《ふふ 箱根》
“山のリゾート”で過ごす休日
美食を味わいに、季節ごとに足を運びたくなる宿が箱根にある。山海の幸が盛り込まれた前菜に心躍り、高級食材を堪能する。季節を炊き込んだ土鍋ご飯に、締めの甘味まで、幸せな時間が続く。後編は、“山のリゾート”で過ごす休日「ふふ 箱根」。大メイン料理や食事は20品近くの献立から好きなものをチョイス! 源泉が異なる2種類の湯の入り比べも。
箱根・翠松園から車で15分ほど走った強羅の地に、2022年1月に開業した「ふふ 箱根」。到着後、エレベーターで3階のロビーへ案内されると、窓の向こうに広がる箱根連山のパノラマが目に飛び込んできた。ロビーをはじめ、館内の随所に配された石は、岩が多いという強羅の土地柄を表現したもの。中でも真鶴で採掘される小松石は、西の横綱・庵治石と並び、東の横綱と呼ばれる銘石だそう。箱根火山の噴火で海に流れた溶岩から形成されたというから、豊富に湧く温泉といい、地球の鼓動に思いを馳せる。
山の傾斜に沿って建てられた客室でも、箱根の山々の悠然とした景色に心が和む。小松石を用いたオリジナルの香炉から、針葉樹のいい香りが漂ってくる。部屋付きの温泉に「いい湯ですよ」と誘われるが、順番としては先に大浴場がおすすめだ。というのも、大浴場の源泉は硫黄を感じる大涌谷温泉で、肌の角質のクレンジングに効果あり。一方、客室風呂の源泉は無色透明のなめらかな強羅温泉。保湿作用があるため、大浴場でさっぱりした肌を整えてくれる。
プリフィックススタイルが魅力
夕食は、温泉宿としては珍しいプリフィックス・スタイルで。16品ほどオンリストされる進肴は、初鰹などの鮮魚や旬の食材のおかき揚げ、定番の春巻き(初夏は鴨とフォアグラ)、豚の香味焼きなどバラエティに富み、ここにウニ、アワビ、黒毛和牛といったワンランク上の食材を使用したメニューが加わる。この中から3品選べるとあって、しばし献立とうれしいにらめっこが続く。さらに締めの食事も、お茶漬け、手打ち蕎麦、季節の釜炊きご飯からお好みで。たくさんあり過ぎて選べない、という人のために、「料理長おすすめ献立」も用意されているのでご安心を。酒のラインアップも気が利いていて、ワインペアリングや、ワインと日本酒をミックスしたナチュールペアリングもおすすめ。
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旅の想い出を持ち帰る
箱根のふたつの美食の宿。温泉も、料理のスタイルも異なるので、ホッピングするのもいい。 箱根の懐の深さを体感できるはずだ。
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ふふ 箱根
住所|神奈川県足柄下郡箱根町強羅1320-807
Tel|0570-0117-22
客室数|39室
料金|1泊1室8万2500円〜(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、Master、VISAほか
IN|15:00
OUT|11:00
夕食|日本料理(レストラン)
朝食|和食(レストラン)
アクセス|車/東名高速道路御殿場ICから約30分 電車/箱根登山鉄道強羅駅から送迎車(要予約)で約5分
施設|レストラン、バー、大浴場、スパ
text: Yukie Masumoto photo: Hiroshi Abe
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