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京都人作家・柏井壽がおすすめする
「御所周り」で愉しむ京都の美味しい店
《いま美味しい京都日記帳》

2022.12.17
京都人作家・柏井壽がおすすめする<br>「御所周り」で愉しむ京都の美味しい店<br><small>《いま美味しい京都日記帳》</small>
「割烹しなとみ」
骨まで食べられる、子持ち鮎やわらか煮1600円。山椒、番茶、昆布出汁、酒で炊いた一品

京都人・柏井 壽さんに、ガイドブックでもあまり書かれていないようなツウな店から、京都人が普段使いしている店、コロナ禍を経てもなお愛され続ける、通いたい名店までをおすすめの美味しい店として紹介していただきました。今回は、京都御など京都人の憩いの場も点在するエリア「御所周り」をご案内。

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近年賑わいを見せる京都市の中心「御所周り」

昨年の4月開業。昔ながらの丁寧な仕事の仕方を大切にし、料理に合わせて出汁を変える研究にも余念がない

京都市の地図を広げると、最初に目につくのは「京都御苑」の緑ではないでしょうか。地図のほぼ真ん中に長方形の緑があって、正式には「京都御苑」と言いますが、京都の人はたいてい〈御所〉と呼んでいます。長きにわたって天皇がお住まいになっていた「京都御所」の周りにはお公家さんたちが居を構えていたのですが、その跡地を公園としたのが「京都御苑」です。昔から御所御用の店が建ち並んでいましたが、近年はこの〈御所〉の周りに飲食店が目立ちはじめ、その多くが賑わいを見せています。たとえば寺町丸太町そばの細道に店を構える「割烹しなとみ」は、まだ浅い歴史ながら、高い人気を誇っています。カウンター8席と、奥に2〜3人入れる個室だけの小体な店で、京都らしい割烹料理を味わえ、主人夫婦のもてなしに心安らげる時間を過ごせます。おまかせコースとアラカルト料理、どちらかを選べるのもうれしいですね。僕はもちろんアラカルト派。旬のものを少しずつ味わいながら、さて次は何を食べようか、とお品書きを眺めると心が浮き立ちます。ここから丸太町通に出て、西に歩くと通り沿いに馴染みの店が次々と現われます。

「御料理 西角」
秋の定番人気の栗の蒸しもの。つぶした栗で甘鯛をくるんで蒸し、くずあんをかけた。1400円

麩屋町通を西に越えてすぐ、「手打ちそば花もも」があります。時分時には長い行列ができますが、少し時間を外せば、極上の蕎麦が味わえます。冷たいほうならおろしそば、温かいほうなら鴨なんばんそばがおすすめです。陽が沈む頃に早めの夕食としてなら、たいてい待たずに食べられます。その数軒西にあるのが「京料理 畑善」。かつて音戸山でお屋敷料亭として人気を博した店が移転してきました。古い町家を生かした京料理店は、こぢんまりとしたつくりで、伝統的な京料理をメインに、京寿司も手頃な価格で愉しめます。そのすぐ隣に建つ「富小路RAKU」は鉄板焼きの店です。ランチもディナーも完全予約制ですが、お客の好みに合わせたコースを組み立ててくれるのが特徴で、空間、料理とも贅沢なひとときを過ごせます。〈御所〉のすぐ前、というロケーションも相まって、ノーブルな雰囲気の店は、記念日などには打ってつけでしょう。さらに西へ。高倉通を西に越えてしばらく行くと「料理・ワイン イバラキ」があります。この店は一風変わった営業形態で、ランチは中華そば、ディナーはワインとともに、フレンチイタリアンや洋食を味わえるのです。白醤油を使った白蕎麦、たまり醤油を使った黒蕎麦が美味しいランチも魅力ですが、本領を発揮するのはやはりディナーでしょう。豊富な日替わりメニューに加えて、好みに応じてアレンジしてくれる料理と、リーズナブルなワインを合わせれば、すてきな京都時間が過ぎていきます。〈御所〉の北側付近にも美味しい店がたくさんあります。その代表が「御料理 西角」。古くから地元に根づいている割烹です。こちらの店では、何も言わなくても、最初に八寸、つまり前菜が出てきます。これを食べながら、その日のお品書きを見て、その後の料理を頼む、というスタイル。これがなんとも愉しいのです。そのときに食べたいものを選べるのが、外食の醍醐味だと思っていますので。

アラカルトでもコースでも供される突き出し。こちらを食べながらその日のメニューを組み立てたい

〈御所〉の北の外れになりますが、最近モダンバスク料理の店ができたのでご紹介しておきます。烏丸通の寺之内通を上ったところにある「CASA NANA」がそれです。ピンチョスをつまみながら、カヴァでのどを潤し、あれこれ食べて〆はパエリアという流れ。新たな〈御所〉周りの愉しみです。河原町今出川は出町柳にも近く、賑わいの絶えない界隈ですが、「炭焼 鶏たか」はその交差点近くにあって、美味しい炭火焼鳥を、カウンターで愉しめる店です。特に白レバー、ムネ肉マスタードはおすすめ、〆に鶏そばを食べれば大満足です。そこから少し南に下ると「枯らし熟成 焼肉つつい」がありますが、ここは「枯らし熟成」という、独特の手法で処理した黒毛和牛を味わえる焼肉店です。最大の特徴は、40ほどもある部位の肉を、ひと切れからオーダーできることです。一人焼肉には最適ですよね。さらには日本ワイン、それも白ワインを豊富に揃えているのもうれしく、本物志向の方には強くおすすめしたい焼肉店です。

南に下り、河原町通を東に入った細道、三本木通界隈はかつて花街として賑わいを見せたところで、そこに佇む「三本木商店」は、炭火焼とナチュラルワイン、日本酒を愉しむ大人の隠れ家です。ジビエや海の幸を使った多種多様な料理を、しっとりとした雰囲気の店で味わえるのは、〈御所〉の周りの、一番の特色だろうと思います。

割烹しなとみ
住所|京都市上京区信富町315-4
Tel|075-366-4736
営業時間|17:30〜22:00(最終入店20:00)
定休日|木曜、月2日不定休あり

手打ちそば花もも
住所|京都市中京区昆布屋町398
Tel|075-212-7787
営業時間|11:00〜18:30(最終入店) ※売切次第閉店
定休日|月曜、第4日曜(ほか不定休あり)

京料理 畑善
住所|京都市中京区丸太町通富小路東桝屋町338
Tel|075-211-6022
営業時間|11:30〜15:00、17:30〜21:00
定休日|火曜、第3月曜

富小路RAKU
住所|京都市中京区桝屋町337
Tel|075-746-3800
営業時間|ランチ12:00〜(L.O.13:30)、ディナー17:30〜(L.O.21:00)
定休日|水曜

料理・ワイン イバラキ
住所|京都市中京区坂本町701
Tel|075-211-5030
営業時間|17:30〜23:00(L.O.22:00)、月〜金曜のみランチ11:30〜14:30(L.O.14:00)
定休日|日曜、ほか不定休あり ※ランチは売切次第終了

御料理 西角
住所|京都市上京区今出川通河原町西入三芳町134
Tel|075-241-1571
営業時間|12:30〜13:30(L.O.)※前日までの予約必須、17:30〜21:00(L.O.)
定休日|水曜、第3火曜

CASA NANA
住所|京都市上京区相国寺門前町647-8
Tel|070-3128-2900
営業時間|ランチ11:30〜15:00、ディナー18:00〜22:00
定休日|火曜、水曜不定休

炭焼 鶏たか
住所|京都市上京区大宮町323-2 アーバン北村1F
Tel|075-212-9700
営業時間|17:00〜22:30(L.O.)
定休日|日曜、ほか不定休あり

枯らし熟成 焼肉つつい
住所|京都市上京区梶井町448-33
Tel|075-755-1422
営業時間|ランチ11:00〜14:00(L.O.13:30)、ディナー17:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日|火曜、水曜ランチ

三本木商店
住所|京都市上京区真町478
Tel|075-255-2810
営業時間|17:30〜23:00(L.O.22:00)
定休日|月曜、ほか不定休あり

photo: Katsuo Takashima, Azusa Todoroki, Toshihiko Takenaka, Ko Miyaji
Discover Japan 2022年11月号「京都を味わう旅へ」

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