山、川、海の循環を体感できる
大分・佐伯の旅【後編】
豊かな森、川、海をもつ大分県佐伯市。2023年、その自然を守るための一大プロジェクトが発足した。テーマは「自然の循環」。プロジェクトを通して私たちは何を学べるのだろうか。後編では、壮大な自然に触れるキャニオニングツアーと、自らさばいた魚を味わう食体験プランをくわしく紹介する。
山・川・海の恵みを楽しむ自然体験と食体験
現在、佐伯市観光協会と町が共同で取り組んでいるのが「自然環境がもたらす恵み」を楽しく学べる体験づくりだ。今回紹介する体験のひとつは「テントテントツアーズ」が主催する体験ツアーだ。代表を務める佐伯市出身の工藤克史さんは、大阪で野外教育に携わった後、魅力あふれる地元のよさを伝えようと帰郷。県外での経験を生かしながら、佐伯の大自然を舞台にしたオリジナルツアーを行っている。夏に渓谷で行うキャニオニングをはじめ、1〜2月には「氷瀑トレッキング」、5〜6月は番匠川上流で「ほたる鑑賞会」と季節に合わせたツアーメニューや、通年でムササビを観賞するナイトウォーク企画など、それぞれのツアーを通して佐伯の壮大な自然に触れる機会をつくっている。
もうひとつは「高平キャンプ場」で実施する魚さばき。この体験は、神奈川県から移住し、弱冠23歳という若さで「道の駅かまえ」の駅長に就任した、早川光樹さんが考案したもの。キャンプ場は大分最南端、標高300mの高台に位置し、佐伯が誇る「浦」を眼下に収める絶景名所にある。風光明媚な場所で新鮮な魚を食べるだけでも特別感があるが、さらにさばいて味わうことで“魚食”への感心を高めてほしいという願いが込められている。
また佐伯観光ではぜひJR佐伯駅に設置されたサイクルステーションも活用してほしい。旅の休憩地としても利用でき、活動範囲を広げてくれるだろう。
今後は、このほかにも佐伯の自然を知り尽くした地元事業者による、自然の循環を学ぶ体験を増やしていく予定だという。この体験を通して、自然の尊さをあらためて実感することが、100年後も人の営みが豊かな「浦」を残すことにつながっていくのだろう。
<自然体験>
佐伯が誇る豊かな山と子どもたちをつなぐ体験
テントテントツアーズ
藤河内渓谷キャニオニングツアー
佐伯出身のガイド・工藤さんが自然をもっと身近に感じてほしいと実施する体験ツアー。「藤河内渓谷」のコースは少人数でも気軽に参加でき、生い茂る木々やたくさんの生き物との出合いは子どもたちにとって貴重な時間に。約8㎞続く巨岩や「エメラルド淵」といった絶景名所が見られるのもポイント。城山で行うムササビウォッチングも人気
開催時期|毎年6月上旬〜9月末
ツアー時間|9:30〜13:30(4〜5時間程度)
料金|1人8000円〜、小学生以下1人4000円〜
※レンタル装備品あり
定員|10名程度
www.tent-tent-tours.com
<食体験>
魚の美味しいいただき方から魅力を発信!
高平キャンプ場
「道の駅かまえ」の若き駅長・早川さんが提案する食体験プランは、魚食の減少が嘆かれる中、魚に触れる機会をつくることが目的。神経締めから本格的に行い、さばいた魚は刺身や炊き込みご飯などで堪能できる。マンツーマン指導で初心者も安心。
住所|大分県佐伯市蒲江大字竹野浦河内2156-171
Tel|050-5527-1821
室内施設営業時間|10:00〜16:00
定休日|水曜
料金|持ち込みテント/2000〜4500円、ケビン/1万〜1万7500円(3棟)
魚さばき体験|料金4500〜7700円、要予約
※予約はオンラインのみで受付
www.nap-camp.com/oita/12072
道の駅かまえ
住所|大分県佐伯市蒲江大字蒲江浦5104-1
Tel|0972-42-0050
営業時間|11:00〜15:00、新鮮直売所9:00〜18:00
定休日|年末年始
https://buri.fish
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豊かな浦を残すための観光プロジェクトが発足!
自然の循環をテーマにした観光プログラムを町の事業者とタッグを組んでPRしていく新プロジェクト「浦100」。すでに3事業者による取り組みが行われており、広く認知してもらうためのロゴも完成。「現代版の大漁旗」がモチーフとなっている
問|佐伯市観光案内所
Tel|0972-23-3400
www.visit-saiki.jp
text: Manabu Kubota photo: Hiromasa Ohtsuka
Discover Japan 2023年9月号「木と生きる」