京都人作家・柏井壽がおすすめする
「西のほう」で愉しむ京都の美味しい店
《いま美味しい京都日記帳》
京都人・柏井 壽さんに、ガイドブックでもあまり書かれていないようなツウな店から、京都人が普段使いしている店、コロナ禍を経てもなお愛され続ける、通いたい名店までをおすすめの美味しい店として紹介していただきました。今回は、嵐山・嵯峨野に近く閑静な住宅街が広がるエリア「西のほう」をご案内。
京都旅では外せない「西のほう」
京都で〈西のほう〉といえば、なんといっても嵐山、嵯峨野です。あるいは少し北へ行くなら金閣寺。京都旅で外せない場所ですね。その行き帰りにおすすめしたいのが「洋食彩酒アンプリュス」。西のターミナル四条大宮からほど近い場所にある洋食屋さんです。京都の老舗レストラン「ぎをん 萬養軒」の流れをくむ店ですから、折り紙付きと言っていいでしょう。ランチもディナーも、アラカルトとコースを選べるのもうれしく、エスカルゴを2個から追加できるのもありがたい店です。フレンチ寄りの洋食には、ぜひソムリエ厳選のワインを合わせましょう。同じ洋食でもフライに特化しているのが二条城にほど近い「洋食堂すずき」。ランチもありますが、おすすめは、カウンター席で揚げ物三昧できるディナーです。旬の刺身やサラダを挟みながら、肉、魚介、野菜を一品ずつ揚げたてを食べられます。デミグラスソースやタルタルソースが、別売り200円というのもおもしろいシステムです。ダブルで頼んで、ご飯にソースをのせて食べるのもいいですね。
最近よく話題になる町中華。京都でも昔から京都中華と呼ばれるほど中華料理は街に溶け込んでいます。嵐電の撮影所前駅近くの「開花」は安くて美味しい中華料理を食べられることで人気です。「かしわ玉丼」や「わんたん麺」などは、どこか懐かしい味わいで、古きよき京都をほうふつさせます。嵐電の駅のそばなので、嵐山観光や東映太秦映画村の行き帰りに最適の店です。
桜の名所で知られる「平野神社」の近くにある「黒猫軒」は、広東料理をベースにしながら、旬の食材を使った料理は京を香らせ、洗練された京都中華を愉しめます。贅を尽くしたフカヒレから、常時3種類ほどある炒飯まで、豊富なメニューを紹興酒と一緒に愉しむのは至福のひとときです。
京都と言えば、うどんが美味しい街とされていますが、蕎麦も侮れません。
嵐電の沿線沿いにある「手打ち蕎麦更科よしき」は、京都ではめったに見掛けない江戸蕎麦の店です。二八蕎麦、生粉蕎麦、さらしな、の3種類から選び、江戸風のかき揚げ天を合わせれば、京にいながら江戸の味を愉しめます。線路沿いのビルの地下にこんな名店が潜んでいるのも、京都ならではです。
洋食彩酒 アンプリュス
住所|京都市中京区壬生賀陽御所町64-18 マキシムⅢ 1F
Tel|075-468-1987
営業時間|ランチ11:30〜13:30、ディナー18:00〜22:30(L.O.21:00)
定休日|水曜、火曜不定休
洋食堂すずき
住所|京都市中京区俵屋町207
Tel|075-823-2286
営業時間|17:00〜22:00、火〜木曜のみランチ12:00〜14:00
定休日|日・月曜
広東料理 開花(かいほう)
住所|京都市右京区太秦西蜂岡町9-99
Tel|075-881-9320
営業時間|11:00〜14:00 (L.O.13:40)、17:00〜21:00 (L.O.20:30)
定休日|日曜(連休時変更あり)
中国酒家 黒猫軒
住所|京都市北区平野上八丁柳町35-4
Tel|075-461-7277
営業時間|17:30〜22:00(L.O.21:20)
定休日|月・火曜
手打ち蕎麦 更科よしき
住所|京都市右京区西院春栄町4-6
Tel|075-315-8163
営業時間|11:30〜14:30(L.O.)、16:30〜21:00
定休日|日曜
photo: Katsuo Takashima, Azusa Todoroki, Toshihiko Takenaka, Ko Miyaji
Discover Japan 2022年11月号「京都を味わう旅へ」