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《京都・高山寺で国宝の謎に迫る》
日本茶発祥の地、茶室「遺香庵」で
お茶のルーツを探る

2021.11.6
<small>《京都・高山寺で国宝の謎に迫る》</small><br>日本茶発祥の地、茶室「遺香庵」で<br>お茶のルーツを探る

国宝『鳥獣戯画』を所蔵する京都・高山寺では2022年3月31日まで、執事長が境内について案内する特別拝観を実施中。『鳥獣戯画』を目にしていてもその背後にある成立の過程や技法までは知らないという人もきっと多いはず。今回は『鳥獣戯画』を語るために押さえておきたいポイントから、高山寺のめぐり方まで、たっぷりと紹介します。

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遺香庵
設計は高橋箒庵、建築は3代目木村清兵衛、作庭は7代目小川治兵衛。8畳の広間と4畳台目小間、ふたつの茶室を合の間でつなぐ。仏堂をイメージした火灯窓や、灯籠に彫られた神鹿に注目

鳥獣戯画を所蔵することと並んで、日本最古といわれる茶園があることでも知られる高山寺。1931(昭和6)年、明恵上人700年遠忌には茶祖・明恵上人の恩に報いるためにと、茶道家100名余りの篤志により茶室「遺香庵」が建立された。

高山寺の茶の歴史は、建仁寺を開山した臨済宗の開祖・栄西禅師が宋から持ち帰った茶種を明恵上人へ贈ったことにはじまる。これがはじめての日本産の茶であるといわれており、中世以降高山寺でつくられたものは「本茶」と呼ばれ、毎年天皇にも献茶された。茶には修行の妨げになる眠りを覚ます効果があることから、明恵上人自身も珍重し、僧徒に勧め普及に努めたという。やがて、質がよいと評判を呼び多くの寺院に所望されたため、宇治に茶苗を移植。以降宇治茶として発展したと伝わる。現在も本茶を継承した丸利吉田銘茶園を中心に高山寺の茶園を管理しており、毎年5月には茶摘みが行われる。また明恵上人が春日明神を信仰していたことから、春日大社での神事にもこの本茶が奉納される。

茶園
当初の茶園は清滝川の対岸に位置する深瀬三本木。そこから茶樹を移植した現在の茶園は、かつての僧房・十無尽院(じゅうむじんいん)が建っていた場所と考えられている
石碑
茶園の手前には日本最古であることを示す石碑が残る

そもそも明恵上人と栄西禅師の交流は、座禅修行も重視した上人が禅宗の教えを乞うたことにはじまっており、この高山寺に日本最古の茶園があるゆえんも、明恵上人の熱心な求法の一端だったといえるだろう。今回の特別公開では執事長の話に耳を傾けることで、遺香庵や茶園をよりいっそう楽しむとともに、高山寺のルーツである明恵上人の姿にも思いを馳せたい。

[国宝] 明恵上人樹上坐禅像(部分)縦1450×横590㎜
明恵上人の最も著名な肖像画。「縄床樹」と名付けた赤松の上で坐禅入観する姿を描いたもので、弟子の恵日坊成忍筆と伝わる。あたりには木々や小動物が配され、自然や生き物を愛した明恵上人の柔和な人柄を表現している

参加者には鳥獣戯画グッズと
御朱印のプレゼント付き!

今回のスペシャルな特別拝観は執事長の境内案内にとどまらない!山の澄んだ空気の中でお抹茶をいただけるほか、特別仕様の御朱印や鳥獣戯画グッズなどのお土産まで付いてくるという太っ腹な内容。詳細はwww.kosanji.com

 

高山寺再興の祖の生きた鎌倉時代に思いを馳せて、世界遺産を歩く
 

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text: Minami Mizobuchi(arika inc.) photo: Sayuri Ono photo courtesy: kosanji
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