「ラビットホール」を起点とした
岡山観光の未来とは?
|岡山からはじまる、瀬戸内文化ツーリズム
岡山市北区丸の内に、城下町の歴史を見つめながら街と共存する現代美術館「ラビットホール」が誕生。現代アートだけにとどまらず、岡山の食文化や教育の発信地としての役割を担う。ラビットホールを起点とした岡山観光の未来に迫る!
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瀬戸内文化ツーリズムは、
岡山からはじめたい。

古より続く街道で城下町の歴史を紡ぎながら、アートの現在地を響かせ、訪れる人の心に新たな風景を刻むラビットホールは、従来の美術館のようなただの静的存在ではない。アーティスト・ファーストを徹底しながら流転していく。
「今後、アーティストの表現で必然性を感じたなら、壁や床に穴を開けたり、天井を壊し吹き抜けにすることなども厭わない。本館は『作家に壊してもらう』という側面も持ち合わせた美術館なのです」と石川さん。
世界でも類のないスクラップ&ビルドを体現する現代美術館は、存在自体がコンテンポラリーアートのようだ。そして、石川さんはラビットホールを軸に岡山をアートと地域経済が融合した文化都市に進化させる20年構想をもっている。

「まず、ラビットホールのアネックスとなる18の別館を設置します。それぞれ1アーティストの個展を開催する小規模な施設で、飲食店を併設し、観光客が商業と文化を同時に感じられる仕掛けをセットしていきます」
それに加えて、たとえば岡山の備前焼や児島デニムといった岡山の伝統工芸やクラフトの「職の場」を垣間見られるストリートなどを整備することで、自然発生的にアーティストや起業家が集まるコミュニティづくりも目指している。
「我々がすべてプロデュースするのではなく、種をまき、古きよき文化施設やハイエンドから大衆店まで多種多彩に揃う食体験、名建築と調和させる。そういった民間主導の地域創生で、岡山を起点に瀬戸内のアート旅を愉しむのが当たり前になる未来が理想です」

ストライプインターナショナル創業者。イシカワホールディングスCEO・石川文化振興財団理事長として岡山の地域活性化と経済振興のための貢献活動を行う。「茶下山」オーナー。岡山芸術交流総合プロデューサーを務める
その先に見据えるのが新しい瀬戸内の文化圏構想だ。
「私がロールモデルにした瀬戸内国際芸術祭の福武財団、倉敷の大原美術館を手掛ける大原芸術財団、そして我々と後続するイノベーターが連携し、車で1時間圏内の立地で多彩な芸術を体感できる“瀬戸内アートリージョン”を構築し、世界に発信していきたいです」
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11の岡山観光スポット
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岡山からはじまる瀬戸内文化ツーリズム
01|現代美術館《ラビットホール》とは?
02|食文化や教育の発信地の役割
03|アートを起点とした岡山観光の未来
04|名建築と食を愉しむ11の観光スポット
text: Ryosuke Fujitani photo: Sadaho Naito
2025年8月号「道をめぐる冒険。」



































