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《連載第4回》
赤福・おかげ横丁「オカゲ屋敷」
メイキング・ストーリー

いよいよ完成間近!
オカゲ屋敷の魅力を先取り

2026.5.29
<small>《連載第4回》<br>赤福・おかげ横丁「オカゲ屋敷」<br>メイキング・ストーリー</small><br> いよいよ完成間近!<br>オカゲ屋敷の魅力を先取り

2026年7月3日のオープンに向けて急ピッチでリニューアルが進められる「おかげ横丁」の中核施設「おかげ座」。2025年秋に決定した新施設の名は「オカゲ屋敷」。1年以上をかけて、赤福とおかげ横丁を運営する伊勢福、WOW、トータルメディア開発研究所のクリエイターたちが検討を重ね、ようやく構想が固まった“オカゲ屋敷”とは、一体どんなものだろうか?

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神恩感謝の心を、
知識ではなく“体験”として届ける

2024年7月の「イセカイミュージアム」、同年12月の「縁起がよくなるミュージアム」というふたつのリニューアル計画案を経て、クリエイターらが2025年9月に新たに提案したのが「おかげ横丁 オカゲ屋敷」。練り直した企画案を携え会議に臨んだWOWのプロデューサー・稲垣拓也さんは、「資料を目にした赤福・伊勢福の濵田朋恵社長に笑顔が浮かび、これまでとは異なる反応のよさを感じました」と当時の様子を振り返る。そしてこの会議を契機におかげ横丁 オカゲ屋敷の構想が一気に進み出す。

7月3日のオープンに向けて、現場ではいまもスタッフによる緻密な議論と調整が重ねられている

オカゲ屋敷とは、伊勢の人々に深く根づく「暮らしのすべてが何かのおかげ、神さまのおかげ」という神恩感謝の気持ちが生まれたときに現れる不思議な生き物“オカゲサマ”に出合える館というのがコンセプト。最新のデジタル技術を駆使してつくり出したオカゲサマを、手やライトなどを用いて遊びながら見つけていくという趣向だ。

「知識や道徳を押し付けずに、来場者に楽しく遊んでいただくことを重視しました。また過度な映像演出は控えて、アナログ的なおもしろさをあらゆるところで追求しています」とWOWのディレクター・大内裕史さん。

アナログ感満載なスイッチを用いた体験コンテンツも準備中。詳細は第5回目の記事をお楽しみに

そうしたクリエイター側の提案を受け止めながら、現場での体験としてどう磨き込むかを考えていたのが、「おかげ横丁」の運営会社・伊勢福の催事企画担当・都築伸一さんだ。
「より幅広い世代の方に楽しんでいただくこと、そして何度も訪れたくなるような仕掛けをどうつくるか。細部を詰めながら、オープンまでにさらに完成度を高めていきたいです。」

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30種類のオカゲサマに宿した
伊勢の自然と暮らしの記憶

オカゲ屋敷構想の中で生まれたオカゲサマたちの草案(※当時の企画資料から抜粋)

このオカゲサマこそが、館の世界観を伝えるもっとも重要な役割を果たす。そのためクリエイターたちは、建物の設計やレイアウトよりも先に、「伊勢らしさ」を体現するオカゲサマづくりに力を注いだ。最終的にはその数、30種類。太陽、土、米、カエル、太鼓、野菜など、伊勢や日本に根ざした自然・生きもの・道具・食べ物をリサーチ。それぞれのモチーフの由来や役割を手がかりに、一体一体がその風土や文化の伝え手となるようデザインした。

建築チームが作成した、会場全体の概念図。巨大スクリーンへ進むほど空間を一望できる、すり鉢状のレイアウトが構想されている。個々のコンテンツだけでなく、会場そのものに仕掛けられた体験設計にも注目したい

またキャラクターの設定は文章にまとめられ、制作運営スタッフたちの共通認識を高めるための拠りどころとなる資料とした。「何かを再現する際はリアルさを求めるのではなく、ものの背景を大切に『情景再構成』することが、展示をつくる上で大事だと考えました」とトータルメディア開発研究所の島村昌志さん。その言葉の通り、多彩な背景をもつオカゲサマが待ち受ける館で、訪れた人々が遊びながら『心の豊かさのようなもの』になんとなく気が付けるよう、さりげない世界観の提示のあり方に心を砕く。

オカゲ屋敷構想当時に書き起こしていた図面(上)と、展示空間や体験コンテンツ(下)の草案。意図的にあわせたわけではないそうだが、実際の来場者の動きが、ストーリーと一致した体験コンテンツが生まれたそうだ(※当時の企画資料から抜粋)

またこの屋敷で、もうひとつ軸となっているテーマが“稲作”だ。きっかけのひとつとなったのは、濵田社長が打ち合わせの中で重ねていた「お米はとても大切だ」という言葉だった。伊勢神宮では年間1500回におよぶお祭りが行われている。伊勢福の都築さんによれば、その中でも特に重要な祭事のひとつとされているのが、神嘗祭かんなめさいだという。例年10月、その年に収穫された新米を神様に奉り、収穫の感謝を捧げる祭典だ。このお祭りを元に、来館者の動きに反応するオカゲサマと巨大スクリーンで遊びながら、自然や風土といったあらゆるものの「おかげ」で稲が成長し、米という恵みがもたらされていることに気付くという体験スペースが設計された。

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観賞して終わりではなく、
日々の暮らしに“おかげさま”の気付きを持ち帰る

「オカゲ屋敷」のパースイメージ。およそ20mの巨大スクリーンの仕掛けにも注目

八百万の神々を思わせる、30種類以上のオカゲサマと出合うことができるオカゲ屋敷。伊勢福の都築さんは「この屋敷で伊勢に息づく神恩感謝の心に触れていただくことで、日常生活の中でも“いまの暮らしは誰かの何かのおかげかもしれない”という気持ちが芽生えてくれたら」と語る。

2033年の遷宮に向けて準備がはじまり、賑わいを見せる伊勢。そんな時期に誕生するオカゲ屋敷は、日々の心の持ちように影響を与える「気付き」に出合える、唯一無二の場所となりそうだ。
次回で完結となる第5回では、オカゲ屋敷の全貌を明らかにしつつ、濵田朋恵社長の伊勢の伝統と革新の行方を語るインタビューを掲載する。

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〈赤福の観光まちづくり〉
前編|赤福300年の歴史から見た「お伊勢参り」とは?
後編|伊勢の歴史や風土、食文化と出合う。

〈オカゲ屋敷-メイキング・ストーリー-〉
01|世界的クリエイター集結!「おかげ座」リブランディング始動
02|「伊勢だからこその表現」とは?
03|「オカゲ屋敷」を紡ぐ。リサーチ第2弾
04| いよいよ完成間近!オカゲ屋敷の魅力を先取り

text: Makiko Shiraki(Arika Inc.)

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