鳥取県の「松葉がに」でおうち時間。
自宅で美味しく食べるアレンジレシピ
冬の味覚の王さまとして珍重される「松葉がに」とは、ズワイガニのうち山陰地方で水揚げされる雄を指す。ぎっしりと詰まった身を自宅で美味しく食べるには?
〈教えてくれた人〉
真藤舞衣子(しんどう まいこ)先生
東京都生まれ。雑誌などにレシピを提供するほか、さまざまな商品開発やレシピ開発を行う。発酵の魅力を伝える講師の一面も。著書に『はじめてのサワードゥ ブレッド』(文化出版局)ほか多数
松葉がにを自宅へお取り寄せ!
今年も「松葉がに」のシーズンがやってきた。冬の味覚として知られる鳥取県産松葉がには、沖合底曳網漁業と呼ばれる漁法で水揚げされる。水深150〜600mの海底から潮流と同一方向にひき網されるためカニへのストレスが少ない。しっかりと詰まった身に心地よい弾力があり、淡泊な中にも深い味わいと上品な甘みが感じられるのが特徴だ。鳥取県で水揚げされた甲羅11㎝以上のものには、ブランドタグが取り付けられる。
漁の解禁と同時に、産地直送の通販もはじまったが、自宅だと、ゆでたカニをそのまま食べるか、鍋に入れて雑炊を楽しむか……。メニューが限られ、お取り寄せをちゅうちょする人も多いのでは? そんなモヤモヤを解消すべく、料理家の真藤舞衣子先生に、自宅で簡単にできるカニ料理のレシピをうかがった。贅沢にも松葉がにをまるごと一杯使ったメニューは見た目にも華やかで、年末のホームパーティにうってつけ。ワインにも日本酒にも合うこんなカニ尽くしが楽しめるなら、お取り寄せのハードルも下がるはずだ。
活きた状態で届くため鮮度は抜群だが、カニはゆで方が味を左右するので、自信のない人や手間を省きたい場合はボイルを注文するのもおすすめ。
年末年始は松葉がにのフルコースで食卓を彩り、ちょっと特別なおうち時間を演出してみては?
自宅でできる!
松葉がにのアレンジレシピ
カニのゆで方
生のカニをさっと洗い、暴れないようカニ脚を輪ゴムで留めて冷水に20分ほど浸ける。鍋にたっぷりの湯を入れ塩分2%程度になるよう塩を入れ、沸騰したら甲羅を下(腹が上)にし、カニ脚を折りたたむようにして鍋に入れる。落とし蓋をしながら20分ほどゆでる。冷水でさっと汚れを落としてさばき、身を殻から取り出しておく。
アンチョビの代わりにカニ味噌を使った
旨みたっぷり濃厚ソース
「カニ味噌バーニャカウダ」
材料(2〜3人分)
カニ味噌(ゆで) 1杯分全量
ニンニク(すりおろし) 3片分
牛乳または豆乳 大さじ2
オリーブ油 大さじ4
醤油 適量
好みの野菜(カリフラワー、ラディッシュ、レンコン、オクラ、チコリなど) 適量
バゲット 適量
1 甲羅からカニ味噌を取り出す。甲羅をうつわにする場合、内臓などを取り除き水でさっと洗う。
2 鍋にカニ味噌、牛乳とニンニクを入れて煮立ったら、オリーブ油を入れる。とろみが出るまで焦げないように煮詰め、醤油を入れて味を調える。
3 甲羅またはうつわに移し、野菜やバゲットを添える。
バターのコクとレモンの爽やかさが好バランス
「カニとレモンバターパスタ」
材料(2〜3人分)
カニ爪(ゆで) 2本
カニ脚(ゆで) 適量
レモン(国産またはノンケミカル)1個
ニンニク 1片
オリーブ油 大さじ2
スパゲッティ 160g
バター 大さじ4
パセリ(刻む) 1本分
塩 適量
カニの出汁 1/2カップ
1 レモンは皮をすりおろして皿に取り、果汁は搾っておく。スパゲッティは表記通りにゆでる。
2 フライパンにつぶしたニンニクとオリーブ油を入れ、熱して香りが立ったら、カニを入れさっと炒める。
3 2にカニのゆで汁またはカニの出汁(カブのポタージュ参照)1/2カップを入れ、スパゲッティ、バターを加えてよく混ぜる。刻んだパセリを入れて塩で味を調え、皿に盛りつけたら、レモンの皮を振る。
ユズの香りがカニとカブの
柔らかな甘さを際立たせる旬のひと皿
「カブのポタージュ カニ脚のせ」
材料(2〜3人分)
カニ脚(ゆで) 4、5本分
カブ(皮をむいて4等分) 4個
カニの出汁(沸騰した湯に甲羅と脚の殻を入れ出汁を取って漉したもの) 300㎖
オリーブ油 適量
塩・黒コショウ 適量
ユズの皮(すりおろし) 適量
1 カニの出汁とカブを鍋に入れて軟らかくなるまで煮たら、ミキサーにかけてペースト状にする。鍋に戻して中火にかけ、塩で味を調える。
2 うつわに盛りカニ脚をのせる。オリーブ油を回しかけ、塩、黒コショウを振る。好みでユズの皮を散らす。
上品な苦みと甘みが一体となって
洗練された味わいに
「カニとモッツァレラ、グレープフルーツのサラダ」
材料(2〜3人分)
カニ脚、カニ身(ゆで) 適量
グレープフルーツ 1/3個
モッツァレラチーズ 1個
ディル 適量
塩・黒コショウ 適量
オリーブ油 適量
1 グレープフルーツは果肉を小分けにする。
2 ちぎったモッツァレラとカニと1、ディルを和え、塩、黒コショウとオリーブ油を回しかける。
〈お取り寄せに関するお問い合わせ先〉
問|鳥取県漁協かろいち
Tel|0857-31-0011
https://karoichi.jp
text: Akiko Yamamoto photo: Kenta Yoshizawa
2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」