FOOD

大阪府八尾市
風土菓 桃林堂の「菁々/せいせい」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2022.4.20
大阪府八尾市<br>風土菓 桃林堂の「菁々/せいせい」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、五感で楽しめる、大阪府八尾市・風土菓 桃林堂の「菁々」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

青々とした生地に横縞模様を刻んだ意匠が美しい。2枚の紙の四方を折って被せ合わせるシンプルな箱

「桃林堂」は大阪の老舗菓子舗です。野菜や果物に砂糖をまぶした「五智果」は、柳宗悦が好んだ名菓として知られています。また、以前このページでご紹介した同店の落雁菓子「桃紅李白」と、今回ご紹介する「菁々」は、アートディレクター・岡秀行の名著『包 日本の伝統パッケージ』に、素晴らしい包装として収録されています。

包むことに特化した民藝とも読める、民藝の目線と非常に近しい感性の本です。竹や木、藁、紙などでさまざまな物品を包装した写真が収められていて、中でも食品はかなりの割合を占めています。初版は1965年刊と古く、ページをめくると、さまざまな理由によって製造中止になった品も多いのですが、名菓「菁々」は健在。本品は寒梅粉と和三盆、少量の抹茶のみでつくった押し物菓子です。ご店主いわく「真味は淡し。極上の材料でつくったお菓子は雑味がないんです」。無味の食材を合わせるのが和菓子だともおっしゃった。「菁々」を手に取り、舌を目に、耳に、鼻にして、あえかな風味を五感で堪能したい。

『包 日本の伝統パッケージ』に記載された以前の包装。1箱380円

桃林堂 陌草園店
住所|大阪府八尾市山本町南8-19-1
Tel|072-923-0003
営業時間|9:00~17:30
定休日|なし
www.tourindou100.jp

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2022年5月号「ニュー・スタイル・ホテルガイド2022」

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