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色からの発想で生まれた
「イイホシユミコさんのうつわ」
ただいま、ニッポンのうつわ

2020.12.27
色からの発想で生まれた<br>「イイホシユミコさんのうつわ」<br><small>ただいま、ニッポンのうつわ</small>
ハイボールにキューカンバーサンドイッチの爽快さに、それぞれ美しい5色が似合う。考え抜かれた色とかたちはそれだけでさまになる。高橋さんがデザインした茶と白のストライプの生地をテーブルクロスに。イイホシユミコさんのReIRABO(リイラボ)シリーズ ovalplateL/W309×D198×H40mm

自分の料理や暮らしに合ううつわを求め続けて、高橋みどりが最近気になっているのが、ニッポンのうつわ。背景を知ると、使うのがもっと楽しくなることを伝えたい。今回はプロダクトシリーズを手掛けるイイホシユミコさんのうつわ「ReIRABO」を紹介します。


高橋みどり

スタイリスト。1957年、群馬県生まれ、東京育ち。女子美術大学短期大学部で陶芸を学ぶ。その後テキスタイルを学び、大橋歩事務所、ケータリング活動を経てフリーに。数多くの料理本に携わる。近著に『ありがとう! 料理上手のともだちレシピ』(マガジンハウス)など

イイホシユミコさん
京都嵯峨芸術大学陶芸科卒業後、「yumikoiihoshiporcelain」の名で作品発表。同時にプロダクトシリーズの実現に向けて活動し、2007年より日本各地の窯元に製作を依頼したプロダクトシリーズを開始。ガラスや金属のシリーズも手掛ける。

長年うつわを見てきた高橋さんにとって、イイホシユミコさんのプロダクトシリーズは、登場した頃から気になっていた。料理のうつわは、つくり手が思いを語り過ぎると、時に重たく感じることもある。イイホシさんのプロダクトは、人の手跡は感じられないのに、冷たさはない。好きなのは手づくりの背景を感じるニットで、手編みのセーターは苦手。あるとき、イイホシさんもそうだと聞いて、やはり、と納得した。

自分が使いたいうつわがなかったから、ものづくりをはじめたというイイホシさん。会社に勤めながら陶芸をはじめ、30歳で美大の陶芸科へ。目指す方向はプロダクトと定め、実現のために卒業後はまず自分の作品発表の場を開拓し、その間、プロダクトの協力先を探し続けた。実現から10年、いまは有田、瀬戸、多治見、瑞浪など信頼を築いた窯元に、おのおのの得意技を見極めてシリーズを依頼している。用途やかたちから発想することも多いが、この「リイラボ」は色からの発想。組み合わせて使いたい色を、試作を重ねて実現した。伊羅保釉は安定しづらいが、その釉調の変化こそ先人が愛でたもの。その心を現代の解釈で再生するという思いを、ネーミングのReに込めている。

プロダクトには、使い手が買い足せ、つくり手が製作を持続できるという責任も生じる。日常に出番の多い量産品でありたいと願うイイホシさん。考え抜いたかたちや色、それを具現化するプロの力量。両輪あってのプロダクトのうつわは魅力的で、とても深い。

イイホシユミコさんのうつわの豆知識

作品とプロダクトについて
作家の手づくりによる作品に対し、プロダクトは同一の型で量産する。イイホシさんは「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」をコンセプトに、手づくりの背景が感じられ、愛着のわくプロダクトを手掛ける。

伊羅保釉の新解釈、リイラボシリーズ
伊羅保釉のむらのある表情が持ち味。組み合わせて使うと調和が美しい5色は、呈色剤に鉱物を使用。おのおのspringmintgreenなどイメージを喚起する英語名をつけた。和洋に使える楕円と円のほか、カップ。

リイラボの製作地、岐阜県瑞浪市
リイラボシリーズは瑞浪市の工場で製作。美濃地方は須恵器にはじまり、桃山茶陶を生んだ焼物の一大産地で、江戸時代後期には磁器生産がはじまる。瑞浪では明治以降、欧米に向けた洋食器など磁器生産が盛んに。

text : Akiko Nariai photo : Yuichi Noguchi
2018年2月号 特集「明治維新に今を生きるヒントがある。」


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