福岡県八女市「Craft Inn 手[té]」
広川町「藍染絣工房」
手仕事好きなら、クラフトツーリズムで
第2の地元を見つけよう。
手仕事好きということは、つくり手に思いを馳せる時間を大切にしている表れだと思う。そんな人におすすめなのが、職人の息吹を感じられる宿を選び、手仕事を体験する旅。第2の地元を見つけるべく、八女のクラフトツーリズムへ。
手仕事を愛でることで
芽生える地域への親しみ
福岡県南部に位置する八女市は、ものづくりを体験・体感する旅に適した土地だ。なぜなら、豊かな自然に育まれた伝統産業の宝庫で、それらの技術に触れられるツアーも充実しているから。
そんな八女の町に、八女を中心とした九州のクラフツマンシップを感じられる宿として昨年秋に「Craft Inn 手[té](クラフト イン テ)」がオープン。八女福島の伝統的建築物を改修したふたつの建物からなり、客室は「藍」、「竹」、「和紙」をテーマにした3室。つくり手たちの技術と知恵が盛り込まれた家具や調度品がしつらえられている。
今回注目したのが「藍の部屋」。久留米絣のタペストリー、藍染のテーブルなどは「藍染絣工房」が手掛けたもので、間近で藍染の技術に触れると、どうやってこれらのものが出来上がったのか興味がわく。
そんなときは実際に藍染を体験してみるのがいい。「藍染絣工房」は伝統的な藍染、手織りにこだわり布をつくり続けている久留米絣の織元。藍の原料・すくもを藍甕(あいがめ)に入れ、小麦ふすま(小麦の皮)や貝灰で発酵を促すなど手間暇かけて藍を管理している。
5代目の山村研介さんは「藍は生き物」と語り、染まり具合が異なる藍甕を、発酵が活発で“若い”、穏やかに“齢を経た”と表現。一見すると朴訥(ぼくとつ)とした職人気質に見えるが、藍や織物に対する愛情は人一倍だ。体験では地元産の原料にも触れ、久留米絣や藍染の技術のルーツまで深掘りできる。
竹や和紙など、多彩な手仕事が存在し、さまざまな体験の機会に恵まれた八女。何度訪れても新たな学びや人との出会いがあるだけに、足を運ぶたびに地域への愛情もより深まっていくだろう。
Craft Inn 手[té]
住所|福岡県八女市本町120-1(旧塚本邸)
Tel|0943-25-7577
客室数|3室
料金|1泊朝食付(2名1室)1万9200円〜
施設|部屋付き浴室、書店
https://craftinn.jp
藍染絣工房
久留米絣の藍染絣工房で藍のアートピースを作る
住所|福岡県八女郡広川町長延241
開催日|土曜14:00〜、日曜10:00〜
※月により開催日が異なる
所要時間|2〜3時間
料金|1万3900円/1名
内容|久留米絣の藍染絣工房にて、藍のアートピースづくり
体験のお申し込み|https://unalabs.jp/tourism/gfhk03/
藍染絣工房について|https://craftinn.jp/aizome
ほかにもCraft Inn 手[té]の周りではさまざまなクラフト体験が楽しめます!
1.クラフトの町・八女福島の生業めぐり
2.下川織物見学と久留米絣ストール作り
3.池田絣工房の見学と藍染体験
4.八女の職人さんたちのオリジナル茶道具で八女茶を楽しむ
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text: Tsutomu Isayama photo: Hiroshi Mizusaki
Discover Japan 2022年3月号「第2の地元のつくり方」