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早稲田大学 国際文学館
《村上春樹ライブラリー》
唯一無二の隈研吾×村上春樹 ワールドに浸る

2021.10.21
早稲田大学 国際文学館<br>《村上春樹ライブラリー》<br><small>唯一無二の隈研吾×村上春樹 ワールドに浸る</small>

早稲田大学キャンパス内に10月1日(金)、日本を代表する作家・村上春樹の名前を冠した文学館が誕生。建物は当時演劇を専攻していた村上氏が学生時代に通い詰めた、坪内博士記念演劇博物館に隣接する旧4号館を大規模改修したもので、設計は建築家・隈研吾氏が担当。棚から、階段、天井のアーチまで木の温もりに囲まれた開放的なデザインが特徴だ。また館内では村上氏の秘蔵レコードコレクションや『ノルウェイの森』など代表作、50言語以上に訳された作品も所蔵。さまざまな過ごし方ができる、早稲田大学 国際文学館「村上春樹ライブラリー」を紹介しよう。

【1階・2階】
村上作品が並んだ「ギャラリーラウンジ」
村上さん寄託・寄贈のレコードが聞ける「オーディオルーム」

村上春樹作品が並ぶ、村上ワールドに囲まれた空間

デビューの1979年から2021年までの村上春樹作品の初版本を中心に展示。展示スペースの反対側の壁にすえつけた本棚には、日本で刊行された村上氏の著作はもちろん、世界各国の様々な言語に訳された作品を揃えている。長めに読書していただくための「コクーンチェア」など、滞在することを楽しむ仕掛けが豊富。

この部屋のアクセントになっているのは、壁にプリントされた「羊男」の絵。「羊男」は村上氏の初期三部作の一つ『羊をめぐる冒険』(1982年/講談社)に登場するキャラクターで、自身がデザインされたもの。村上作品には多くの装丁画家が携わってきたが、村上氏自身も絵を描くことが好きだそうだ。「羊男」の手前には、村上氏が経営していたジャズ喫茶「ピーター・キャット」で実際に使われていた3脚の貴重な椅子を配置。座り心地がいいので、ぜひ座ってみては。

2階には、さまざまな企画展を実施する「展示室」や、学生が活用できる「ラボ」「スタジオ」がある。ラボとスタジオはガラスで仕切られていて、スタジオの音声をラボのスピーカーから流すことができる。スタジオの機材は一般のラジオ番組を制作できるほど本格的。

オーディオルーム

1階には村上氏おすすめの音楽を楽しめるオーディオルームもある。こだわりは、村上氏の自室で鳴っているサウンドのエッセンスを伝えるオーディオシステム。音質がとても良い。

また、展示されているレコードの中には猫のスタンプが押されているものもある。これは、村上氏が経営されていたジャズ喫茶「ピーター・キャット」に実際に置かれていたレコード。長年収集されていたレコードを今後も寄託・寄贈される予定だ。

【地下1階】
誰にでも開かれた「ラウンジ」
カフェ「橙子猫 – Orange Cat – 」
文学館のシンボル「階段本棚」

村上氏ゆかりの家具やピアノ、村上作品の舞台装置などを展示する地下1階のラウンジ

地下1階は、村上氏ゆかりの家具やピアノ、また村上作品の舞台装置などが配置され、見どころの多いエリア。同じ地下1階にはカフェも設置。ポケットパーク(小さな庭)を含め、館外に直接出入りすることができ、季節ごとに彩りをかえる植栽も楽しめる。階段本棚のステップも客席として活用しながら、イベントやセミナーの開催される予定だ。

地下へ続く階段本棚。開館時には「村上作品とその結び目」と「現在から未来に繋ぎたい世界文学作品」の本が並ぶ

1階へとつながる階段本棚は、国際文学館の象徴となる場所。地下から見て右手の本棚には「村上作品とその結び目」というテーマのもと、村上作品のキーワードともいえる「映画館」や「水の中の生き物」「人とAI」などから連想される、さまざまなジャンルの本が並ぶ。

また、反対側の本棚のテーマは「現在から未来に繋ぎたい世界文学作品」。小説家や翻訳家、村上作品を映画化した監督などに、ご自身が考える「世界文学」を選んでいただいたものである。本を手に取って、ラウンジや階段本棚などで自由に読むことができる。さまざまな楽しみ方ができる国際文学館の魅力だ。

地上5階地下1階、3階は研究者用の書庫を備える

村上文学愛好者にはたまらない空間で、思う存分村上春樹ワールドに浸ってみては。

早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)
住所|東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学早稲田キャンパス内
開館時間|10:00~17:00 ※事前予約制
休館日|水曜
https://www.waseda.jp/culture/wihl/

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