渋谷パルコ《入江佑子 個展》
自然を感じるテクスチャーが心地よい、
雲のようなフォルムのうつわに出合う
海や山などの自然からインスピレーションを受けているという入江佑子さんの作品。ふわふわと雲のような夢心地のかたちは、人々の心を惹きつける。東京・渋谷PARCO《入江佑子 個展》が2025年7月19日(土)~7月27日(日)にかけて開催される。見て、触れて、感じて。独自の世界観を五感で味わいたい。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を7月22日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

入江佑子(いりえゆうこ)
1980年、京都府生まれ。京都造形芸術大学で陶芸を学び、2015年に陶器ブランド「dona ceramic studio」をスタートした。
使い手もつくり手も心躍る作品を

ぽってりと丸みを帯びた花器やオブジェ、そしてうつわの数々。何かの有機体だろうか?そんなイマジネーションを刺激させる力が、入江佑子さんの作品には宿っている。
大学で陶芸の基礎を学んだ入江さんは、「ものづくりを通して社会とつながりたい」、「本当にやりたいことをしたい」と、強く思うようになった。そして迷うことなく陶芸の道を選び、10年ほど前に京都で作家デビュー。当初はブルーを基調としたうつわやアクセサリーを制作していた。
「当時の作品はエネルギッシュなブルーとでも言いましょうか……、鮮やかな青色を前面に出したデザインで。ものづくりに対する思いは変わらないものの、いまとは異なる雰囲気でした。ただ、毎日陶土に触れているうちに、土の心地よさを実感するようになって。より自然をテーマにしたうつわをつくりたいと、5年ほど前に気持ちに変化が訪れたんです」

時間ができると、近隣の海を訪れ、海の砂に触れながら自然のパワーを充電する。陶土にも混ぜて使用するが、同じ海の砂でもエリアによって質感や色みが異なるのだとか
自然とひと口に言っても海、山、川、森、動植物など要素はいろいろある。入江さんは特に土や砂の温もりやひんやりした感覚が好きで、いつまでも触っていたいと思えるほどだった。
「そこで試しに、海の砂を陶土に混ぜて焼いてみたんです。すると、柔らかな質感になり、うつわの表面をよく見ると、砂の粒がランダムに浮き上がっていて。独特のニュアンスに仕上がったんです」

作陶している最中は、自分自身の心地よさを優先する。「気分よく成形していくことで、おのずと作品にも穏やかな空気感が生まれ、使う人にもそれが伝わると思っています」
こうして現在の作風にたどり着いた。入江さんが作品をつくる上で心掛けているのは、ウキウキした気分で作陶すること。気分が乗らなかったり、調子が出なかったりするときは、なるべく土に触れないという。
「たぶん、つくり手の感情は土に伝わると思うんです。ということは、使っていただく方にもその気持ちは伝播すると、私は思っています。だから心地よさを優先しているんです」
すべてを包み込んでくれるような優しさが滲み出ているのは、そうした入江さんのポジティブな感情が込められているからだろう。手に取ると、自然に触れたときと似たような安堵感を覚える。

今後の目標をたずねると、「うつわを通して、自然ともっと密につながりたいですね。屋外用のオブジェなど、おもしろい作品にもチャレンジしていきたいです」と目を輝かせる。
アトリエの裏山を散策するのが入江さんの日課。大地のエネルギーを全身にめぐらせ、今日も足取り軽やかに、陶土と対話を重ねている。
暮らしを穏やかに彩る入江佑子のプロダクト
《作品ラインアップ》

motte obj
何かの取っ手のような、それともお尻のような…。どんなものにたとえるかは飾る人次第。置くだけで空間が和やかなムードになる。ボリュームがあるので存在感もバッチリ。

motte single
大きな持ち手の付いた花器。オフホワイトなので、草花の鮮やかな色がよく映える。花器として使うもよし、オブジェとして空間にさりげなく置くだけでもアクセントになる。

motte double
まるで土偶!? 想像力をかき立てる、愛嬌たっぷりの花器。持ち手が左右に付いているので安定感がある。カラフルな花を一輪挿すだけでも絵になる。オブジェとしても使える。

shape dish
幅広のリムが印象的なひと皿。成形する際、リムの重みを利用して、自然な傾斜をつけている。スープやパスタ、前菜、デザートなど、さまざまな料理に重宝する。

donut mug
子どもが大人用のマグカップを持つときのつかみにくい感覚を、大人にも味わってもらおうと制作した一品。ドーナツのようなまん丸フォルムもかわいらしい。

sound stone
本物の石のようだが、実は石のオブジェ。中が空洞になっていて、海の砂が入っている。揺らすと、砂の音がサラサラと聞こえる。まるで海にいるみたい。癒しのひとときに。
line
個展作品の一部がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
入江佑子 個展
会期|2025年7月19日(土)~27日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日に整理券配布予定。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2025年8月号「道をめぐる冒険。」


































