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東京・豪徳寺《旧尾崎テオドラ邸》
築136年の洋館、漫画好きの新たな聖地が誕生!

2024.2.22
東京・豪徳寺《旧尾崎テオドラ邸》<br>築136年の洋館、漫画好きの新たな聖地が誕生!

東京・世田谷区豪徳寺に佇む、明治建築のレトロな水色の洋館。この建物に惚れ込んだ漫画界のレジェンドたちによって、2024年3月にギャラリー・ショップ・喫茶店が併設する、非日常な建築空間が誕生した。オープンの背景には、建物を取り巻く物語と、漫画家たちの建物や日本の漫画の未来への熱い想いがあった。

漫画界のレジェンドたちが共鳴!
日本漫画の魅力を国内外へ伝える

東京・世田谷区豪徳寺の閑静な住宅街に突如として現れる目の覚めるような、しかしどこか心地よいブルーの洋館。庭の緑に包まれて佇む「旧尾崎テオドラ邸」は、2019年取り壊しの危機にあった。

この洋館が大好きだった『ランド』や『天才柳沢教授の生活』などの作者である漫画家・山下和美さんは、同じく漫画家の笹生那実さんとともに「一般社団法人旧尾崎保存プロジェクト」を設立。ふたりのほぼ全財産をつぎ込み、また笹生さんの夫で『静かなるドン』などの作者・新田たつおさんの協力もあり解体を阻止し、土地家屋を取得して洋館は社団法人のものとなった。

洋館は無事解体を免れたが、見事な建築としての姿とは裏腹に、建てられてから100年以上の歳月ゆえ、明治時代の木造建築が朽ちていくのは避けられず、すぐに施設として機能させるのも難しい状態だった。補修費用は建築資材不足や物価高騰の影響も受け、莫大なものとなった。その費用を支えたのは、数人の漫画家たちからの無利子融資と、クラウドファンディングでの支援だった。

左から三田紀房さん、高橋のぼるさん、高橋留美子さん、山下和美さん、笹生那実さん・新田たつおさんご夫妻、福本伸行さん

そんな熱い想いに共鳴したのは、漫画界のレジェンドたちだ。
『ドラゴン桜』などの三田紀房さん、『めぞん一刻』『うる星やつら』などの高橋留美子さん、『賭博黙示録カイジ』『最強伝説 黒沢』などの福本伸行さん、『土竜の唄』などの高橋のぼるさん、『あしたのジョー』などのちばてつやさん、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』秋本治さん、『マジンガーZ』や『キューティーハニー』などの永井豪さん、『はいからさんが通る』などの大和和紀さんといった、名立たる漫画家たちが協力した。

ギャラリーでは漫画家の原画展示などを行い、また同館が運営するオンラインショップでは海外限定で原画販売予定。日本の漫画の魅力や価値をこの旧尾崎テオドラ邸から発信していく。

旧尾崎テオドラ邸とは?

1888(明治21)年、英国生まれの令嬢テオドラのために、日本人の父である男爵・尾崎三良が建てたと言われている。当初は港区にあったが、譲り受けた英文学者が一度解体し、1933(昭和8)年に現在の場所に移築。尾崎違いの幸運な手紙の誤配から、テオドラは生涯の伴侶である尾崎行雄と巡り合う。尾崎行雄は長く国政に携わり、“憲政の神様”、“議会政治の父”と呼ばれた政治家。また、日本の昔話を翻訳して海外に広めたテオドラ、そんな魅力的な彼女の軌跡を想像し、その生涯の断片に触れられるのが、旧尾崎テオドラ邸だ。

施設紹介

1階 喫茶室
旧尾崎テオドラ邸オリジナルブレンドティーとともに、専属パティシエが作るケーキやスコーンが楽しめる。洋館の特別な空間でのアフタヌーンティもおすすめ。

1階 ショップ
「猫とテオドラ」コーヒーカップ&ソーサーやハンカチをはじめ、展示ごとの期間限定アイテムなど、さまざまな商品が販売される。来館の記念に手に入れたい。

1階 フォトスタジオ
東玄関から入り左手にあるフォトジェニックな空間。130年前にタイムトリップしたような非日常空間で記念撮影しよう。

2階 ギャラリー
漫画を中心とした展示が行われる。高さ3.5mの開放感あふれる特別空間は、作品の世界観にどっぷりと浸ることができる。入場料1000円(未就学児無料)

同館では施設や海外向けオンラインショップ運営に加え、漫画家やイラストレーター、造形作家が描きおろし色紙やイラスト原画、立体作品などを出品するオークションをはじめ、建物の補修・保全のためにさまざまな試みを行っていく予定だ。ファンにとっては貴重な作品を手に入れるまたとない機会となりそうだ。

読了ライン

旧尾崎テオドラ邸
住所|東京都世田谷区豪徳寺2-30−16
営業時間|10:00~18:00
休館日|木曜(その他、展示入れ替え休館日あり)
料金|ギャラリー入場1000円、喫茶室席のみ予約付ギャラリー入場1000円、アフタヌーンティ付ギャラリー入場5950円
問|info@ozakitheodora.com
https://ozakitheodora.com
※要事前予約
※施設内に駐車場はありません
※館内は土足厳禁(スリッパの貸出あり)
※館内はベビーカーはお使いいただけません
※未就学児童は入場無料。小学生以上はチケットが必要です
※全館キャッシュレス対応となります

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