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《マルニ木工》デザイナーと職人が協業でつくる名作コレクション

2023.5.13
《マルニ木工》デザイナーと職人が協業でつくる名作コレクション

広島県・廿日市の家具ブランド「マルニ木工」は、100年続く老舗企業。デザイナーと職人が協業でつくるマルニの名作コレクションをご紹介。

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デザイナーと職人の協業が
マルニの名を世界に広めた

不景気のあおりを受けたマルニ木工が、2005年に起死回生を懸けて12人のデザイナーと協業した最初のプロジェクト「nextmaruni」。その後、「nextmaruni」に参画したデザイナーの中で、工場まで足を運び現場を見ていた深澤直人さんをアートディレクターとして招き、100年使っても飽きのこないデザインと堅牢さを兼ね備えた家具シリーズ「MARUNI COLLECTION」を’08年に立ち上げた。

デザイナーの言いなりでつくるのではなく、デザイナーが考えたフォルムに対し、木を知り尽くした職人が木目の見え方や素材感のアイデアを重ねていく。こうしたやりとりを重ねて生まれたのが、代表作「HIROSHIMA」シリーズだ。’09年には世界最大規模の国際家具見本市「ミラノサローネ」の展示で注目を集め、いまとなっては欧米を中心におよそ30カ国で展開。現在、欧米のデザイナー、ジャスパー・モリソンさん、セシリエ・マンツさんによるシリーズも誕生している。デザイナーとの継続したものづくりは、長年にわたり確かな技術を磨いてきた企業ゆえにかなうのかもしれない。

新作大公開!
世界的デザイナー3人がつくる未来の定番チェア

深澤直人
HIROSHIMA アームチェア(板座)

マルニ木工80周年記念で誕生したアームチェアに、アッシュ材を使用。職人たちと最適なかたちを探ることで生まれた座り心地、強固な構造と扱いやすさ、木の質感を生かした仕上げと背もたれからアームにかけての有機的な造形が魅力。
ジャスパー・モリソン
Lightwood チェア(ペーパーコード)
端を細く絞った丸棒脚やふっくらとした背もたれがかわいらしいチェアが、ペーパーコードの座面でより軽い印象に。工場でペーパーコードの座面リフォームを手掛けたことがきっかけで、マルニ木工としてはじめての座面展開となった。
セシリエ・マンツ
EN チェア(板座)
ENとは日本語の「円」。西洋人の発想で円卓を囲む日本の暮らしに思いを馳せ、三次曲面に削り出されのびやかなカーブを描いた背もたれと、シンプルなループフレームの対比が美しいチェア。前後でつながった脚は、畳の間にもよく馴染む。

生涯の友に選びたい
マルニの名作コレクション

T&O O1スツールLow
上から見るとアルファベットの「O」に見える座面は、中央の穴に手を入れて片手で持ち上げられる。湾曲した座面がお尻のかたちにフィットして、座り心地もよい。デザインはジャスパー・モリソンさん。
Roundish チェア(板座)
深澤直人さんがデザインを担当し、マルニ木工がこれまで取り組んでこなかった成型合板に挑戦。どこに触れても丸みの感じられる柔らかいフォルムは、包み込むような安心感をもっている。
Fugu ラウンジチェア(肘付)
工場が得意とする無垢の削り出し加工によって、快適な座り心地を実現。丸みを帯びた背座とアームの形状が、魚のフグにも見える。チャーミングな発想がジャスパー・モリソンさんならでは。
Tako アームチェア(板座)
丸いフォルムは、彫刻のように木を削り出すことで生まれた。背もたれから枝分かれしたようにつながるフレームや、しなやかなカーブを描いた座面が印象的。深澤直人さんによるデザイン。
SANAA チェア
うさぎのフォルムで別名「ラビットチェア」とも呼ばれ、背もたれの「耳」は左右非対称。コンパクトさとかわいらしさで、オブジェとしても人気。デザインは建築家ユニット「SANAA」によるもの。

熟練の技によって息を吹き返す家具

年代物の椅子特有の曲線的なフォルムの仕上げは、削りの技術をもつマルニ木工の職人の得意分野。手作業で丁寧に仕上げていく。

時代の流れをくみつつ、確かな家具をリリースしてきたマルニグループならではの事業が、古い家具のアップサイクル。もともとは自社製品の修理からはじまったが、その技術力が評判となり、いまでは自社製品以外の家具の修理なども引き受けるようになった。作業を担うのは、長年数々の修理を専門に対応してきた熟練の職人。はじめて見る家具も、構造を入念に調べて最適な修理方法を探り当て、型紙から起こすこともしばしばある。

現在、家具修理専門のグループ会社「マルニファニシング」では、単に古いものを元の姿へと戻すだけでなく、アレンジやカスタマイズを加え、アップサイクルして販売。家具に新たな価値を加えることで長く愛される品に再生させる精神は、100年続く企業としての在り方につながっている。

読了ライン

思い出を家具で受け継ぎませんか?

デルタチェア ミナ ペルホネン
元は1960年頃に食堂用の椅子としてつくられはじめた、マルニ木工初の量産家具。座面に、ミナ ペルホネンの定番ファブリック「tambourine」を張ることで北欧の佇まいに。
エジンバラ 一人掛けリビングソファ
らせん柱の彫り込み部分はあえて塗装を剥がさずに陰影を強調。張地には、老舗ファブリックメーカー「Romo」の「TATIANA」を採用し、豪華で絢爛な雰囲気に仕上げた。
ショパン クヴァドラファブリックのアームチェア マットクリア仕上げ
硬いカリン材に曲げ加工を施したマルニ木工の技術が生きた椅子。当時の塗装を剥がして「Kvadrat」のファブリックを張ることで、まるで北欧家具のように変身した。
エジンバラ ヌメ革の質感を活かした天然木チェア
「エジンバラ」シリーズ特有のらせん柱を生かしつつ、木の色はやや沈ませてマットな美しさに。張地は美しく経年変化する「ピット製法」でなめしたヌメ革を使用。

名作チェアなどの家具を実際に見て購入!
maruni tokyo

住所|東京都中央区東日本橋3-6-13
Tel|03-3667-4021
営業時間|11:00〜18:00(土・日曜、祝日は10:00〜)
定休日|火・水曜
maruni hiroshima
住所|広島県広島市西区扇2-1-45 広島T-SITE 2号館2F
Tel|082-533-7836
営業時間|10:00〜19:00
定休日|不定休

アップサイクルの家具が買える!
マルニファニシング

住所|東京都中央区東日本橋3-6-13
Tel|03-3662-0572
営業時間|9:00〜18:00
定休日|土・日曜、祝日
https://store.maruni-furnishing.com

  

text: Akiko Yamashita photo: Shimpei Fukazawa
2023年6月号「愛されるブランドのつくり方。」

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