FOOD

日本茶の可能性を広げる食体験に
国内外の美食家が虜に!

岡山のお茶は、夜が愉しい。

2025.9.28
<small>日本茶の可能性を広げる食体験に<br>国内外の美食家が虜に!</small><br>岡山のお茶は、夜が愉しい。

2025年9月26日より、世界的なアーティストが岡山市の街中を舞台にアート作品を展示する国際現代美術展「岡山芸術交流2025」が開催されている。
岡山の歴史と創造性が響き合う最先端のアートとともに楽しみたいのが、岡山固有の食文化だ。その中で、国内外の美食家を虜にしている日本茶専門店「SABOE OKAYAMA」の魅力に迫る。

line

味覚、音、香り……
五感を刺激する日本茶体験

岡山・美作市の茶農家「茶下山」の3代目茶師・下山桂次郎さんが茶師として茶房に立つ(不定期)

日本三名園のひとつ「岡山後楽園」の玄関口に位置する岡山市北区弓之町。江戸時代に城下町として栄え、その面影をいまも残す門前町エリアに複合文化施設「福岡醤油蔵」がある。明治・昭和期に建てられた「旧福岡醤油建物」のクラシカルな空間を生かしながらリノベーションされた趣深い建物の中で、唯一無二の茶体験を堪能できるのが、SABOE OKAYAMAだ。

煎茶、白折、玉緑茶を合わせたノンアルコールの「蒸 JO」

SABOE OKAYAMAは、伝統の日本茶文化を現代的な新しい喫茶の様式に再定義し、世界へ発信する「茶方薈(さぼえ)」の実店舗。茶房空間と売店から成る。かつての醤油蔵を再生した茶房は、カウンター8席のみ。古木の温もりに包まれた情緒豊かな空間では、厳選した日本茶と季節の和菓子のコース「一服一煎の小茶会」などが楽しめる。

飲みやすさの中に気品を感じる「黒蜜紅茶アールグレイ」。茶酒は2000円〜

特筆すべきは、日本茶と酒を融合させたオリジナルの「茶酒」だ。
紅茶や烏龍茶、黒葡萄の葉などを24時間かけて水出しし、アールグレイリキュールで割った「黒蜜紅茶アールグレイ」の華やかな味わい、葉と茎をブレンドした稀少な「白折」を注文ごとに目の前で焙煎した「焙じ茶ハイボール」のスモーキーな芳香――。

邸宅の応接室だった部屋をリノベーションした売店。「T., Collection」は土産品にも好評

茶釜から湯気が立ちのぼる静謐の中で未体験の茶酒を嗜む時間は、五感を心地よく刺激してくれる。茶房とは入り口が異なる売店では、多彩な日本茶と穀物などを独自製法でブレンドした「T., Collection」シリーズや、SABOE OKAYAMA限定のブレンド茶「青 Sei」、お茶に合う上質な和菓子などを販売。茶房を満喫した後に立ち寄りたい。

line

茶師自らが淹れるお茶――。
そのはじまりには4人のキーパーソンがいた

SABOE OKAYAMAの茶体験をウェルカムドリンクとして瀬戸内アート旅を楽しむ人が増えつつある

SABOE OKAYAMAは、岡山の街に現代アートの息吹をもたらした石川文化振興財団理事長・石川康晴さんが「旧福岡醤油建物」と出合ったことからはじまった。

地域の文脈の中に現代アートが浸透する先進的な地方創生に取り組む石川さんは、食やお茶、工芸など多彩なシーンで現代らしい日本の文化を創造する「SIMPLICITY」の緒方慎一郎さんと新たな食文化の発信拠点を構想した。

東京・南青山の日本茶専門店、櫻井焙茶研究所の店主・桜井真也さん

そこに、日本茶のスペシャリスト「櫻井焙茶研究所」の櫻井真也さん、福岡・赤坂の茶房「万 yorozu」の德淵卓さんがジョイン。2024年11月、岡山でしか表現できない食文化体験のランドマークが誕生した。

福岡にある万 yorozuの主人・德淵卓さん

SABOE OKAYAMAのほかにはない魅力は、茶師自らが「亭主」となって迎えてくれること。岡山のテロワールを宿した地域限定品「青 Sei」の茶葉を生産する下山桂次郎さんは、江戸時代から茶葉栽培がはじまった岡山・美作市で3代続く「茶下山」の3代目茶師だ。

老舗茶舗「茶下山」の3代目・下山桂次郎さん

茶下山では、おくみどり、やぶきたといった山間地域に適した4種類の茶葉を中心に、代々培ってきた無農薬の伝統製法で栽培。手掛けた番茶が国体で皇太子殿下のウェルカムティーに採用されるなど受賞歴も多数ある下山さんが直々に、ゲスト一人ひとりに合わせて淹れる茶は、格別なことこの上ない。

line

日本茶を求める旅は、
岡山の文化に触れる旅になる

ミシュラン店から古典酒場まで多彩な岡山の夜の〆としてSABOE OKAYAMAを訪れる旅人も多いとか

SABOE OKAYAMAは「福岡醤油蔵」の中にあり、アートギャラリー「ラビットホール別館 福岡醤油ギャラリー」が併設されている。

こちらは2025年春に誕生した現代美術館「ラビットホール」の別館であり、世界中からキュレーションされた現代アートや工芸品が清冽な空間の中で鑑賞できる。いま、国内外のアートファンから注目を集めているラビットホールも至近なので、SABOE OKAYAMAを入り口に先鋭的なアートに触れられるのも魅力だ。

出汁感あふれる宇治、八女のブレンド玉露と端麗辛口の岡山酒を合わせた「玉露マティーニ」は鮮烈

現在開催されている岡山芸術交流2025は、すべての作品鑑賞料が無料であり、徒歩や公共交通機関でめぐることができる世界でも稀な現代アート展。朝に訪れ、街の歴史や食文化を体感しながらさまざまなアートに触れ、夜はSABOE OKAYAMAで斬新な茶酒に酔いしれる。
ぜひこの機会に、一日を通して岡山の知らなかった魅力を再発見できる豊かな旅を楽しんでみてはいかがだろうか。

line

 


≫公式サイトはこちら

 

photo: Makoto Ito, Sadaho Naito, Maiko Fukui

 

 


もっと知りたい方はこちら≫
・《SABOE OKAYAMA》岡山からはじまる最先端のお茶の愉しみ方
・アートが浸透する、岡山のまちづくり。「岡山芸術交流2025」がまもなく開催!

岡山のオススメ記事

関連するテーマの人気記事