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三重・伊勢《オカゲ屋敷》へ行こう!
赤福・おかげ横丁の新たなまちづくり
後編|赤福がオカゲ屋敷をつくった想いとは?

2026.9.24
三重・伊勢《オカゲ屋敷》へ行こう!<br>赤福・おかげ横丁の新たなまちづくり<br><small>後編|赤福がオカゲ屋敷をつくった想いとは?</small>

三重県伊勢市では、20年に一度行われる伊勢神宮最大の祭り・式年遷宮を2033年に控え、伊勢内宮・外宮へ御用材を運び込む「御木曳行事」が2026年5月より執り行われている。そのかたわら、活気に満ちる伊勢内宮の鳥居前町にある「おかげ横丁」では、新たな施設が完成した。その名も「オカゲ屋敷」だ。

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約3年をかけて完成!
メイキング・オカゲストーリー

多彩な背景をもつオカゲサマと人々が館で出合い「暮らしのすべてが何かのおかげ」といった“おかげさまの精神”が胸に芽生えることをコンセプトとしたオカゲ屋敷。唯一無二の施設のはじまりは、2023年夏までさかのぼる。

2023年7月プロジェクトが始動!
宇治橋のたもとに立つのは右からWOWのプロデューサーを務める稲垣拓也さんと、トータルメディア開発研究所プロジェクト事業本部 の島村昌志さん

きっかけは、以前ここにあったおかげ座の改装を決意した赤福の現社長・濵田朋恵さんが、WOWの代表作で、東北の伝統行事をモチーフにした体験型インスタレーション『BAKERU』を筆頭とした地域に根ざした作品群に惹かれ、声を掛けたこと。

「僕らもこれまでつくりためたコンテンツに、関心を寄せていただける企業はないだろうかと探していました」と語るWOWのプロデューサー・稲垣さん。その後、全国で多数の文化施設の展示・制作・運営の実績をもつトータルメディア開発研究所も巻き込み、プロジェクトが動き出した。

リサーチを重ねながら
“伊勢だけの表現”を探っていく

クリエイターたちは構想のヒントを探すため、内宮・外宮のほか、江戸時代には日本三大遊郭に数えられた古市や問屋街として栄えた河崎など伊勢市内の街を訪れ、リサーチを重ねた

“伊勢らしさ”が求められる施設の構想を練るため、プロジェクトメンバーは、古市や河崎など江戸時代に栄えた伊勢市内の街にも足を運び、地域の歴史を入念にインプットした。こうして3年弱にわたり、伊勢らしさとは何かについて何度も議論を重ねた。そしてたどり着いたのが、「神宮を中心に暮らす地元の人々の所作や、心の在り方こそが伊勢らしさ」という考えだ。その想いを盛り込んだ「オカゲ屋敷」案が、2025年9月に採用された。

実はこんな案も……
WOWが手掛けたインスタレーション作品『BAKERU』をベースとした第1回目の基本計画案。館内で行われているオカゲサマたちの祝祭に来場者が迷い込むという設定だった

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「神宮さんのおかげで続いてきた300年。
伊勢に息づく感謝の気持ちを紡いでいくことが会社の使命です」

今回のプロジェクトの意義について、赤福・伊勢福社長の濵田朋恵さんは「2033年の式年遷宮への準備が進む伊勢には、多くの人が訪れています。お伊勢参りに来られた方々を気持ちよくもてなすことが、伊勢で暮らす者の役目。せっかく参拝いただいたのなら“伊勢の精神性”を少しでも感じ、心に残して帰っていただきたい。そんな思いの一端から生まれたのがオカゲ屋敷です」と語る。

赤福・伊勢福社長
濵田朋恵さん

1967年、三重県伊賀市生まれ。大谷大学卒業。1707(宝永4)年創業の赤福11代目・濵田典保氏と1993年に結婚。2023年に伊勢福社長、翌年に赤福社長に就任

食事の際には「いただきます」とあいさつし、「おひさま」のように身の回りのものに敬意を込める呼び名を使う多くの日本人。その心の奥底には“おかげさま”の精神が息づいている。オカゲサマと出合うことで「日々の暮らしは何かのおかげ」といった感謝の気持ちを思い起こすことができる施設を、伊勢神宮のお膝元につくりたかったのだという。お伊勢参りは、伊勢の人々の「施行」と呼ばれるもてなしによって支えられてきた。内宮の鳥居前町で商いを続けて2026年で319年を迎える赤福の、“令和版のおもてなし”のかたちともいえる

オープンに際し、仕上がりについてたずねると「映像で五感に訴えかけるWOWと、体験と学びをバランスよく空間にまとめ上げるトータルメディア開発研究所、それぞれが強みを発揮し、私たちの伝えたいことがうまくかたちにできたのではと思います。ただ、オカゲ屋敷はハードというよりも、ソフトな面で感じてもらいたい施設。本来人に備わっている『五感を働かせることの幸せ』という軸は変えずに、老若男女に何度でも足を運んでもらえるよう、アップデートを重ねていく予定です。あえて残した“未完成の余白”を含めて、今後は来場者の方々と一緒にこの場所を育てていければいいですね」と濵田さん。

伊勢らしさの答えは、
おかげ横丁ののぼり旗にあり!?

おかげ横丁の入り口に掲げられる「神恩感謝」ののぼり。それは、「暮らしのすべてが神さまのおかげ」とする感謝の気持ちを表す。伊勢の人々は旅人をこの心で迎え入れる

江戸時代の賑わいを取り戻すための起爆剤として赤福がまちづくりを構想し、「おかげ横丁」を完成させたのが、第61回式年遷宮の1993年。それから40年後の2033年に行われる第63回式年遷宮を見据え、赤福は新たな一歩を踏み出した。オカゲ屋敷を通じて“おかげさま”の精神を次代へとつなぎながら、日本人の「心のふるさと」である伊勢神宮を鳥居前町から盛り上げ、支え続ける。

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オカゲ屋敷へ行こう!
 
≫公式サイトはこちら

 

オカゲ屋敷
住所|三重県伊勢市宇治中之切町52(おかげ横丁内)
Tel|0596-23-8844
料金|平日/大人1500円、子ども800円、土・日曜、
祝日/大人1800円、子ども1000円
開館時間|10:00~17:00(最終入館16:00)
休館日|不定休

《オカゲ屋敷》へ行こう!
赤福・おかげ横丁の新たなまちづくり

・伊勢の文化を未来につなぐミュージアム【前編】
・赤福がオカゲ屋敷をつくった想いとは?【後編】

プロジェクトの完成までの道のりを連載でご紹介!
・「オカゲ屋敷」メイキング・ストーリー①~⑤

text: Makiko Shiraki photo: Kenji Okazaki, Tomoaki Okuyama, Sadaho Naito
2026年10月号「感性の刺激する場所へ。/九州」

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