人気書店が選ぶ
いま読んでおきたい100冊
– DESIGN –
おうち時間はとっておきの読書チャンス。人気書店のあの人から、いまおすすめしたい一冊をジャンルごとに選んでもらった計100冊を一挙大公開。今回は「アート・建築・デザイン」に関する本を選書していただきました。
アートや写真、デザインはその人の価値観、美意識によって印象が異なるもの。独自の視点や美しい描写を通じて、興味や刺激につながる一冊を見つけてみては。
52.『灯をともす言葉』
生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者であり初代編集長の花森安治(1911〜1978)の言葉を集めた一冊。「美」、「この国」、「私たちの暮し」、「ジャーナリズム」、「戦争」などのテーマごとに、時代を超えて読み継がれるべき言葉が編集されている。
▼plateau books/贄川 雪さんのオススメ
心にグサグサと刺さる、まさに物事の本質を突く言葉が並ぶ。庶民の暮らし、まなざしをとらえていて、まったく古びていない。読むたびにしんどくなるのに、それでも何度も読み直している本。
著者:花森安治
価格:1430円
発行:河出書房新社(2013年)
53.『ハリー・スミスは語る』
音楽学者、映像作家、画家、詩人、人類学者、魔術師などさまざまな肩書をもつ稀代の芸術家、ハリー・スミス(1923 〜1991)が自身について語ったインタビュー集。本書では、1965 年から1988 年にかけての7 つのインタビューを収録。
▼六本木 蔦屋書店/佐々木 貴江さんのコメント
ハリー・スミスの圧倒的な知識量に圧倒されるとともに、音楽、芸術、文学、あらゆるカルチャーは政治や経済と地続きであるということを思い知らされます。無駄なものこそ尊い。
編集:ラニ・シン
価格:3080円
発行:カンパニー社(2019年)
54.『Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists,Designers,Poets & Philosophers』
初版は1994年刊行(英語版)。「わびさび」を美の哲学としてとらえ、美的概念として定着させた。本書は、新たに書き下ろした「20年後のさらなる思い」を加えた増補新版。
▼ジュンク堂書店 池袋本店/森 暁子さんのオススメ
『Wabi-Sabi』の流行を生み、ひとつの美的概念として確立させた一冊。日常で触れる多くのものにある『わびさび』は、あらためて知っておきたいキーワードです。
著者:レナード・コーレン
価格:2200円
発行:BNN新社(2014年)
55.『〈あの絵〉のまえで』
6枚の名画にからめた6つの物語を収録。国内の美術館が所蔵するピカソ、セザンヌ、ゴッホ、クリムト、東山魁夷、モネの6巨匠の作品が登場し、出会う人々の日常を温かに描き出す。
▼紀伊國屋書店 新宿本店/池上 晃子さんのオススメ
絵画鑑賞=高尚な趣味と思われがちですがそんなことはないんです。美術館にふらっと入れば、きっと感じるものがあるはず。絵画の知識がなくても楽しめます。
著者:原田マハ
価格:1540円
発行:幻冬舎(2020年)
56.『絵はすぐに上手くならない』
『絵には「すぐに上手くなる部分」と「すぐに上手くならない部分」がある』と著者は言う。技術の前に必要な絵を描くための考え方を、多彩なイラストとともに解説していく。
▼双子のライオン堂/竹田 信弥さんのオススメ
僕は絵が上手くない。でも、何か無性に描きたくなるときがあります。数年前に本書と出会い実践してみたら、上手くなったかどうかわからないけど、絵の見方や物のとらえ方のコツが少しわかったような気がしました。ポイントは目で見たものを脳へ伝達し、それを自分の手に伝えること。描くことについて丁寧に伝授してくれるので、絵の上達以外にも視野が広がるはずです!
著者:成冨ミヲリ
価格:1760円
発行:彩流社(2015年)
57.『The Map and The Territory』
写真の視覚芸術としての可能性を広げたルイジ・ギッリ(1943〜1992)の作品集。ヨーロッパで開催された巡回展(2018〜2019)に伴い刊行。初期10年間の主要作品を収録している。
▼文喫 六本木/清水 勇気さんのオススメ
物や建物の日常が切り取られた写真集。見方によって異なる物語を見せてくれる。見たものの記憶、見方で私は成り立っているのかもしれない。
著者:ルイジ・ギッリ
価格:8580円
発行:MACK(2018年)
58.『美を見て死ね』
2016年に死去した芸術家・堀越千秋さんが雑誌で連載していたエッセイをまとめた一冊。古今東西のアートから厳選し、独自の視点で切り取った至高の文章130本を収録している。“美を見て死んだ男”である彼が厳選したアートと、独自の視点で語る文章が心に響く。
▼ブックスキューブリック/大井 実さんのオススメ
人は誰もが死ぬことからは逃れられません。堀越千秋渾身のメッセージが込められたタイトルに胸を打たれます。美術愛好家のみならず、美術はよく分からないが、その入り口だけでも知りたいと願っている方にもおすすめですね。
著者:堀越千秋
価格:2970円
発行:A&F出版(2017年)
59.『Tokyo Halloween』
5人のカメラマンが撮影した2015年10月31日の東京・渋谷の街。ゾンビメイクやアニメキャラなど思い思いに仮装した人々の膨大な熱量が、120枚の写真に収められている。
▼ホホホ座 浄土寺店/山下 賢二さんのコメント
外出自粛が続く現在、密集パレードはもはや懐かしい。活況な頃は眉をひそめていたものの、いまはこのイベントが再び開催できる日が来てほしいですね。
著者:綾女欣伸
価格:1650円
発行:REC(2016年)
60.『芸術実行犯』
岡本太郎の壁画に原発の絵を付け足した独創的アーティスト集団Chim↑Pom(チン↑ポム)。「アートは社会のリアルに切り込むための“武器”である」と語る彼らの脳内に切り込む。
▼ブックスルーエ/花本 武さんのオススメ
この状況……。我々はChim↑Pomに期待せざるを得ないです。なにかやってくれる。あのお騒がせ集団がきっとこの現状をドカンと破壊してくれる。そんな彼らは本当に誤解されがちなので、正しくその犯行声明を読み解いてください。本書で。
著者:Chim↑Pom
価格:1034円
発行:朝日出版社(2012年)
61.『火山のふもとで』
1980年代、主人公が入所した建築設計事務所を舞台に物語は展開。建築へ懸ける所員たちの熱い想いや若き建築家のひそやかな恋が、繊細かつ美しい描写でつづられている。
▼恵文社 一乗寺店/鎌田 裕樹さんのオススメ
若い建築家が設計事務所で過ごす平凡に見えて尊い日々。所長との穏やかな師弟関係や、手掛ける建築と向き合う姿が滋味深い。素晴らしい作品です。建築というのは特殊な技能というだけでなく、思考法のひとつだと思います。
著者:松家仁之
価格:2090円
発行:新潮社(2012年)
SELECTOR
※各店舗は状況により休業している場合があります。
また営業時間・定休日は随時変動しているため、ウェブサイト等をご確認ください
国内ほか海外にも店舗をもつ大型書店
『紀伊國屋書店 新宿本店』
住所:東京都新宿区新宿3-17-7
Tel:03-3354-0131
営業時間:10:00〜21:00
定休日:なし
www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/
世界の美しい10の本屋に選ばれた京都の名店
『恵文社 一乗寺店』
住所:京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
Tel:075-711-5919
営業時間:10:00〜19:00
定休日:なし
www.keibunsha-books.com
専門書なども多数取り揃える
『ジュンク堂書店 池袋本店』
住所:東京都豊島区南池袋2-15-5
Tel:03-5956-6111
営業時間:10:00〜21:00
定休日:なし
https://honto.jp/store/detail_1570019_14HB320.html
作家や研究者によって選書された本が並ぶ個性派
『双子のライオン堂』
住所:東京都港区赤坂6-5-21-101
Tel:050-5276-8698
営業時間:15:00〜21:00
定休日:日・月・火曜
https://liondo.jp
“ゆっくり本を読む”を提供する新刊書店
『plateau books』
住所:東京都文京区白山5-1-15 ラークヒルズ文京白山 2F
営業時間:12:00〜18:00
定休日:月〜木曜
https://plateau-books.com
本との出会いが楽しめる本屋
『文喫 六本木』
住所:東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビルディング1F
Tel:03-6438-9120
営業時間:9:00〜22:00(L.O.21:30 )
定休日:不定休
https://bunkitsu.jp
地域に根差した小さな総合書店
『ブックスキューブリックけやき通り店』
住所:福岡市中央区赤坂2-1-12
Tel:092-711-1180
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
www.bookskubrick.jp
「花本棚」と呼ばれる独自の棚づくりが評判
『ブックスルーエ』
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-3
Tel:0422-22-5677
営業時間:9:00〜22:30
定休日:なし
www.books-ruhe.co.jp
全国10店舗、さまざまな形態で展開する本の多いお土産屋
『ホホホ座 浄土寺店』
住所:京都市左京区浄土寺馬場町71
Tel:075-741-6501
営業時間:11:00〜19:00
定休日:元日
http://hohohoza.com
アートやカルチャーの洋書ならまずここへ
『六本木 蔦屋書店』
住所:東京都港区六本木6-11-1 六本木ヒルズ 六本木
けやき坂通り
Tel:03-5775-1515
営業時間:7:00〜24:00
定休日:不定休
https://store.tsite.jp/roppongi/
文=大森菜央、中森葉月、成田美友、山本章子 写真=山平敦史