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経験者が語る、地方移住や多拠点生活
新しいライフスタイルの魅力を発見【後編】

2022.4.9
経験者が語る、地方移住や多拠点生活<br><small>新しいライフスタイルの魅力を発見【後編】</small>

地方移住や多拠点生活への具体的な第一歩として利用できる、地域おこし協力隊の制度。今回は、長野県茅野市で活動していた粟野龍亮さん、山口県長門市で活動していた村尾悦郎さんに、地元の生活や人とのつながりやローカルメディアの立ち上げなど、さまざまな地域おこしの在り方やその後の暮らしをうかがいました。

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人脈づくりと地域の理解が
理想の暮らしを実現させる

温泉付きのロッジやキャビン、キャンプサイトが集まる「TINY GARDEN 蓼科」。メインロッジにはカフェ、そのほか施設内にはショップやコワーキングスペースも設けられている

粟野龍亮さんが2017年から暮らす長野県・茅野市との縁は、前職のアパレルブランド・アーバンリサーチの営業で、地方作家の作品を取り扱う仕事をしていたことにはじまる。出張を重ねるにつれて地方暮らしに魅力を感じ、東京、三重での生活を経て、子育て環境と大自然に惹かれた茅野市への移住を決意した。

協力隊の活動には2年ほど従事し、現地の食とものづくりにかかわるツアーの企画立案などを行った。その中で得られたのは、地元のことをじっくり知っていける豊かな時間と、多才なほかのプレイヤーたちとの貴重なつながりだ。

「旅行とも長期滞在とも違い、地域のことを知る時間が長くあるのが協力隊の魅力。仕事や子育て、通勤などの支援には課題もありますが、移住のきっかけとしてとてもよい制度です」

協力隊の活動と並行して、古巣のアーバンリサーチが手掛ける宿泊施設「TINY GARDEN 蓼科(たてしな)」の創立メンバーに。現在もここを拠点に、地域コーディネーターとして蓼科を訪れる人たちに多様なコンテンツを提供している。出会った人たちとの関係性を生かして、地元の事業者を巻き込んだプロジェクトも推進中だ。

粟野 龍亮(あわの・りょうすけ)/長野県・茅野(ちの)市
移住前|アパレル営業/旅行営業
移住後|キャンプ場運営

移住者FILE
年齢|33歳 出身地|東京都大田区
移住前の居住地|三重県伊勢市
家族構成|(移住前)夫婦2人と子ども1人(移住後)夫婦2人と子ども3人
移住のきっかけ|仕事で訪問した長野県に魅力を感じ、山の近くでの暮らしに憧れていたこと。東京へのアクセスのよさや子育て環境が優れていると感じたこと
移住の情報収集先|JOIN移住・交流&地域おこしフェア
利用した補助制度|地域おこし協力隊限定の市営住宅の家賃免除

地域おこし協力隊としての活動
期間|2017年10月~2019年9月
活動ペース|週5日、1日8時間程度
主に行った仕事|観光プロジェクトの立ち上げ、体験プログラムや販売PRを含む着地型ツアーの造成
月収|約23万円(+副収入で約4~5万円)

TINY GARDEN 蓼科
住所|長野県茅野市北山8606-1
Tel|0266-67-2234
料金|ロッジ1万3200円、キャビン7290円、キャンプ1760円~(すべて税・サ・入湯料込)
URL|www.urban-research.co.jp/special/tinygarden

故郷のいまを知ることが
出会いと仕事を生み出す

『ながとと』はフリーペーパーも配布。海の幸が豊富な長門市で、特に村尾さんが勧めるのは新鮮な青魚だ。「アジやサバ、アゴなど、長門に来たらぜひ食べてみてください」

東京都内でアニメーターやウェブメディア編集者としてキャリアを積んできた村尾悦郎さん。結婚を機に山口県・長門市へのUターンを考えていたところに飛び込んできたのが、移住を相談していたふるさと回帰支援センターのスタッフからの、地域おこし協力隊募集の知らせだった。

「地元の観光スポットのリニューアル計画があることを知り、『故郷が変わろうとしている』と感じました。市職員さんや情報収集の過程で出会った地元の方々の、誇りと情熱に触れたことにも背中を押されました」

着任後は市の観光協会に席を置いて連携し、前職で培った取材や記事制作のスキルを生かして観光サイトの運営に参画。活動期間の前半は求められる理想像や自身の想いとの間で葛藤も経験した。「地域、行政、そして隊員自身の3者でコミュニケーションを取り、事前にしっかりすり合わせをしておくことがスムーズな活動のカギになる」と振り返る。

着任2年目にはローカルメディア『ながとと』を立ち上げ、取材を通して地元の人々や読者とのつながりを得た。多くの出会いはほかに代え難い財産となり、いまも仕事を支えている。

村尾 悦郎(むらお・えつろう)/山口県・長門市
移住前|ウェブメディア編集
移住後|観光協会職員/デザイナー/編集者

移住者FILE
年齢|35歳 出身地|山口県長門市 移住前の居住地|東京都練馬区
家族構成|(移住前)夫婦2人(移住後)夫婦2人と子ども1人
移住のきっかけ|長門湯本温泉のリニューアル計画など、生まれ変わろうする故郷の姿を目にしたこと
移住の情報収集先|やまぐち暮らし東京支援センター(ふるさと回帰支援センター内)
利用した補助制度|YY!ターン支援交通費補助金(移住希望者向けの交通費補助)

地域おこし協力隊としての活動
期間|2017年5月~2020年4月
活動ペース|週5日、1日7時間程度
主に行った仕事|観光協会のサイト運営、観光マップの作成、フリーペーパーの作成、ウェブメディアの運営など
月収|約17万円(+副収入で約1~3万円)

ながとと
URL|https://nagatoto.jp

 

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text: Miki Yagi photo:Tomohiro Mazawa,Hikaru Tanaka
Discover Japan 2022年3月号「第2の地元のつくり方」

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