アセビマコト×幡ヶ谷《boat》
シェフから学ぶうつわと料理の活用術
陶芸家・アセビマコトさんのうつわで料理を提供する、東京・幡ヶ谷のワインビストロ「boat」。ここでうつわの使い心地を体験し、アセビさんのファンになるお客さまもいるのだとか。
「物件より先に、アセビさんのうつわの使用を決めました」
「定型サイズにはこだわらず、料理やお菓子を盛って、美しく見える大きさにつくっています」というアセビさんのうつわ。そんな料理をのせたときの輝きを体感できるのが、東京・幡ヶ谷の「boat」だ。炭火焼き料理とナチュラルワインが味わえる同店は、約9割のうつわがアセビさんの作品。シェフの半田直さんは、物件より先にアセビさんのうつわの使用を決めたという。
「いつか自分の好きなものだけで構成した店をもちたいと、インテリアやうつわを探す中でアセビさんを知り、個展で実物を手にして惚れ込みました。アセビさんともお話しし、人柄から“この人のうつわを使ったら縁起がよさそう!”と直感して」とほほ笑む半田さん。イタリアンやビストロ、ベトナム料理、居酒屋と多彩な店での経験を生かし、ジャンルレスな料理を出そうと考えていたそうで、「アセビさんのうつわは、和洋を問わず合うのが魅力。食洗機が使えるのもありがたいです」と語る。やや深さのある取り皿は、半田さんが特注したboatだけの作品だ。
アセビさんも「妻やギャラリーからお題をもらってつくることも多いですし、課題を具現化する手順を考えるのが好きなんです。逆に僕自身も半田さんやプロの料理人さんの使い方を見ることで、イメージが広がるのがありがたくて」と教えてくれた。「ボウシ皿」は、そんな風に生まれた作品の一例。「ベースは、洋食器で定番のリム付きのスープ皿。一般的に洋食器は、かっちりとした磁器が多いので、僕はほわっと柔らかいものをつくろうと」。縁を少し高くすることで、ゆるさのある表情を生み出している。
またboatでのアセビさんのうつわは、使い込んでつやや渋い味わいが出て、縁が少し欠けた表情もすてきに見える。それは新品ではわからないアセビさんの作品の魅力だ。「こちらで成長した姿を実際に見て、個展に来てくださる方が多いんです」とアセビさん。うつわのもつ深い魅力を感じに、まずはboatを訪れることもおすすめしたい。
読了ライン
〈人気シェフから学ぶうつわ×料理の活用術〉
ワンプレートお料理用平皿×鴨肉と野菜の炭火焼き
ワンプレートお料理用平皿
料理数品にスープボウルなどものせられるように考案。「余白をもたせた盛りつけは、制作当初は予想していなかった使い方」とアセビさん。11月の個展では色違いを販売。
価格|6600円 サイズ|φ260×H19㎜ 重量|890g
カフェボウル×胡麻和え
カフェボウル
一般的なカフェオレボウルのサイズでは大き過ぎるという、アセビさんの妻のリクエストから考案した約250㎖サイズ。中のミントグリーンは使い込むと渋さがプラスされるそう。
価格|4400円 サイズ|φ105×H72㎜ 重量|235g
小鉢×キノコのポタージュ
小鉢
ボウシ皿をアレンジした、縁の傾斜が表情豊かな小鉢。深さがあるため汁気のある料理にも便利。アセビさん宅では、煮物や副菜のほか、ゼリーなどを盛ったりする。
価格|3520円 サイズ|φ152×H45㎜ 重量|220g
丸平ケーキ皿×ウッフマヨネーズ
丸平ケーキ皿
「ワンプレートお料理用平皿」のサイズ違いで、元は鎌倉のカフェのために考案したもの。アセビさんもパンやケーキをのせて日々愛用している。取り皿にも便利な大きさ。
価格|2970円 サイズ|φ173×H13㎜ 重量|310g
リム皿×シャルキュトリ盛り合わせ
リム皿
定番の洋食皿に深さをもたせて使いやすくした。「カレーなどのお米料理も最後のひと粒まですくいやすく、小さなお子さまも使いやすいとのお声をいただきます」とアセビさん。
価格|5500円 サイズ|φ228×H31㎜ 重量|530g
ボウシ皿×クリームパスタ
ボウシ皿
西洋料理で定番のかたちに柔らかな表情をもたせた皿。キセト釉は稲わら灰と木の灰を使う伝統的な釉薬で、アセビさんが学生時代から研究しているもの。骨董品のような色合い。
価格|6600円 サイズ:φ255×H47㎜ 重量|550g
オーバル皿×穴子の白焼き
オーバル皿
「食卓でも収納棚でも場所を取らず、自宅で最も出番の多いうつわ」とアセビさん。料理を盛る表側のみ型で成形し、手成形でかたちを調整しているため、ゆるやかな表情に。
価格|5280円 サイズ|W262×D175×H30㎜ 重量|510g
丸平ケーキ皿×ヌガーグラッセ
丸平ケーキ皿
ウッフマヨネーズをのせた皿の色違い。淡色のケーキを引き立てる。黒い皿は白い皿とは土そのものの収縮率が異なるため、白よりやや大きめに仕上がるのだそう。
価格|3080円 サイズ|φ176×H13㎜ 重量|295g
料理に合わせたいうつわ、
まだまだあります!
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text: Miyo Yoshinaga photo: Manako
2023年12が月号「うつわと料理」