FOOD

岐阜県大垣市
御菓子つちやの「柿羊羹」
《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》

2025.10.20
岐阜県大垣市<br>御菓子つちやの「柿羊羹」<br><small>《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香ふくだりかさんの《民芸お菓子巡礼》。今回は岐阜県大垣市にある「柿羊羹」をご紹介。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。14年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中。

青竹の色がすがすがしい竹容器。赤い封帯が目に鮮やか。220g2000円

柿でつくった羊羹を知ったのは東京民芸協会発行の会報誌『民芸手帖』1978(昭和53)年3月号でした。「地方銘菓を賞味する会」と題したレポートに、楽しげに集う協会員たちの写真とともに、柿羊羹が紹介されていたのです。

今回ご紹介するのは1755年創業の老舗「御菓子つちや」の銘菓「柿羊羹」。竹が容器に使われるようになったのは、5代目祐斎の代の1896(明治29)年からです。当主の親友で竹の研究家である坪井伊助翁が「竹と柿は相性がいい。柿を植えると竹も育ち、柿も甘みを増す、一挙両得」のアドバイスを得て、柿羊羹独自の竹の容器を考案したそうです。

付属の竹楊枝を差し入れて、柿羊羹を切ってみる。すると気持ちよくつるんと取り出せて、竹容器には一切こびり付かない。民藝の用の美を体現したシンプルで機能的な竹の容器にも目が釘付けです。味わいは和風パート・ド・フリュイ。柿の風味が生きていて甘さ控えめ。スッと歯が通るなめらかさが心地よい。コーヒーにもよく合います。

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仕上げの包装は竹容器全体を包む白い紙

御菓子つちや 俵町本店
住所|岐阜県大垣市俵町39
Tel|0584-78-2111、0120-78-5311
営業時間|9:00〜17:00
定休日|元日
https://www.kakiyokan.com/

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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