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岡山芸術交流を起点に、
岡山の文化に触れて、見て、味わう。
立ち寄りたいおすすめスポット5つをご紹介!

2025.10.2
岡山芸術交流を起点に、<br>岡山の文化に触れて、見て、味わう。<br><small>立ち寄りたいおすすめスポット5つをご紹介!</small>

瀬戸内の玄関口、岡山では2016年より現代美術の国際展「岡山芸術交流」が3年に1度開催されている。この9月にはじまる「岡山芸術交流2025」の魅力と、街を舞台に歴史とアートがつながる独自のまちづくりとは――。今回は、岡山芸術交流を拠点に訪れたい5つのスポットをご紹介!

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歴史、文化、風土に触れて、
新たな岡山に出会う

「ラビットホール」の外観
photo: Sadaho Naito

岡山市を訪れたなら、まずめぐりたいのが岡山城下、丸の内エリアのカルチャーゾーンだ。旧岡山藩主池田家伝来の調度品や国宝、重要文化財など約9000件を収蔵する「林原美術館」が静かに歴史を奏でる一方で、アート界で注目されている最新の現代美術館が「ラビットホール」だ。建築家・青木淳氏が手掛けた極限にミニマムな空間では、コンセプチュアルアートを中心とした国内でも最も特徴的な「イシカワコレクション」を展示。さらに、ラビットホールからほど近い弓之町には、歴史的建造物をリノベーションした「ラビットホール別館 福岡醤油ギャラリー」が建ち、独自の視点でキュレーションされた世界中の工芸品や現代アートを展示するなど、新旧の文化施設が柔軟な思考を育む新しい価値観を届けている。

「A&A」のアートホテル外壁には気象学者・真鍋淑郎氏によって編み出された気象学方程式が設置されている

街を歩いているとアーティスティックな施設と偶然出合えるのも岡山市ならではの魅力だ。アーティストと建築家がコンセプトから共創した宿泊施設プロジェクト「A&A」のアートホテルやル・コルビュジエの系譜にある前川國男設計の岡山県庁舎、安藤忠雄氏建築の「おかやま信用金庫内山下スクエア」など、文化的な施設が景色を彩っている。

「SABOE OKAYAMA」の独自ブレンドの玉露と、岡山の淡麗辛口日本酒を合わせた「玉露マティーニ」や目の前で焙煎したスモーキーな香りの「焙じ茶ハイボール」など、独創的な茶酒をぜひ
photo: Sadaho Naito

独自の食文化も見逃せない。温暖な気候と豊饒な大地が生む青果、穏やかな瀬戸内海が育む新鮮な魚介類など、岡山はまさに食材の宝庫。70年以上地域で愛される「食堂やまと」や1983年創業の豆腐専門店「豆腐処おかべ」に併設される食事処「備前岡山 食事処おかべ」など、ローカルに根づいた老舗大衆店は郷土の味を伝える。その一方で、カウンター割烹の名店「喰切料理 八方」といったハイエンドな美食処まで幅広く、シーンに合わせて選べるのがうれしい。また、福岡醤油蔵に併設された「SABOE OKAYAMA」では、蔵を改修した重厚な空間で夜はオリジナルの茶酒が楽しめるなど、一日を通して口福の時間が約束されている。

さらに、月見櫓が国の重要文化財指定の岡山城や日本を代表する回遊式庭園が美しい景観をつくる岡山後楽園など歴史的なスポットの魅力は言わずもがな。この秋は、岡山芸術交流2025を起点に歴史、文化、風土に触れる旅で、岡山の新たな魅力を発見してみてはいかがだろうか。

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〈紹介した5つのスポット〉
01|ラビットホール
アート界が注目する新たな芸術拠点が岡山に誕生

2025年9月現在、開館記念展としてフィリップ・パレーノ氏、ヤン・ヴォー氏など20名のアーティストの作品約40点を展示する「イシカワコレクション展 Hyperreal Echoes」を開催中
photo: Sadaho Naito

2025年4月に開館した現代美術館。アーティストの創造性を尊重する余白を大切に、歴史的なルネサンスビルをコンバージョンした空間では、巨大アートから知覚体験まで感性を心地よく刺激するコンセプチュアルアートを展示。街に現代アートの新風を吹き込んでいる。

ラビットホール
住所|岡山県岡山市北区丸の内2-7-7
Tel|086-230-0983
開館時間|10:00~17:00(最終入館16:30)
休館日|月・火・水曜(祝日の場合は開館)、年末年始、展示替期間
料金|大人 1500 円、18 歳以下無料
※「イシカワコレクション展|Hyperreal Echoes」は約3年の長期展示

02|ラビットホール別館 福岡醤油ギャラリー
明治の文化的な面影を残すアートギャラリー

2025年春より、彫刻や絵画、映像、出版など多元的な表現形態が世界中で高い評価を得ているライアン・ガンダー氏の個展「Together, but not the same」を開催中
photo: Sadaho Naito

明治時代に建てられた「旧福岡醤油建物」を改修した複合文化施設「ラビットホール別館 福岡醤油蔵」のギャラリースペース。岡山をはじめ世界中の現代アートをその時々でコンセプチュアルに展示。ミュージアムショップでは、本館ラビットホールの限定グッズも販売。

photo: Sadaho Naito

ラビットホール別館 福岡醤油ギャラリー
住所|岡山県岡山市北区弓之町17-35
開館時間|10:00 ~ 17:00(最終入場16:30)
休館日|月・火・水曜(祝日の場合は開館)
料金|大人1000円、18歳以下無料
https://fukuokashoyu.org

03|A&A(アーティスト&アーキテクト) LIAM FUJI
アート空間に“滞在できる”斬新なホテル

客室の様子。建物内には階段がいくつも張りめぐらされ、気分に合わせてオリジナルの過ごし方が楽しめる
photo: Yoko Inoue

パブリックアートでありながら宿泊することで“体験”できるアートホテルプロジェクト「A&A」の第一弾。立体的かつ複雑なつくりで、「迷いながら思索する」といった特別な滞在体験ができる。

A&A(アーティスト&アーキテクト) LIAM FUJI
住所|岡山県岡山市北区天神町9-2-1
料金|1棟貸切3万9800円~
IN|15:00
OUT|11:00
定員|2名
https://a-and-a-hotel.com

04|SABOE OKAYAMA
伝統×革新の茶文化を趣深い空間で堪能する

茶釜から湯気が立ち上る空間は心が落ち着く
photo: Sadaho Naito

伝統の日本茶を現代の様式に再定義し、次世代に継承する活動「茶方薈」の実店舗。静謐が漂う蔵を改修した茶房では、茶師が厳選し自ら淹れる上質な日本茶や和菓子が堪能できる。売店ではオリジナルのブレンド茶「T., Collection」を販売。

SABOE OKAYAMA
住所|岡山県岡山市北区弓之町17-35
Tel|086-207-2779
営業時間|売店11:00~17:00、茶房13:00~23:00
(日曜、祝日13:00~17:00、祝前日13:00~23:00)
定休日|月・火・水曜(祝日の場合は営業)
https://saboe.jp

05|岡山後楽園
別世界が広がる日本三名園のひとつ

1952年に歴史的文化遺産として特別名勝に指定。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では三つ星の評価を得ている

岡山藩2代目藩主・池田綱政が自ら憩いの場として築いた回遊式庭園。14haもの広大な敷地の中を季節の草花が彩り、時期によっては園内をライトアップする夜間特別開園「幻想庭園」など特別行事を開催する。

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岡山後楽園
住所|岡山県岡山市北区後楽園1-5
Tel|086-272-1148
開園時間|3月20日~9月30日/7:30~18:00(最終入園17:45)、10月1日~3月19日/8:00~17:00(最終入園16:45)
料金|大人500円、高校生以下無料
休園日|なし
https://okayama-korakuen.jp

01|アートが浸透する、岡山のまちづくり。
02|《岡山芸術交流2025》の魅力に迫る!
03|岡山芸術交流を起点に訪れたいスポット5選

text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki

2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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