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岩手県・野田村
「庵日形井」の協奏型ワーケーション
これからの人と文化をつなぐ南部曲り家

2022.3.10 PR
岩手県・野田村<br>「庵日形井」の協奏型ワーケーション<br><small>これからの人と文化をつなぐ南部曲り家</small>

JR八戸駅から車で約70分、電車だけで行くのは現実的に難しい岩手県野田村。過疎化、限界集落問題を抱える小さな村でできるワーケーション体験とは?

案内人
佐々木陵太さん
野田村生まれ野田村育ち。役場に就職後、野田村の魅力を発信するべく、震災を機に「ぱあぷる」へ転職

「何もない」は武器になる
関係性から育まれる未来

曲り家を拠点にワーケーション
「アジア民族造形館」の築160年の南部曲がり家をワーケーション施設として開放予定。Wi-Fiやキッチンも完備。敷地内に長期滞在できる宿泊施設も

岩手県九戸郡にあり、太平洋に面した野田村。人口約4100人の小さな村で、沿岸部のため積雪はあまりなく、夏は「やませ」の影響で涼しい。古くは鉄の生産が盛んで、容易に鉄釜を入手できたことから製塩業が盛んに。野田村で焚いた塩を牛の背に載せて、盛岡や内陸部へ運んでいたという。

この野田村でいま、伝統的な茅葺屋根の南部曲り家「庵日形井」を活用したワーケーション施設の整備に力を入れている。観光物産館で働く佐々木陵太さんは、「自分にとっては日常の景色ですが、曲り家をはじめ野田村の景色はいまの日本では貴重です。どこか世俗から切り離された感じもあります。実際、車で出掛けてお酒を飲んだら帰ってくることができません。その環境をどう活用していただくか、何もないところですがアイデアさえあればなんでもできるとも言えます」と話す。

野田村で作陶する世界的なアーティスト
泉田之也さんは陸前高田出身、脱サラをして陶芸家の道へ。地元の土を使ってうつわやオブジェなどを制作

とはいえ、ワーケーション事業の具体案はまだ決まっていない。むしろ、どうしたら野田村が盛り上がっていくか、仕事の合間に囲炉裏を囲んで一緒に考えてくれる人を募集したいくらいなのだとか。落ち着いた環境でものづくりをしたいクリエイターやアーティストはもちろん、人が好きで街づくりや地域に興味のある人が、ゼロから話し合いに参加できる村であるのも確かだ。

陶芸家の泉田之也さんも野田村に魅力を感じ、移住してきた人の一人。「この辺の土は焼物に向いていないといわれます。そこで諦めるのか。どうしたらいいものがつくれるかを考えるのか。気づく力やおもしろがる力をもつ後者だったら、この土地は魅力的なところだと思います」。

野田村に目立った観光スポットは少ないが、実は、農産物や海産物はもちろん畜産物、ワインまで村内産で揃えることができる。そういった“実は”を、地元の人と利用者の交流からどれだけ見つけることができるか。協奏型ワーケーションを成功させるには、お互いの協力が必要だろう。関係性を築くことで、見知らぬ土地を第2、第3の拠点に更新していける可能性も秘めている。野田村の事例は、日本の多くの地域にとって、視点を見つめ直すきっかけとなりそうだ。

 

庵日形井
住所|岩手県九戸郡野田村大字野田6-62
問|野田村役場
Tel|0194-78-2963 ※要問い合わせ

のだ窯ギャラリーIZUMITA
住所|岩手県九戸郡野田村玉川5-79-17
Tel|0194-78-3403
営業時間|10:00~18:00
定休日|水・木曜、第4日曜
https://yukiya-izumita.com

南部曲り家を拠点に
野田村を知る

おしどり夫婦が育むブランドホタテ
野田村出身。安藤正樹さんは味が濃厚な「荒海ホタテ」の漁師。妻の智子さんはシェフ。イベントで地の食材を使って腕を振るうことも

野田漁港
住所|岩手県九戸郡野田村野田第36地割

震災を機に帰郷し塩づくりをはじめる
野竹長吉さんは野田村出身。大工として関東に勤務後、震災を機に村に戻り、塩文化の担い手に。伝統的な薪窯直煮製法で「のだ塩」をつくる

のだ塩工房
住所|岩手県九戸郡野田村玉川第2地割62-28
Tel|0194-78-2225
※見学は要予約

人をつなぐ野田村の太陽 松川美穂子さん
福祉のスキルや知識を生かして起業し、カフェを開業。人が集いやすい場づくりを行う。野田村で拠点づくりを考えている人は、まずこちらへ

足湯&Cafe たいようのいちこ
住所|岩手県九戸郡野田村大字野田20-106 ねま~るA
Tel|0194-66-8621
営業時間|10:00~14:00
定休日|日・月曜
www.noda-tsunagari.com

のだ塩ラーメン 550円

野田村の日常がわかる道の駅
野田村の特産品、手作りの味が買える道の駅。周辺には充実の鮮魚店もあり、地元の人もスーパーや食堂として利用している

観光物産館ぱあぷる
住所|岩手県九戸郡野田村野田31-31-1
Tel|0194-78-4171
営業時間|9:00~18:00
定休日|元日
http://nodaeki.com/bussan

太平洋を一望する絶景スポット
西行法師の伝説が残る「西行屋敷跡」。漁港の目の前の高台にあり、海を一望。安藤夫婦(右上)のお気に入りの場所。朝日の時間がおすすめ

まだまだあります!
野田村ワーケーションスポット

松川さんのカフェが入る「ねま〜る」、「国民宿舎えぼし荘」にも落ち着いて仕事ができるスペースがあるので車とPCがあれば不自由なし!

ねま~る
住所|岩手県九戸郡野田村大字野田20-106
問|野田村商工会
Tel|0194-78-2012

国民宿舎 えぼし荘
住所|岩手県九戸郡野田村玉川第2地割62-28
Tel|0194-78-2225
https://ebosisou.com

野田村までのアクセス
電車|JR八戸駅から八戸線約100分、三陸鉄道久慈駅から約13分、陸中野田駅下車
車|JR八戸駅から車で約70分、三陸沿岸道路野田ICからすぐ

text: Akiko Yamamoto photo: Yayoi Arimoto
Discover Japan 2022年4月号「身体と心をととのえる春旅へ。」

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