FOOD

鳥取県倉吉市 石谷精華堂
「打吹公園だんご」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2023.4.30
鳥取県倉吉市 石谷精華堂<br>「打吹公園だんご」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>
赤、白、抹茶の位置を違えて串に挿し、並べた意匠が美しい

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、鳥取県倉吉市 石谷精華堂の地元の糯米粉に蜜を入れて長い時間をかけて作り上げた餅を、手亡の白餡、小豆餡、抹茶餡の三種で包んだ、愛らしい「打吹公園だんご」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

10本入りの箱には「味自慢 代表名物」の文字。1040円

「打吹(うつぶき)公園」は鳥取県倉吉市の打吹山のふもとに造園された桜の名所でも知られる都市公園です。この園の名物は石谷精華堂の「打吹公園だんご」。地元産の糯米粉を丹念に蒸した餅を、手亡豆の白あん、小豆のこしあん、抹茶あんの3種で包んだ直径3㎝ほどのかわいらしい三色だんごです。店の創業は140数年前と古く、だんごひと筋に添加物は一切不使用。誠実な仕事が名物たるゆえんです。

また石谷精華堂は1986(昭和61)年に2000人分の打吹公園だんごを持参した、フランスはベルサイユのコングレ宮殿で開催された大茶会を皮切りに、各国で開催されるジャパンフェスティバルに出品され、海外交流に深くかかわりました。おだんごの背景に敷いている栞は、民藝運動に深くかかわった郷土の版画家・長谷川富三郎の作品です。なんてかわいらしいんでしょう。石谷精華堂が、海外に出向く際には必ず長谷川が制作した打吹公園だんごの栞を携えました。また、打吹公園には長谷川の「打吹童子」のレリーフが設置され、訪れる人の目を和ませています。

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海外に携えた英語版のおだんごの栞

石谷精華堂本店
住所|鳥取県倉吉市幸町459-1
Tel|0858-23-0141
営業時間|8:00〜17:30(喫茶〜17:00)
定休日|なし(元日除く)
www.kouendango.com

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2023年5月号「ニッポンの朝食」

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