HOTEL

「要庵 西富家」世界が惚れる京都らしい宿

2019.10.22
「要庵 西富家」世界が惚れる京都らしい宿
2016年11月に誕生したモダンなセンスを取り入れた部屋「若菜」

京都の中心部に世界が認めた日本旅館がある。明治6年創業の「要庵 西富家」だ。ミシュランガイドで星を獲得し、世界の一流ホテルとレストランが加盟する「ルレ・エ・シャトー」の会員として京都で初めて選出された。「伝統は革新の継続」を掲げる老舗旅館は、世界中のゲストを魅了している。

京都の富小路通に明治6年創業。京の町家をコンセプトにつくられた数寄屋造りの宿。建築、室礼、料理……。随所に京都らしさと、宿の主人の美意識が行き渡っている

いったいいつまで、この京都人気は続くのだろう。春秋の観光シーズンが訪れるたびにそう思う。駅にも街にも、寺や神社にも人があふれ、あちこちの店の前には行列が出来る。

そして最も混み合うのが宿。トップシーズンだけではなく、シーズンオフとも思える時期でも、近年の京都は宿不足。「京都に行きたいのだけど、宿が取れなくて」。よく聞く声だ。

「若菜」の檜風呂

多くがホテルを目指す中、ぜひ覚えておきたいのが日本旅館。もちろん値は張るが、それだけの価値は必ず見出だせるはずだ。たとえば、富小路通、六角下ルにある「要庵 西富家」。

5代目にあたる当代が一念発起して、瀟洒な数寄屋造りの宿をつくり上げ、格づけガイドブックでも星を獲得するに至った。部屋数が少なく落ち着けるのも人気の一つだ。

造里。カレイの薄造り。浅葱とポン酢ジュレとともに

近年は欧米の富裕層に人気らしく、宿泊客の大半が欧米人ということも少なくないそうだ。賑やかな場所にありながら、京都の宿らしく、緑豊かな庭を眺めることもでき、落ち着いた空気を醸し出している。

多く、老舗の日本旅館がもつ排他的空気をこの宿がもたないのは、守破離をキーワードにして、当代主人が伝統的な宿のあり方に固執してこなかったからだと思う。

館内にはワインセラーが3か所あり、約600本のワインを収蔵している

早くからワインにも力を入れ、大きなウォークインのワインセラーを備えたり、斬新な現代陶器にも料理を盛ったり。欧米からの客に照準を合わせた手法が見事に的中した。

京都の伝統、日本固有の文化を平易に表現することで、これまで日本旅館を遠ざけていた客をも快く受け入れる。京都で日本旅館。その第一歩として要庵 西富家をというのは、至極正しい選択である。

要庵 西富家
住所:京都府京都市中京区富小路通六角下ル
Tel:075-211-2411
Fax:075-211-2415
E-mail:yadoyoyaku@kanamean.co.jp
客室数:7室
料金:1泊2食付3万5000〜5万5000円(税・サ別)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯
IN:14:00 OUT:11:00
夕食:懐石料理(個室食事処)朝食:京都のおばんざい(個室食事処)
温泉:なし
風呂:大浴場あり、貸切風呂(14:00〜0:00、無料)、部屋風呂全室
アクセス:車/名神高速道路京都東・南ICから約25分 電車/JR京都駅からタクシーで約10分
館内施設:ライブラリー、ワインセラー
Wi-Fi:あり
www.kanamean.co.jp

文=柏井 壽
Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」

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