたきっかけは、島でカットサロンを営む玉木ひろ子さんとの出会い。玉木さんは島に美容院のなかった頃から、高松から女木島に通い整髪をしていた。宮永さんはサロンの看板を見つけ、店内へ飛び込んだ。「ヘアサロンなら、島の生活に寄り添ったアートにできると思いました」。

髪を切ってもらう間、鑑賞者が眺めるのは目の前の島と海。ある女性は景色を眺めながら、昔、海岸を一緒に歩いた旦那さんとの思い出をカットの間中話していたという。「時間を旅すること。それが作品のテーマです。過去や未来へ自然と思いが飛んでいく。カットの最中にはわからなくても3日後ぐらいにじんわりと、『そういうことだったのか』と体験した方に気づいていただければいいなと思います」。

④『un…こころのマッサージサロン』中里繪魯洲
マッサージされるのは身体ではなくこころ。椅子に腰掛けてハンドルを手で回すと歯車が回り、なにやら奇妙な旋律が聞こえ出す。日常に疲れた人に最適?

作品の醍醐味は、実際に利用し体験できること。待ち時間には、ほかの〝お店〟を見て回り、のんびりと過ごそう。

文=森 聖加 写真=西岡 潔
2019年8月号 特集「120%夏旅。」

「島の中の小さなお店」プロジェクト
営業時間:9:00〜16:30(②は10:00〜、③は13:00〜)
定休日:記載のないもの以外は会期中無休
料金:入館料600円(芸術祭パスポート提示で無料)
※別途利用料の必要なものあり ※②③は利用料のみ

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