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ネイチャーツアーで体感する
沖縄島最大の滝「比地大滝」
《世界自然遺産をめぐる旅》

2021.9.8
ネイチャーツアーで体感する<br>沖縄島最大の滝「比地大滝」<br><small>《世界自然遺産をめぐる旅》</small>
昔は森で人々が手作業で伐採した材木を比地大滝まで運び、この上から川に落として下流まで流し、海まで運んだという

沖縄の豊かな自然が体感できる場所のひとつ、沖縄島最大の滝「比地大滝」。新たに世界自然遺産に登録された沖縄島北部・国頭村にある比地大滝キャンプ場内の滝まで片道1時間のルートを、国頭村公認ガイドの上開地広美さんに案内してもらいました。

国頭村公認ガイド
上開地広美さん
旅行業務やガイドなどを請け負う「エンデミック・ガーデン・エイチ」にて環境部長を務める。環境省で働いていた経験を生かし、森の保全活動に積極的に取り組んでいる。

 

比地大滝キャンプ場入り口にあるノロ(神人)の拝所。昔は伐採した材木を南部へ運ぶ海上交通の安全を祈願していた
萌芽再生の木。どんなに山深い場所でも材木を切った跡がある

「比地大滝までのトレッキングは国頭村の推奨コースで、鳥や両生類、爬虫類、甲殻類などさまざまな生物に出会え、(拝所)や萌芽再生の樹木など、人と森の歴史を垣間見ることができます。国頭村にはほかにもおもしろい地形をした大石林山や沖縄島最高峰の与那覇岳(9合目以上は規制区域)、大宜味村にはター滝、東村なら慶佐次のマングローブを観察するツアーもあり、環境や季節によって出会えるいきものは異なります。常緑広葉樹林はほぼ紅葉がないので四季の移ろいがわかりにくいですが、耳を澄ませばいきものが息づく音が季節を教えてくれますよ。

この素晴らしい森にも抱える問題はあります。たとえばロードキル。ヤンバルクイナや海で産卵するために道路を渡るオカガニなどが毎日のようにひかれています。やんばるの道ではどこででもいきものと遭遇するという意識をもって、道路に注意を向けるだけで救えるいのちがあります。

やんばるの森が世界自然遺産に登録されることで、人々が自然と向き合うきっかけになればいいなと思います。ガイドは皆さんが自然と触れ合う入り口にいる案内人。一緒に自然を楽しみましょう」

こんないきものに遭遇

ホントウアカヒゲの幼鳥
まだ警戒心がないよう。ほかにはリュウキュウルリモントンボやオキナワモリバッタ、オキナワカラスアゲハ、オキナワハンミョウ、オキナワヘリグロツユムシなども。

リュウキュウカジカガエル
比地大滝そばの水たまりにはリュウキュウカジカガエルのオタマジャクシも。ほかにはヤンバルヤマナメクジ、ナガマルコガネグモの幼虫、シリケンイモリなども。

比地大滝のすぐそばの岩壁にそっくりな色をしたオキナワミナミサワガニ。甲羅は最大で4㎝ほどになり一生を淡水のそばで過ごす。ほかには透き通るようなきれいな青緑色のアオミオカタニシなど。

危機迫る!外来種襲来!

靴底の土を介して分布を広げる外来種のコケセンボンキクモドキ。外来植物を食べる在来生物はほとんどいないのでどんどん繁殖する。本来の生態系を構成するいきものに外来種は脅威だ。

text: Kiyomi Gon photo: Tsunetaka Shimabukuro
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」

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