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約20年ぶりの高専が徳島県神山町に誕生!
未来の起業家を育成する
「神山まるごと高専」【Part 1】

2023.3.28
<small>約20年ぶりの高専が徳島県神山町に誕生!</small><br>未来の起業家を育成する<br>「神山まるごと高専」【Part 1】

先進的な地域創生で知られる徳島・神山町に、新しい高専が開校する。モノづくりと同時に起業家精神、生きていく力を育む学びの場は、未来を変えるポテンシャルにあふれている。

高等専門学校とは?
実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関。国内で高専が新設されるのは、約20年ぶりとなる。

四国山地の懐、穏やかな里山が広がる神山町に新設された「神山まるごと高専」の校舎。“日本のシリコンバレー”実現へのストーリーが、この場所からいまはじまる

のどかな山間の町を
未来のシリコンバレーに

徳島市内から車で40分ばかり。深い山に抱かれ、田畑や家々が点在する神山町。人口約5000人、過疎地域に指定されているこの町が、「地方創生の聖地」という異名をもつことをご存じだろうか。約25年前から芸術家を招聘・支援するアーティスト・イン・レジデンスをスタートし、全国に先駆けて町全体に光ファイバーを整備。現在10を超える企業がサテライトオフィスを構え、着実に移住者を増やしているという、お手本のような事例が詰まった地域なのだ。
 
そんな神山町にこの春、新しい学校が幕を開ける。私立の高等専門学校「神山まるごと高専」。国内で高専が新設されるのは、実に約20年ぶりのことだ。ここで育成する学生像は、「モノをつくる力で、コトを起こす人」。まずは高専のお家芸ともいえるモノづくりを重要視する。それに加えて目指すのが、社会・他者とかかわる力の養成。机上で学ぶだけでなく、自分で手を動かして何かを生み出すところからはじめ、その先でコトを起こせる=起業家精神を身につけることを目標としている。
 
かつてない複合的なコンセプトを掲げる高専の舞台が、なぜ神山町なのか。早くからITの可能性に着目していたこと、さらに人材育成の場として評価の高い「神山塾」なども背景になっているが、それだけではない。過疎地域という環境は、教育面で大きなメリットをもたらす。ノイズのない中で勉学に集中でき、足りないものを補う工夫が生まれるなど、創造性を問われる場面も多い。名刺アプリで知られる「Sansan」代表取締役社長の寺田親弘氏、「ZOZO NEXT」の大蔵峰樹氏ら、立ち上げに携わった4名のメンバーは全員が起業家。この地が未来のシリコンバレーとなることを確信している。
 
高校と大学を5年間に凝縮したような濃密な教育が受けられる機関だが、中学卒業者のうち、高専に進むのはわずか1%だという。そんな少数派の道を自分の意志で選択した学生は、常識にとらわれない無限の可能性を秘めている。学生たちはホームと呼ばれる寮に暮らし、オフィスと呼ばれる校舎に通学する。5年間を過ごすこの地は、間違いなく彼らの第二の故郷になる。のどかなキャンパスで、どんな日々が待っているのだろう。

読了ライン

学びの拠点は川を挟んだ2つの建物。ホーム(左)からオフィス(右)へは、橋を渡って徒歩5分ほど。季節ごとの自然を感じ、オンオフをゆるやかに切り替えながら通学するのに絶妙な距離感だ
オフィス(校舎)はふたつの棟から構成される。講義室や演習室のほかに自由度の高いオープンスペースが設けられ、開放感のある空間。何げない交流からクリエイティブが生まれる
全学生の住まいとなるホーム(寮)は、1年前まで神山中学校の校舎だった建物を改装。
館内の至るところに学び舎の面影が残る。土地の記憶を継承しつつ、新たな歴史が刻まれる

 

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text: Aya Honjo photo: Ryusuke Honda
Discover Japan 2023年3月号「移住のチカラ!/移住マニュアル2023」

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