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しずおか遺産をめぐる2日間の旅
〈2日目〉名建築を堪能し、西伊豆の景観と文化に触れる

2025.9.29 PR
しずおか遺産をめぐる2日間の旅<br><small>〈2日目〉名建築を堪能し、西伊豆の景観と文化に触れる</small>

日本一高い富士山から日本一深い駿河湾、ユネスコ世界ジオパークの伊豆半島など豊かな自然とともに、さまざまな歴史遺産の宝庫としても知られる静岡県。歴史文化を紡ぐ“しずおか遺産”をめぐる旅へと出掛けてみよう。今回は、昔ながらの趣が残る、土肥港側の西伊豆地域を堪能する2日目のプランをご紹介!

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《2日目》
絶景フェリーで近代教育の名建築へ

「遮るもののない富士を眺めたい――」。それをかなえてくれるのが、清水港と土肥港をつなぐ「駿河湾フェリー」だ。出航してしばらく経つと、乗船客の多くが甲板へ。正面にそびえる悠然たる富士と紺碧の海のコントラストたるや、この絶景に誰もが驚嘆の声を上げる。

景色を愉しんでいると、西伊豆の土肥とい港に到着する。その後は、海岸沿いの絶壁や奇岩といったダイナミックな景色を眺めながら松崎町へ。のんびりとした雰囲気が漂う町には、平瓦を壁に貼り付け、目地を漆喰でナマコのように盛り上げた「なまこ壁」の建物を至るところで目にすることができる。

重文旧岩科学校の小壁に描かれている長八の作品『鶴図』

「なまこ壁にも見られる左官の技を芸術の域へ高めたのが、江戸後期に松崎に生まれた左官職人の入江長八です。『伊豆の長八美術館』をはじめ、彼が残した漆喰鏝絵こてえは町のさまざまなところで出合えます」。そう教えてくれたのは、松崎の観光を支える「松崎町振興公社」の靍見うつみ志乃さんだ。

入江長八の漆喰鏝絵は、明治創設の「重文旧岩科いわしな学校」にも。技を凝らし工夫を重ねた名建築は、村民の寄附でつくられたとか。近代教育に懸けた熱意が伝わってくる。

旅の締めくくりは夕日の名所「堂ヶ島」。秋は薄雲と夕日に映える駿河湾の景色が特に素晴らしいそう。この秋は絶景・食・建築を通して、しずおか遺産に触れる旅へと、出掛けてみてほしい。

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〈駿河湾フェリー〉
静岡と西伊豆を90分で結ぶ

客席から景色を眺められる特別室。貸切特別室では食事・ドリンク付きのプレミアムプランも用意

日本一深い駿河湾から日本一高い富士山の絶景を望む駿河湾フェリー。船内のカフェでは、ドリンクのほかにオリジナルスイーツ「駿河湾ジェラート」や「223(ふじさん)ばうむ」を販売している。約90分の船旅のお供にも土産にもしたい。

富士山にかけて県道223号と呼ぶ航路。御船印やオリジナルアイテムも販売

駿河湾フェリー
Tel|054-353-2229
料金|2000円(旅客運賃) ※復路割引あり
www.223-ferry.or.jp

全長|83.00ⅿ
全幅|14.00ⅿ
総トン数|約1554t
客室|特別室100席、一般室306席、貸切特別室8席
定員|414名
最大積載車両|大型バス12台+乗用車3台、または乗用車54台+バイク8台+自転車10台

 

〈伊豆の長八美術館〉
漆喰芸術の殿堂

建築家・石山修武氏による美術館。全国から左官職人が集い、なまこ壁や土佐漆喰壁を仕上げた

こてと漆喰の芸術家・入江長八の代表作品約50点を中心に展示する美術館。江戸後期に松崎町に生まれた長八は、12歳で左官に弟子入り、19歳で狩野派の絵師に学ぶ。日本一と称された左官職人の長八は、その技を漆喰鏝絵という芸術へ昇華した。

随筆『枕草子』を画題とした長八の『春暁の図』

伊豆の長八美術館
住所|静岡県賀茂郡松崎町松崎23
Tel|0558-42-2540
開館時間|9:00~17:00
休館日|木曜(祝日の場合は前平日休)※臨時休館あり
料金|500円
www.izu-matsuzaki.com/pages/69

 

〈重文旧岩科学校〉
建築美学が詰まった学校

ドラマ撮影にも使われた趣のある小学校。庭内には村役場を移築した喫茶処の「開化亭」も

1880年に建てられた小学校。教育振興の機運が高まり、村民の寄附金を集めて開設。なまこ壁や唐破風など日本の伝統的な様式とバルコニーやアーチ型窓などの洋風建築を組み合わせている。1975年に国の重要文化財に指定された。

校内には当時の学校や村の暮らしが展示されている

重文旧岩科学校
住所|静岡県賀茂郡松崎町岩科北側442
Tel|0558-42-2675
開館時間|9:00~17:00
休館日|木曜(祝日の場合は前平日休) ※臨時休館あり
料金|300円
www.izu-matsuzaki.com/pages/54

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西伊豆の海が生んだ景観と文化に触れる

〈なまこ壁通り〉
左官職人が築いた松崎の建築文化

「なまこ壁通り」と呼ばれる石畳の細い路地には、建物すべてをなまこ壁で覆った美しい邸宅も

防火性、保温性、保湿性に優れたなまこ壁は、富の証しとして豪農や豪商などの邸宅に用いられてきた。松崎町では江戸や明治など古くに建てられたものが170棟余り残っており、いまも風情ある町並みをとどめている。

住所|静岡県賀茂郡松崎町松崎216

 

〈堂ヶ島〉
伊豆半島ジオパークの象徴

西伊豆の夕日スポットの中でも夕日と堂ヶ島の島々のコントラストの素晴らしさは格別。ジオパークならではの奇景・絶景をぜひ

リアス海岸が生んだ島や奇岩などのダイナミックな風景が広がる堂ヶ島。4つの島からなる三四郎島は、干潮時に陸と地続きになるトンボロが愉しめる。堂ヶ島からは国指定天然記念物の「天窓洞」をめぐるクルーズ船も出航している。

堂ヶ島
住所|静岡県賀茂郡西伊豆町仁科2910-2
問|西伊豆町観光協会
Tel|0558-52-1268
www.nishiizu-kankou.com

 

〈伊豆まつざき荘〉
駿河湾を望む絶景宿

四季折々の海の景色が愉しめる洋室ツイン

客室や露天風呂からは駿河湾を一望できる。海辺に面したオープンデッキで潮風を感じながら夕日を愉しみたい。また棚田での田植えや収穫、ホタル観賞、餅つきや餅まきなど、松崎町らしい体験イベントも企画している。

目の前に広がる松崎町ビーチでのんびり過ごしたい
鮮度抜群の地魚をメインにした「まつざきプラン」を堪能。静岡の純米酒「花の舞」や伊豆の純米酒「伊豆の里」を合わせて

伊豆まつざき荘
住所|静岡県賀茂郡松崎町江奈210-1
Tel|0558-42-0450
料金|1泊2食付1万2590円~(税・サ込)

静岡の文化財を鑑賞できる
「ふじのくに文化財オータムフェア」も見逃せない!

今秋、静岡県の歴史文化への関心と理解を高めるため、文化財の特別公開、講演会、民俗芸能公演などを、「みほしるべ」(写真)といった県内各所で実施予定。

〈主なイベント〉
9月27日(土)~12月7日(日) みほしるべ企画展Ⅱ「工芸品に見る富士山と松」
10月11日(土)~11月24日(月) 文化財を学ぶin日本平夢テラス
11月15日(土) 「しずおか遺産」富士山の清流が織り成した産業革命~富士紡績の豊門会館を中心に、小山町の遺産を巡る~

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≫公式サイトはこちら

 

ふじのくに文化財オータムフェア
会期|10月1日(水)~11月30日(日)
会場|静岡県内各地
問|静岡県文化財課
Tel|054-221-2554

01|しずおか遺産をめぐる旅
02|〈1日目〉変わらぬ絶景と進化する食
03|〈2日目〉西伊豆の景観と文化に触れる

text: Yukiko Mori photo: Atsushi Yamahira

2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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