島根県出雲市「出西くらしのvillage」の
しっとり香ばしいプレーンスコーン
福田里香の民芸お菓子巡礼

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、心地よい暮らしの道しるべとなるような新しい提案する、島根県出雲市「出西くらしのvillage」のプレーンスコーンを紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

1947(昭和22)年、出西窯は5人の若者のまっすぐな志からはじまった。以後、柳宗悦をはじめ吉田璋也、河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、柳宗理ら民藝運動の中枢メンバーに指導を仰ぐ生粋の民窯として歴史を刻んできました。宗理が父・宗悦の骨壺を製作したのも出西窯で、縁も深いのです。また生前、宗悦は名著『手仕事の日本』の一節で「それよりも近時起った簸川郡出西村の窯がよい品に努力しつつあります。」と高く評価。「日常を彩る、健全で美しい暮らしの器を作り続ける」その理念は世代を超えていまも受け継がれています。
出西窯が2018年にスタートしたのは、暮らし全般を発信する複合施設「出西くらしのvillage」。まさに吉田が提唱した生活的美術館。柳親子が存命ならそうそうこれだよ、これ! と激賞したことでしょう。敷地内のベーカリーカフェ「ル コションドール出西」では、美味しいパンを焼いています。おやつに食べるなら、しっとり香ばしいスコーン。誠実に美味しく、出西のうつわによく映えます。

出西くらしのvillage
住所|島根県出雲市斐川町出西3368
Tel|0853-72-0239
営業時間|カフェ9:30~17:00、ベーカリー9:30~17:00
定休日|火曜、第2・4水曜
https://www.shussai-village.jp/
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」