足立美術館の日本庭園が18年連続日本一を達成!
アメリカの日本庭園専門誌『数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』(以下、JOJG)が発表した2020年の日本庭園ランキング※で、足立美術館(島根県安来市)の日本庭園が1位に選出されました。
同ランキングは、JOJGが1年間の調査をもとに選定したもの。日本国内の日本庭園約1000か所を対象とし、各国の庭園および造園の研究家・専門家など30人前後で構成される委員会が、庭園の質、庭園と建物の調和、利用者へのホスピタリティなどを基準に選考するもので、毎年上位50件を公表しています。足立美術館が1位に選出されるのは、ランキングが始まった2003年の第1回から、18年連続となります。
足立美術館からのコメント
この18年連続日本一の栄誉に恥じぬよう、常に新鮮な感動を与える美術館であり続けるとともに、お客様に安心して「名園と名画」をお楽しみいただけるよう、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染対策に取り組んでまいります。
※日本庭園ランキング公式ホームページ掲載
https://gardenrankings.com/
足立美術館の日本庭園について
足立美術館の日本庭園は、昭和43年(1968)に館の創設者・足立全康(あだちぜんこう・1899~1990)が造園に着手したもの。当初は著名な造園家に設計を依頼したものの、全康は理想の日本庭園を追い求め、自ら庭師たちを指揮して手を加え続けました。そして約15年の歳月をかけて、借景の山々と繋がっていく現在の庭園の基本形が完成しました。
現在の庭園は枯山水庭、苔庭、池庭、白砂青松庭、亀鶴の滝などで構成され、借景の山々を含めると、総面積が約16万5000平方メートル(約5万坪)に及びます。
四季折々に多彩な表情を見せる広大な庭園は、専属の7人の庭師が1日も欠かすことなく手入れをし、開館前には毎朝、職員総出で清掃することで、1年を通じて常に最善の状態で鑑賞できるように管理されています。
日本庭園と日本画の調和
足立美術館は、近代から現代の日本画や陶芸、童画、漆芸など約2000点を所蔵する美術館。なかでも、近代日本画の巨匠・横山大観のコレクションは約120点を数え、質・量ともに日本有数です。ではなぜ、これほど多くの大観作品があるのか、というのが同館を訪れる人々の第一の疑問であり、来館者の大半は、なぜこのような田舎にこれほど見事な庭園が、と半信半疑の顔をされるようです。
「日本庭園と日本画」の調和は、同館の創設以来の基本方針。これは、美術にあまりなじみのない方でも、日本庭園なら分かりやすいはずと考え、日本庭園を通して四季の美に触れ、その感動をもって日本画をご覧になることで、日本画の魅力をより多くの方に理解していただきたい、という創設者・足立全康の強く深い願いがあってのことです。
美術館創設までの歩み
足立全康は明治32年(1899)、現在の美術館所在地である、安来市古川町に生まれました。小学校卒業後すぐに、生家の農業を手伝いますが、身を粉にして働いても報われない両親を見るにつけ、商売の道に進もうと決意します。
その後紆余曲折、様々の事業を興し、戦後は大阪で繊維問屋、不動産関係などの事業のかたわら、幼少期の頃から興味を持っていた日本画の収集を行っていきました。
特に「大観は一生の恋人」と語るほど、横山大観の作品収集に力を注ぎ、初期から晩年に至るまでの作品をコレクション。また、全康は特定の画家や流派に限定することなく、竹内栖鳳、川合玉堂、上村松園など、近代日本画壇を代表する巨匠たちの作品を幅広く収集し、いつしか美術品のコレクターとして知られるようになります。また若い頃から何よりも好きであったという庭造りへの関心も次第に大きくなっていったのです。
そして昭和45年、71歳の時、郷土への恩返しと島根県の文化発展の一助になればという思いで、財団法人足立美術館を創設しました。
全康は「庭園もまた一幅の絵画である」と語っており、その言葉通り館内には、窓枠を額縁に見立て、庭園を一枚の絵画のように鑑賞できる「生の額絵」や、床の間の壁をくり抜き、その先の庭園を見る「生の掛軸」といった趣向を凝らした場所があります。
日本庭園と日本画の調和を堪能してみてはいかがでしょうか。
足立美術館
住所|島根県安来市古川町320
Tel|0854-28-7111
開館時間|4月~9月 9:00~17:30、10月~3月 9:00~17:00 ※新館の最終入場は閉館15分前
休館日|年中無休 ※新館のみ展示替えのため休館日あり
料金|大人2300円、大学生1800円、高校生1000円、小中学生500円、2年間パスポート6000円 ※土曜日は小中高生無料(要学生証提示)
https://www.adachi-museum.or.jp/