TRAVEL

新潟県三条市《鍛冶ミュージアム》
過去から受け継がれた「今」を展示し、
伝統を未来へつなげるミュージアム

2023.5.14
新潟県三条市《鍛冶ミュージアム》<br><small>過去から受け継がれた「今」を展示し、<br>伝統を未来へつなげるミュージアム</small>

ものづくりのまちと知られる、三条市の伝統工芸「鍛冶」を気軽に触れられる《鍛冶ミュージアム》は、複合施設「まちやま」 内に位置する。鍛冶の工場をイメージした空間で、三条鍛冶の歴史や基礎知識、製品が出来上がる工程、そして、名工たちの仕事を見て触れることができる。また、ミュージアムでは常設展に加えて、年に数回開催される企画展や、企画展よりも短いペースで内容が変わるミニ企画展なども開催される。世界に誇る三条鍛治のすべてが詰まった、鍛冶ミュージアムの魅力を紹介しよう。

鍛冶ミュージアムについて

喰切(くいきり):釘などの頭を切る道具、矢床(やっとこ):モノを掴む道具

鍛冶ミュージアムは、「学ぶ、見る、触れる」をコンセプトにした、複合施設「まちやま」で、三条で受け継がれてきた鍛冶の精神や知見、歴史、技術を見て触れることのできる場所だ。

三条のものづくりの礎である「鍛冶」は、製品の素材となる「鉄と鋼」の違いから、製造に使用されるさまざまな道具、「鍛造(たんぞう)」と呼ばれる金属の成形技術、そしてその作業に欠かせない金属の「温度」の知識までの学びに触れることができる。また、豊富な森林資源の活用や、大きな河川に囲まれる三条だからこそ生まれた三条商人の歴史、そして、今現在も三条で作り出されている多種多様な鍛冶製品を展示している。

地域の工場(こうば)見学の基点として、三条鍛冶の基礎知識を理解するとともに、「鍛冶」とは何なのかを学び、その世界の幅広さと奥深さを体感することで、より工場見学を楽しむことができる。そして、未来のものづくりを担う子どもたちにとって、この場所が三条の鍛冶産業を学び、語り合うきっかけとなる場所を目指している。

和釘(わくぎ):洋釘が入ってくる以前に日本で使われていた釘
木鋏(きばさみ):植物の剪定などに使われる道具

鍛冶の工場をイメージした空間

鍛冶ミュージアムは、複合施設の入口に配置し、訪れた人たちが必ず鍛冶を目にする工夫がされている。壁を極力設けず、それぞれの施設とその活動をシームレスにみることができるよう、開放的な空間作りとなっている。

また、ダクトや配線を剥き出しにした天井や、あえて打放しにしたコンクリートの床、素材である杉材を生かした展示什器など、武骨で荒々しい鍛冶の工場をイメージしたデザインがされている。

見て触れる、鍛治を学ぶ

ミュージアムでは、常設展に加えて年に数回、鍛冶に関連する企画展や、什器1つ分の小さな展示スペースで、鍛冶にとって欠かすことができないさまざまな要素をとりあげた、企画展よりも短いペースで内容が変わる、ミニ企画展も開催している。

常設展示では「鍛冶とは何なのか」「鉄と鋼の違いとは」のような基本的な知識を学ぶコーナーや、鍛冶職人が実際に使っていた、普段目に触れることのない「道具を作るための道具」を展示。そして、どのように製品が出来上がるのかがわかる、鋼材が製品へ形を変えていく工程を展示するコーナーも設けている。

また、三条の鍛冶職人が口をそろえて「一番面白い」という工程である火造り。その真髄である「温度管理」について、精細な写真を用いて展示されている。そのほかにも、鍛冶屋を支える資源について学びや、作られた製品がどのように流通したのかを、これまでの三条市の研究成果などを用いて学ぶことができる。

ものづくりはさまざまな素材に支えられて成り立つ職業。鍛冶屋もその例にもれず、山林が生み出すモノを利用して鍛冶製品を作っている。

鍛冶ミュージアムを通して、三条鍛冶の歴史や、伝統工芸を継ぐ名工たちの仕事に触れながら、新しい学びを得てみてはいかが?

鍛冶ミュージアム
住所|新潟県三条市元町11-6
Tel|0256-34-5610(土・日曜・祝日を除く8:30~17:30)
開館時間|9:30~22:00
休館日:第3月曜、毎月末日(土・日曜・祝日、月曜の場合は直前の平日)、年末年始
https://sanjo-machiyama.jp/blacksmithmuseum/

photo: ©神宮巨樹(OOKI JINGU)

新潟のオススメ記事

関連するテーマの人気記事