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「ワンダートランク」の挑戦
日本の地域を世界の旅先へ!
前編|北陸・富山を世界の旅先に押し上げた手法に迫る!

2025.6.19 PR
「ワンダートランク」の挑戦<br>日本の地域を世界の旅先へ!<br><small>前編|北陸・富山を世界の旅先に押し上げた手法に迫る!</small>
©Yuki Tanaka

訪日外客数が過去最多を記録するなど、盛り上がりを続けるインバウンド。その潮流の中で、日本の観光業の最先端を突き進むインバウンド事業会社がある。日本の地域を世界の旅行地に変えていく、新進気鋭かつグローバルな企業、wondertrunk & co.(ワンダートランク・アンド・カンパニー)の挑戦とは?北陸・富山を米誌『The New York Times』が選ぶ世界の旅先に押し上げた手法に迫る!

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地域の再生をテーマにした旅
「リジェネラティブ・トラベル」を富山に

「インバウンド黎明期から海外向けプロモーションを行ってきたのですが、当時はインバウンドの約8割が東京・京都・富士山の周遊で終わっていたので、それ以外の地域も見せていくことが大切だと気づいたんです」と話すのは、インバウンド専門事業会社「wondertrunk & co.(ワンダートランク・アンド・カンパニー)」代表取締役共同CEOの岡本岳大さん。

岡本さんは、観光とインバウンドが、日本の成長と持続可能性につながると考え、共同CEOの高橋亘さんとともに起業した。

いかにまだ知られていない魅力的な地域に目を向けてもらおうか。そのきっかけとなったのが、インバウンドの受け入れがはじまっていた金沢だった。「金沢は周辺地域のハブになり得るエリアで、我々も旅行会社としてすでに多くのお客さまをご案内していました。富山の素晴らしさには着目していましたが、金沢とセットでご案内できないか?と考えはじめました」。

そんな折に出合ったのが、富山県西部で地域振興に取り組むDMO(観光地域づくり法人)の「水と匠」。同地には自然への畏敬と浄土真宗の教えが合致した「土徳」の精神が息づくが、水と匠はインバウンド層にそれらの文化を体感してもらう戦略を構想中だった。

同じくワンダートランクでもコロナ収束後のインバウンドは量から質に大きくシフトするとの予想から、両者は業務提携を結んだ。

楽土庵 
富山・砺波平野の伝統的な「アズマダチ古民家」を改修した1日3室限定の宿。民藝と現代アートが調和したしつらえから、この地に息づく「土徳」の精神風土が感じられる
©Yuki Tanaka

県西部の魅力をインバウンド向けに旅行体験として海外に紹介する中、新たにはじまったプロジェクトが富山の散居村に佇む古民家宿「楽土庵」の共同開発。「サステイナブルツーリズムが注目される中で、観光を通して地域をよりよくする“リジェネラティブ(再生)”が今後の旅のトレンドになると思いました。この概念は楽土庵に合いそうだと思ったんです」。

ワンダートランクがかかわった
富山の上質な体験

自然の力が宿る紙、絹、土などの素材を用いた楽土庵の客室。風景、アート、インテリアが調和する
©Norihito Suzuki

もともと、循環型の暮らしを営んでいた散居村にリジェネラティブを据えてマーケティングを展開。また、民藝王国・富山に息づくクラフツマンシップはイギリスで起こったアーツ・アンド・クラフツ運動と親和性が高いと考え、アートホテルとしての要素も織り込んだ。散居村の循環を見直しつつ旅人の参加を目指した楽土庵は“最も成功したサステイナブルな地域づくりのケーススタディ”と評され、富山県を世界的旅行地へと導く大きな一歩となった。

砺波平野を散策する「散居村ウォーク」。立山連峰などの霊山を見渡しながら、在所の寺・光圓寺(こうえんじ)などをめぐる

また2022年から富山県庁とともに「モダンラグジュアリー」をターゲットに置いたインバウンド戦略を展開。県東部にも足を広げ、クラフツマンシップやウェルネスにフォーカスを当てたコンテンツ開発を支援。現地に職人を連れていく体感型のプロモーションをロンドンで展開したことも功を奏し、富山はいま、イギリス富裕層にも人気の目的地となった。

ハーブの力を、香り・食・トリートメントで体感する「ヘルジアン・ウッド」のプロモーションを通して、富山の誇るウェルビーイングを発信
©KOJI HONDA

楽土庵
住所|富山県砺波市野村島645
Tel|0763-77-3315
料金|1泊2食付4万9000円~(税・サ込)
www.rakudoan.jp

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地域マーケティングから
トラベルビジネスまで手掛ける

①リサーチ
地域と協業して富山の魅力を調査

富山県に着目したきっかけのひとつは、訪日外国人に人気を誇る金沢からのアクセスのよさ。砺波平野に息づく土地の品格「土徳」をはじめ、民藝、アート、ガストロノミーから地域のポテンシャルをひも解いた。

 

②リブランディング
風土を掛け合わせ古民家をアートホテルへ再生

インバウンド旅行客の滞在満足度を高めるだけではなく、地域も癒し、自然や文化、経済などが再生へと向かうことに寄与する新たな旅のスタイル「リジェネラティブ(再生)·トラベル」をコンセプトに宿の開発をサポートした。

 

③プロモーション
ローカルの魅力を世界中に発信

独自の海外ネットワークを生かし、海外メディアへの情報発信やツアーを実施。ワンダートランクが発信した富山の魅力が米誌『The New York Times』の情報源となり「2025年に行くべき52カ所」に選ばれた。

 

④セールス
インバウンド旅行者を現地に送客

地域のポテンシャルと対象市場の相性を検討し、ターゲットをモダンラグジュアリー層に設定。富裕層向け旅行会社として送客を行う。その結果、2023年にはイギリスからの延べ宿泊者数の伸び率は富山県が全国1位に。

 

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【後編】
欧米の富裕層に向けた“3つのチャレンジ”

 
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「ワンダートランク」の挑戦
01|富山を世界の旅先に押し上げた手法に迫る!【前編】
02|欧米の富裕層に向けた“3つのチャレンジ”【後編】

text: Natsu Arai photo: Kazuya Hayashi
2025年7月号「海旅と沖縄」

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