マグロの寿命、何歳か知ってる?
日本人なら大好きなマグロだが、しかし種類や産地、サイズなどは意外にもあまり知られていない。切り身以外の形で魚屋に並ぶことがないため、やむをえないとも言える。知っているようで知らないマグロ、ここで少しばかり勉強しておけば、飲み会の席で刺身をつまみながら、「ねえ、知ってる? このマグロの寿命ってさ……」と、さりげなく雑学を披露することもできるかも?
マグロの種類は全部でいくつある?
一口に“マグロ”といっても、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガの5種類がある。「あぁ、そういえば名前は聞いたことある」という方も多いのでは? ちなみに寿命は、長いもので20歳以上! おとなになるまで8年以上かかるマグロもあるのだ。
【クロマグロ】
一般に「本マグロ」と呼ばれ、日本人の思い入れが強いマグロ。150kg超の最高級のマグロは全体の1%以下
寿命:20歳以上/成熟:3歳
最大体長:約2.5m/最大体重:400kg以上
【ミナミマグロ】
南半球の海域を中心に育つ、別名・インドマグロ。クロマグロに次いでの高級品。刺し身、寿司で食べて美味
寿命:20歳以上/成熟:8歳
最大体長:約2.4m/最大体重:260kg以上
【メバチ】
温帯から熱帯の海域に広く育つ、ぱっちりした目の中型マグロ。赤身が多い。関東ではバチとも呼ばれる。
寿命:15歳以上/成熟:3歳
最大体長:約2.5m/最大体重:210kg以上
【キハダ】
海域はメバチとほぼ同じ。黄みがかかったヒレと魚体の特徴から「黄肌マグロ」と呼ばれる。特に関西で好まれる。
寿命:7~10歳以上/成熟:3歳
最大体長:約2.4m/最大体重:200kg以上
【ビンナガ】
世界中の海に広く分布する小型マグロ。長い刀状の胸びれが特徴。別名・ビンチョウ、トンボ。主に缶詰などに。
寿命:16歳以上/成熟:3歳
最大体長:約1.2m/最大体重:30kg以上
トロが好まれるようになったのはいつから?
マグロと日本人の付き合いは長く、なんと縄文時代の貝塚からマグロの骨が見つかっている。古事記や万葉集にも、マグロの別名「シビ」の記載があるのだ。縄文時代から食されていたマグロだが、傷みやすい魚のため、あまり好まれず、歴史の中では長い間、下魚の位置に甘んじていた。
このマグロ不遇に光が差し込んでくるのが江戸時代になってから。多少日持ちのする赤身は殿様が、腐りやすいトロはネギマ鍋などにして火を通し食べられ、江戸っ子の中でも美味しさが少しずつ浸透。そして江戸時代の天保年間、江戸近海で捕れたクロマグロを醤油で漬けたヅケにして握ったのが、江戸前寿司でマグロのネタを使ったはじまりという通説がある。
トロが生で食べられるようになったのは明治時代。氷冷蔵庫が出て、保存管理ができるようになってからだ。しかしトロの愛好者が増えてきたのは、意外にも戦後の高度成長期から。あっさりと淡泊な味を好んでいた日本人が、濃厚な味を嗜好する時代に変わり、トロは一躍大スターになったのだ。
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※写真『Discover Japan 2016年3月号』より