FOOD

《魚カタログ》
川や湖も美味しい!淡水魚②
|ヒメマス / ワカサギ / コイ

2025.1.10
《魚カタログ》<br>川や湖も美味しい!淡水魚②<br><small>|ヒメマス / ワカサギ / コイ</small>

豊かな魚文化が根づく日本。海水魚や淡水魚、魚以外の甲殻類や軟体類まで……。知っているようで知らない、美味しい魚について生物ライターの平坂 寛さんに教えてもらった。現代の日本国内で流通する魚介の多くは海産である。一方でいまなお根強い支持を集める淡水魚たちは、海の幸では決して代替できぬ旨さを備えた食材である。

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《ヒメマス》
果肉のように鮮やかな身

写真提供=北海道大学総合博物館「みんなの博物館」

「ベニザケと同種」
阿寒湖など北海道の湖を原産地とし、一生を淡水で過ごす。海へ下る個体群も存在するが、そちらはいわゆるベニザケである。現在は本州の湖にも移植されている。養殖も盛んで、アニサキスなど寄生虫の心配がないため刺身で食べられる。天然ものならルイベ推奨。釣り味もいいことから遊漁人気が高く、解禁日には湖へ多くの釣り人たちが押し寄せる。

〈美味しい食べ方〉

写真提供=青森のうまいものたち

刺身がおすすめ。トロリとした食感と濃厚な旨みが感じられる。

《ワカサギ》
冬の風物詩

「放流で全国へ分布」
国内の自然分布は北海道及び北日本の一部に限られる。しかし盛んに放流され現在では南西諸島、伊豆諸島、小笠原諸島を除く各地に分布する。味は淡泊だが癖もなく美味。よほど大きなものでなければ骨も柔らかく、丸のまま食べられる。釣り魚としても人気で、凍結した湖面に穴を開けて勤しむワカサギ釣りは北国の冬の風物詩となっている。

〈美味しい食べ方〉

新鮮なものを天ぷらで。軽く塩を振って骨ごといただく冬の味覚。

《コイ》
伝統的な食用淡水魚

「衰退しつつある鯉食文化」
味がよく大型、しかも蓄養・養殖も容易なことから、かつては各地で食材として人気を博していた。しかし、流通が発達した現在では各種海産魚たちに取って代わられ、食される機会が減っている。だが旨い魚である事実は変わらない。ぜひ一度お試しあれ。天然ものは川魚特有の泥臭さが気になるという声もあるが、これは食物が変わるためか、冬季になるとかなり軽減される。あるいは一定期間を清浄な水で蓄養するのも効果がある。自分で釣って食べたい、というジビエ志向の方はお試しあれ。また、枝分かれした小骨が多数入るなど骨格も海産魚と異なる部分があるため調理の際は注意。

〈平坂 寛のコイのトリビア〉

コイはあごに歯をもたないが、タニシやシジミ、ザリガニといった硬い生物を好んで食す。これはのどに「咽頭歯」という臼歯状の骨をもつため。

〈美味しい食べ方〉

味つけの強い味噌煮などが定番だが、上等なものはあらいでも旨い。淡水魚食の盛んな中国では姿揚げのあんかけが定番のごちそうとして知られる。

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監修・文=平坂 寛
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」

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