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「吉阪隆正展」が東京都現代美術館で開催中
建築界随一のコスモポリタンが
目指したものとは?

2022.4.23
<small>「吉阪隆正展」が東京都現代美術館で開催中</small><br>建築界随一のコスモポリタンが<br>目指したものとは?
「大学セミナー・ハウス 本館」1965年(撮影:北田英治、1997年)

近代建築の巨匠と呼ばれたル・コルビュジエらに師事し、戦後復興期から1980年まで活躍した建築家の吉阪隆正。コンクリートによる彫刻的な造形をもつ独特の建築を国内外で生み出した一方で、建築だけに収まらない横断的な活動で地球を駆けめぐった行動力から、「建築界随一のコスモポリタン」と評されてきた。吉阪の活動の全体像に触れる公立美術館初の本展では、教育者や登山家、文明批評家などさまざまな顔をもった彼の生涯を、手掛けたプロジェクトや資料とともに紹介。自らの住まいとして建てた住宅からはじまり、地域計画まで発展した吉阪の建築が目指したものは何だったのか、社会へのメッセージをひも解く。

「江津市庁舎」1962年(撮影:北田英治、1994年)

多彩な顔を持つ
吉阪隆正の「人」に迫る

本展では、吉阪隆正の生涯と建築を中心とした領域横断的な活動を「生活論(人間と住居)」「造形論(環境と造形)」「集住論(集住とすがた)」「游行論(行動と思索)」に分類し、時代やテーマごとの7つの章からなる構成で紹介。

戦後の焼け跡に自邸として建てたバラック住宅に始まり、個人住宅や学校・市役所といった公共建築から極地での生活を考えた山岳建築、地域計画にまで発展した吉阪の建築。初となる地域計画のプロジェクト展示を含む約30の建築とプロジェクトをもとに、建築によって吉阪が目指したものに迫る。

「吉阪自邸」1955年(撮影:北田英治、1982年)

創造の源泉となる貴重な資料が一堂に

「乾燥なめくじ」1966年 ⓒ吉阪隆正

2015年に文化庁国立近現代建築資料館に「吉阪隆正+U研究室建築設計資料」が、2017年には早稲田大学に吉阪の日記や原稿、ノート、書類、写真といった個人資料が収蔵され、アーカイブ化や修復作業が進行中。そんな中で開催される本展では、吉阪の思想や思考、創造の秘密を解読する様々な形態の資料が一堂に集結。

この貴重な機会に、「建築界随一のコスモポリタン」と評される理由を探ってみてはいかがだろうか。

吉阪隆正 写真提供:アルキテクト

吉阪隆正
1917年東京生まれ。’50年に渡仏し、ル・コルビュジエのアトリエに2年間勤務。設計実務に携わり、ドミノシステムの実践やモデュロールの理論など、モダニズム建築の流儀を現場で学ぶ。’54年に設計アトリエである吉阪研究室(後にU研究室に改称)を設立し、本格的な建築設計を開始。代表作に「吉阪自邸」(1955)、「江津市庁舎」(1962)、「大学セミナー・ハウス」(1965-)など。冒険家・アルピニストとしても活躍し、’60年早大アラスカ・マッキンレー遠征隊では隊長を務め、ヒマラヤK2遠征隊も組織した。

吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる
会期|~6月19日(日)
会場|東京都現代美術館 企画展示室1F
住所|東京都江東区三好4-1-1 木場公園内
時間|10:00~18:00
※展示室入場は閉館の30分前まで
休館日|月曜
料金|一般1400円、大学生・専門学校生・65歳以上1000円、高中生500円、小学生以下無料
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp/exhibitions/takamasa-yosizaka

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