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アセビマコト×幡ヶ谷《boat》
シェフから学ぶうつわと料理の活用術

2023.11.17
アセビマコト×幡ヶ谷《boat》<br>シェフから学ぶうつわと料理の活用術

陶芸家・アセビマコトさんのうつわで料理を提供する、東京・幡ヶ谷のワインビストロ「boat」。ここでうつわの使い心地を体験し、アセビさんのファンになるお客さまもいるのだとか。

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「物件より先に、アセビさんのうつわの使用を決めました」

料理からサービスまで一人でこなす半田シェフと、左官仕上げでつくられた特等席のカウンターで料理と会話を楽しむアセビさん

「定型サイズにはこだわらず、料理やお菓子を盛って、美しく見える大きさにつくっています」というアセビさんのうつわ。そんな料理をのせたときの輝きを体感できるのが、東京・幡ヶ谷の「boat」だ。炭火焼き料理とナチュラルワインが味わえる同店は、約9割のうつわがアセビさんの作品。シェフの半田直さんは、物件より先にアセビさんのうつわの使用を決めたという。

「いつか自分の好きなものだけで構成した店をもちたいと、インテリアやうつわを探す中でアセビさんを知り、個展で実物を手にして惚れ込みました。アセビさんともお話しし、人柄から“この人のうつわを使ったら縁起がよさそう!”と直感して」とほほ笑む半田さん。イタリアンやビストロ、ベトナム料理、居酒屋と多彩な店での経験を生かし、ジャンルレスな料理を出そうと考えていたそうで、「アセビさんのうつわは、和洋を問わず合うのが魅力。食洗機が使えるのもありがたいです」と語る。やや深さのある取り皿は、半田さんが特注したboatだけの作品だ。

アセビさんも「妻やギャラリーからお題をもらってつくることも多いですし、課題を具現化する手順を考えるのが好きなんです。逆に僕自身も半田さんやプロの料理人さんの使い方を見ることで、イメージが広がるのがありがたくて」と教えてくれた。「ボウシ皿」は、そんな風に生まれた作品の一例。「ベースは、洋食器で定番のリム付きのスープ皿。一般的に洋食器は、かっちりとした磁器が多いので、僕はほわっと柔らかいものをつくろうと」。縁を少し高くすることで、ゆるさのある表情を生み出している。

またboatでのアセビさんのうつわは、使い込んでつやや渋い味わいが出て、縁が少し欠けた表情もすてきに見える。それは新品ではわからないアセビさんの作品の魅力だ。「こちらで成長した姿を実際に見て、個展に来てくださる方が多いんです」とアセビさん。うつわのもつ深い魅力を感じに、まずはboatを訪れることもおすすめしたい。

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フランスやイタリアをはじめ多彩な国から厳選したナチュラルワインを約2000本揃える。グラスワイン(1100円〜)も6種前後用意

〈人気シェフから学ぶうつわ×料理の活用術〉
ワンプレートお料理用平皿×鴨肉と野菜の炭火焼き

外は香ばしく中はしっとりとした鴨肉と野菜のように、炭火で焼いた肉やマグロなどのメインに使うことが多いそう。「豪快に盛りつつ余白をもたせられる大きさがいい」

ワンプレートお料理用平皿
料理数品にスープボウルなどものせられるように考案。「余白をもたせた盛りつけは、制作当初は予想していなかった使い方」とアセビさん。11月の個展では色違いを販売。
価格|6600円 サイズ|φ260×H19㎜ 重量|890g

カフェボウル×胡麻和え

香ばしい胡麻和えは、季節で野菜を替えて提供する店の定番。この日はニラとレンコンで。「周りに余白をもたせて、中央を高く盛ると料理映えします」

カフェボウル
一般的なカフェオレボウルのサイズでは大き過ぎるという、アセビさんの妻のリクエストから考案した約250㎖サイズ。中のミントグリーンは使い込むと渋さがプラスされるそう。
価格|4400円 サイズ|φ105×H72㎜ 重量|235g

小鉢×キノコのポタージュ

6種のキノコを炒めて旨みを凝縮させたポタージュは、上にのせたグアンチャーレ(豚頬肉)の塩気も絶妙。「イチジク白和えなど和風の副菜にもいい大きさ」と半田さん

小鉢
ボウシ皿をアレンジした、縁の傾斜が表情豊かな小鉢。深さがあるため汁気のある料理にも便利。アセビさん宅では、煮物や副菜のほか、ゼリーなどを盛ったりする。
価格|3520円 サイズ|φ152×H45㎜ 重量|220g

丸平ケーキ皿×ウッフマヨネーズ

平飼い有精卵のゆで卵と軽やかな自家製マヨネーズに、赤タマネギとピクルスの酸味がアクセントのウフマヨ。「お皿のかわいらしいサイズが前菜に最適」

丸平ケーキ皿
「ワンプレートお料理用平皿」のサイズ違いで、元は鎌倉のカフェのために考案したもの。アセビさんもパンやケーキをのせて日々愛用している。取り皿にも便利な大きさ。
価格|2970円 サイズ|φ173×H13㎜ 重量|310g

リム皿×シャルキュトリ盛り合わせ

豚のリエットやパテドカンパーニュ、鴨の生ハムなどの自家製シャルキュトリを盛ったのは、元は半田さんの愛用品だったリム皿。「何にでも使えて万能です」

リム皿
定番の洋食皿に深さをもたせて使いやすくした。「カレーなどのお米料理も最後のひと粒まですくいやすく、小さなお子さまも使いやすいとのお声をいただきます」とアセビさん。
価格|5500円 サイズ|φ228×H31㎜ 重量|530g

ボウシ皿×クリームパスタ

自家製ユズコショウの辛みが爽やかな、丹波黒どりとカブのクリームパスタ。「イタリアのうつわにも似た表情があり、パスタのほかポタージュやサラダにも合いそう」

ボウシ皿
西洋料理で定番のかたちに柔らかな表情をもたせた皿。キセト釉は稲わら灰と木の灰を使う伝統的な釉薬で、アセビさんが学生時代から研究しているもの。骨董品のような色合い。
価格|6600円 サイズ:φ255×H47㎜ 重量|550g

オーバル皿×穴子の白焼き

炭火の香りをまとった穴子は、アンチョビと魚醤の旨みの利いた焼きナスのソースで。「細長い食材のほか、ポテトフライやショートパスタにも使用しています」

オーバル皿
「食卓でも収納棚でも場所を取らず、自宅で最も出番の多いうつわ」とアセビさん。料理を盛る表側のみ型で成形し、手成形でかたちを調整しているため、ゆるやかな表情に。
価格|5280円 サイズ|W262×D175×H30㎜ 重量|510g

丸平ケーキ皿×ヌガーグラッセ

クランベリーやイチジク、ピスタチオ入りの冷製デザートは赤ワイン香るブルーベリーソースで。黒い皿に白が映える。「焼いたシイタケをのせてもすてきなうつわです」

丸平ケーキ皿
ウッフマヨネーズをのせた皿の色違い。淡色のケーキを引き立てる。黒い皿は白い皿とは土そのものの収縮率が異なるため、白よりやや大きめに仕上がるのだそう。
価格|3080円 サイズ|φ176×H13㎜ 重量|295g

 


料理に合わせたいうつわ、
まだまだあります!

 
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text: Miyo Yoshinaga photo: Manako
2023年12が月号「うつわと料理」

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