《植田正治写真美術館》自然と調和する建築
山陰の名峰、国立公園大山のふもと伯耆町(ほうきちょう)に「植田正治写真美術館」は凛と佇んでいる。フランス芸術文化勲章をはじめ、高い評価を諸外国から受ける世界的な写真家・植田正治氏。寄贈された貴重な作品の数々は、毎回テーマごとに展示されている。また建物は、建築家・高松伸氏によって、設計された。
豊かで穏やかな田園風景の中に突如として緊張した空気を発する植田正治写真美術館。しかし、その光景は神秘的ともいえるほどの一体感を描き、訪れるものの心を掴む。その光景こそが、植田調そのもの。五感で植田氏の写し出す世界を体感してみてはいかが。
植田正治(うえだ・しょうじ)
写真界の巨匠・故・植田正治は、世界で最も注目された日本人写真家。生地(鳥取県境港市)を離れず、山陰の空・地平線・そして砂丘を背景として、被写体をまるでオブジェのように配置した植田正治の演出写真は、写真誕生の地フランスで日本語表記そのままにUeda-cho(植田調)という言葉で広く紹介されている。もちろん、植田正治の作品はこのような作品ばかりではない。70年近くに及ぶ作家活動を通して、常に斬新で多彩なイメージを掲示している。アマチュア精神を抱き続けた偉大な写真家の軌跡は、まるで日本の写真史そのもののよう。
高松伸(たかまつ・しん)
1948年島根県生まれ。1980年に高松伸建築設計事務所開設。1984年 第3回日本建築家協会新人賞。1985年 ヴェネチアベンナーレ入賞。1988年 NSGガラスデザイン大賞。1989年 国際インテリアデザイン入賞、日本建築学会賞。1996年 植田正治写真美術館にて芸術選奨文部大臣賞受賞などさまざまな賞を受賞している。
美術館すぐ裏に、福岡堤がある。この堤は典型的な大山をほぼ真正面、逆に写し出す「逆さ大山」の池として多くの写真家・画家から親しまれてきた。植田正治写真美術館は、そのイメージを大切に受け継いだものとなっており、各展示棟の間から望む水面には逆さ大山をみごとに再現。展示作品・建築物・自然、それぞれが強く自己主張しながら、絶妙なバランスを崩さない緊張感を楽しめる。
また四季を通じて、雪、菜の花、黄金色の稲穂、そして目の前に広がる雄大な大山が、美術館を自然と調和させ、一つの作品として、楽しまれてくれる。
映像展示室では、200インチの大画面による写真の歴史ほか、映像プログラムを上映。また、壁面には世界最大規模のカメラレンズ(2群5枚構成)が設置されており、正対する壁面に「逆さ大山」が投影される。つまり、この映像展示室自体が一つの大きなカメラに見立てられており、カメラの光学原理を体験できる。
ミュージアムショップでは、美術館オリジナルグッズや図録を数多く取り揃えている。
植田正治写真美術館
住所|鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
営業時間|10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日|毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
※12月1日〜2月末日は冬期休館 ※展示替期間中は休館
入館料|一般 1000円(900)、高校大学生 500円(400)、小中学生 300円(200)
※入館料の支払いは現金のみ。
※( )内は20名以上の団体料金。
※障害のある方とその付き添いの方(1名まで)は半額。
※いずれも証明できるものを持参ください。
※特別展の場合、料金が異なる場合がある。
Tel|0859-39-8000
駐車場(無料)|普通車100台、大型バス9台
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